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第1話 ねえ。君はどこにいきたいの? 私も一緒にいってもいい?

 聖なる山で暮らしている山の民の少女のうるる。


 ねえ。君はどこにいきたいの? 私も一緒にいってもいい?


「あの、まだなんですか?」

「まだまだだよ。だってまだぜんぜん山をのぼってないでしょ?」

 とっても楽しそうな顔をしてうるるは言った。

 山の民のうるるはこの聖なる山でずっと暮らしていて、聖なる山の案内人のお仕事をしている少女だった。

 とっても可愛くて、とっても元気で明るい(そしてどんなに山を歩いても走っても疲れない、びっくりするくらいにとっても体力のある)小柄な少女だった。

 澄んだ神秘的な黒色の大きな瞳をしていて、(驚くくらいに澄んだ神秘的な瞳をしているのは山の民の特徴だった)美しくてながい黒髪をとっても綺麗な水色の宝石の髪飾りでまとめて二つわけの三つ編みにしている。

 カラフルな山の民の民族衣装を着ていて、きらきらとしている山の民の手作りの首飾りや腰巻きをつけている。

 はいている靴も山の民の手作りの靴だった。

 そんなうるるの山の民の民族衣装の帽子をかぶっている頭の上には『初めて見る不思議な白くてふわふわした頭のところに小さな角のある少し大きな猫みたいな動物』がいた。

 この聖なる山にしかいない『聖なる生きものと呼ばれている白い幻獣』の子どものみゅうだった。

 みゅうはじっとその大きな青色の瞳で私のことを見つめていた。

「ちょっとだけ休んでもいいですか?」

 うるるを見て私は言った。

「えー、またー! うーん。もう、しょうがないな。ちょっとだけだよ」

 そう言ってうるるは私が座れるようなところをきょろきょろとしながら探してくれた。

 うるるが見つけてくれた座れそうな大きな石の上に座って、(ありがとうって言うと、うるるは照れてすごく恥ずかしそうにしていた)私は水筒に口をつけて、ごくごくと冷たいお水を飲んだ。

 すごく美味しい。なんだか『本当に生き返る』みたいだって思った。

 聖地と呼ばれている聖なる山は本当に美しい山だった。

 聖なる山の案内人をしているうるるはのんびりとしながらそんな美しい聖なる山の風景をじっと楽しそうな顔で眺めていた。

「わたしはずっとここにいるからね。このお山で生まれて、このお山でずっと暮らしている。たぶんこれからもきっと。『死んじゃうまで』ここにいるんだと思う」

 私がうるるに聖なる山のことを聞いてみると、うるるはにっこりと笑いながらそんなことをいった。

 私はうるるが『死について』自然とお話をしたことに驚いた。

 ここは聖なる山だ。この聖なる山で暮らしているうるるは家族や山の民のみんなと『あたり前のように生や死についてのお話』をしたりするのだろうか? きっとそうなのだろう。神様の動物みたいな白い幻獣たちと一緒に暮らしていて、厳しい山の暮らしの中で、毎日、生と死に触れてうるるは生きている。

 うるるは幼いけど、街で暮らしている私よりもずっと命と触れ合って生きている。

 私はそんなうるるが触れ合っている命と触れ合うために聖なる山をのぼっているのかもしれないってそんなことを思った。

 聖なる山に吹いている冷たい風がとても気持ちよかった。

 うるるはまだまだだって言っていたけど、もうずいぶんと高いところまで歩いてきたと思う。

 聖なる山のほかにはなにも見えなくなっていたし、空もとっても近かった。

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