第17話
バザールは入り組んでいて、複雑な迷路のようなことになっていた。下手をすると、否、下手をしないでも迷子になりそうだ。自然と、興味や方向性の違いで、5人はあちこちへ散らばっていく。気がつけば、エルラはシュトールと二人きりになっていた。
「あれ、他はどこ?」
きょろっと周りを見回して、エルラはシュトールに言った。シュトールも、今まで気付かなかったようで、周りを見回してやっと気付いたという顔をしている。
「ほんとだ。はぐれちゃったな」
「向こうが勝手にうろつくのが悪いのよ」
怒っているのは、あらぬ方向へ向かっている。だが、シュトールは何も言わずに、エルラにそうだな、と言った。その時、空気が振動した。
「ん?」
シュトールがその感覚を全身に感じた時、激しい轟音が聞こえてきた。それと同時に、煙があたり一面を覆う。すぐにエルラを抱きかかえ、シュトールは壁へとにじり寄った。
「大丈夫か」
「え、うん。大丈夫」
エルラはこの状況ながらも、どきどきしていた。鼓動が徐々に早くなっていくが、それどころではない事態へと急変していく。覆面をつけた男たちが、二人の目の前を走っていったのだ。




