ワタシと笹本くんとゴミクズビッチども。
「へー、笹本くんは姉に股開いて、教師に股開いて安全を確保してたんだあ。体を売って、暴力と飢えから逃れてたんだー。ビッチで淫売で人以下だね、ほんと。ごめん、息しないで。臭いから」
虐められていると言われてもワタシは知ってるよ、としか答えられなかった。同情を誘っているつもりなら申し訳ないけど、今日のシツケを止めるつもりはない。今日の数学でワタシにゲロを噴きかけてくれた償いはちゃんとしてもらわないと困りますわよ。うふふ。
バチバチと青い光りを放つスタンガンを見て、彼は息を飲み、そういう訳ではないと答えた。
何でもするから助けてください。
そう彼は言ったけど、最初から何でもする関係なので、それは条件として成立していない。彼にそのまま伝えると彼は捨てられた子犬のようにしょぼくれて、肩を落とした。
まあしかし、ワタシも鬼じゃない。できない領域、というものに挑戦したく思う気持ちもある。
例えば彼の体にワタシの名前を入れた刺青を彫るとか、全校生徒の前でワタシに告白させるとか、そういうチャレンジャーなことをしてみたい年頃なのだ。いやでも、告白させるなら数学の時間が一番面白いか。全校生徒の前じゃ、アレにワタシが殺されちゃう。
ああ、全裸で夜の街中を走らせるというのも面白そう。そのままコンビニに連れて行って、靴下や手袋、服や下着を買わせよう。そしてそれをビデオに取って彼の尊厳を尽く否定してあげたりなんかも楽しそう。
散々優しくして、急に手のひら返すというのもの面白いかもしれない。
ワタシが云々考えていると、彼は怯えた表情で、虐められているというのは正確ではないと言った。そこには性的接触も含まれるらしい。
ワタシはそれを鼻で笑い、とんだビッチだねと笑ってやった。集まるのは同情じゃなくて軽蔑。
汚い体で、薄汚れた体でワタシに話しかけていたのかと思うとなんだか苛立ってきた。バチバチっと彼にスタンガンを当てると彼は歯を食いしばってうーうー唸った。やだ、面白い。
あまりにも面白いので何度も何度もへばるまで彼にそれをやり続けたら遂に彼は泣き出して、誰か助けてと呟いた。あまりにも情けなかったのでワタシは一週間貞操を守り通したら考えてあげると言った。
本当に?
本当に。
考えては、あげる。
やはり彼は馬鹿だった。