表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「4人組」
11/280

第10話

「……見てみろよ、空が青いぞ」

 古木の上にある秘密基地では、ルイスを欠いた4人がいた。いつもリーダーとなっていたルイスがいなくなっただけだが、そのことは、4人にとって極めて重大な出来事であった。

 あの戦争が終わると、農民たちはてんてんばらばらにもとの村に帰ることができた。だが、その中でただ一人、ルイス・プロープグナートルだけは、勇士見習いとなり、特別に勇士の学校へと入学することになった。それ以来、ルイスは村に帰ってきていない。

 村の人らは、そのことが伝わったとたん、お祭り騒ぎになった。なにせ騎士団員に認められたということだからだ。この世の中、騎士団員は名誉な職業とされている。それは、国民に対して1%いないという希少性が大きな原因である。だが、その友人たちは、今いないという事実の方が、より重要であった。


「おお、ここにいたか」

 誰も返事をしないままだったが、唐突に木の下から声をかけられる。ヒョコッと顔を出すのは、クリスだ。すぐに、ルイスの父親だと言うことが分かったので、なんですかと声を返す。

「だれでもいいから、手伝ってくれないか。そろそろ鶏が卵を産むんだ」

「はーい」

 ちょうど暇を持て余していた面々だ。そのまま全員が木の上から降りてきた。


「これで最後」

 鶏舎で、全員が卵を取り終わると、全員がかごいっぱいに卵を入れていた。

「よし、おつかれさま。いくつか持って行っていいぞ」

「じゃあ、遠慮なく」

「こら」

 一気に何個も持って帰ろうとしているランゲルスの手を、シュトールが止める。それを見ながら、クリスとエルラはかごの中から、3つほどをもらって、素手で持って帰った。


 家への帰り道、村の広場に看板がかかっていた。

「ねえ、なにか張り紙があるよ」

 それを目ざとく見つけたのは、エルラだった。その声に反応して、他の面々もその看板に近寄っていく。だが、文字が読めない彼らにとって、その看板が何かが分からなかった。

「あ、ねぇねぇ」

 そこでランゲルスがすぐそばにいた人を呼びとめて、看板の内容を聞こうとした。

「ああ、王都でお祭りがあるんだと。今から1か月ぐらい後にな。なんでも、国王即位の式典らしいぞ」

「あれ、もう何年も前に即位したんじゃなかったけ」

 クリスが聞き返す。その人は肩をすくめて分からないという表情をした。

「ねえ、行ってみない?」

「親がうんというかなぁ。これから豚の出産シーズンだぞ」

 すでに行く気満々でわくわくしているエルラに対して、現実的な意見を投げかけているのはクリスだ。その言葉に、エルラはプゥと頬を膨らませたが、特に何も言わなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ