記憶
「みんな、おはよう」
担任の声が教室に響きました。
その瞬間、わたくしの心臓は強く跳ね、指先まで冷たくなったかと思いました。
(……いよいよ……林檎のことを……)
教室全体が一瞬で緊張に包まれたように感じられました。
けれど、担任の口から出てきたのは――拍子抜けするほど平凡な言葉でした。
「出欠確認の前に...えーまず来週の体育祭だな。出場種目をまだ決めていない人は今日中に申告してくれ。」
「それから、美化委員は放課後に会議室へ。あと――」
生徒たちの背筋が次第に緩み、カサカサとプリントを配る音、ペンを回す音が再び広がっていく。
わたくしは耳を疑いました。
(……え……? 林檎のことは……言わないの……?)
ちらりと林檎の席を盗み見る。
本人は何事もなかったように椅子に座り、窓の外を眺めていた。
口をきゅっと結んで、無表情。
その態度がかえってわたくしの胸をざわつかせる。
(どうして……。こんな大きなこと、先生が触れないはずが……)
(もしかして……隠そうとしているの? それとも、まだ“噂”扱いだから?)
担任は黒板に「連絡事項」の三つ目を書き足す。
「明日の小テスト、必ず授業用ノートを持参すること」
教室中が「はぁ〜」と小さくため息をもらし、空気は一気に日常へ戻っていった。
わたくしは机の上に置いた手を固く握りしめたまま、心だけが取り残されるように感じていました。
(……わたくしだけ、違う世界にいるみたい……)
こうして「何もなかったかのように」平凡な一日が始まってしまったのでした。
――チャイムが鳴り、HRが終わると同時に教室の空気は再びざわめきに満ちていました。
そのざわめきの中心にいるのはやはり――林檎でした。
「なあ……あれ、マジで林檎だよな?」
「うそでしょ、だって完全に女じゃん……」
「いや仕草は変わってないのに……顔とか体型とか、あれもう女子だろ……」
「俺まだあれが林檎だって信じられないんだけど...」
驚きと戸惑い、好奇の視線が一斉に林檎に集まる。
艶のある髪が肩にかかり、制服のスカート姿が違和感なく馴染んでいる。
林檎自身は席に座り、無表情で窓の外を眺めているが――その背中はどこか硬い。
わたくしは、胸の奥が締め付けられるような感覚に襲われていました。
(……やっぱり……本当に、女の子に……なってしまったんですのね……)
そんな中隣の席から、浜越若葉がひょこっと身を乗り出してきて。
「ねえみらい、あんた……顔、めっちゃこわばってるよ」
「えっ!? そ、そんなことはございませんわ!」
わたくしは慌てて笑みを作ろうとしますが頬の筋肉が思うように動きません。
そんなわたくしを見て若葉はため息をつき、鞄からラムネ菓子を取り出しました。
「ほら、食べなよ。こういうときは糖分だよ。……あんた、めっちゃ気にしてるでしょ?」
「わ、わたくしは別に……気にしてなど……」
(いえ、気になって仕方がありませんわ! だって……!)
視線の先で、林檎の横顔が窓の光に照らされている。
女の子の姿になったはずなのに、どこか変わらぬ落ち着いた雰囲気。
けれど、どう見ても――“可愛い”としか言えません!
(ああ、いけません……! どうしてわたくし、こんな気持ちに……!)
未来は思わず顔を赤らめ、若葉の差し出したラムネを一気に口へ放り込んだ。
「ん〜!とても甘いです!」
「やっぱね!未来朝食食べない人だからカロリー不足なんだよ〜」
若葉は少し笑うように言いいました。
「だって...」
わたくしは少し口籠もりながらも話そうとしました、
しかし丁度授業開始チャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。
「あ、先生きた」
「若葉さんまた後でね。」
「はーい!」
ふと前に姿勢を戻すと...
普段通りの雰囲気――ではない。
隣の席に座る林檎が、すっかり“女の子”の姿になっている。
長い髪を後ろでざっくり結び、華奢な手でペンを握る。制服のブラウスに浮かぶラインまで、まるで生まれつきの少女のように自然でした。
(……ち、違いますわ……落ち着いて、筑波未来……! ただの……!)
そう自分に言い聞かせても、横顔を見れば見るほど心臓が高鳴ってしまう。
そんな未来の気も知らず、林檎はいつも通り小声で話しかけてきた。
「なぁ筑波、昨日の夜に薄い本見てたろ?」
「しっ……静かに! 授業中ですよ!」
(......!?!?!?なぜバレてるのです???私は確かにカーテンも閉めてるし...外から見られるはずは...)
わたくしはものすごく焦っていますがなんとか冷静さを保ってい....る...?
「おー怖い怖い」
「え?てかあのお嬢様の筑波が薄い本見るん?」
クラスの何人かはひそひそと視線を送っている。
また他の人は囁いて噂を広げている。
“男だった林檎”が、今や“女の林檎”になった事実を、皆がどう消化していいのか戸惑っているのだ。
それでも林檎本人は、いつも通りの調子で未来に絡み続けていた。
こんな調子で3限目が終わり昼休みになった。
昼休みのチャイムが鳴り響くと同時に、教室全体が一斉にざわつき始めた。未来はふうっと小さく息を吐き、机の上にそっと手を置く。緊張の多い一限から三限を終え、やっと一息つける時間――そう思った矢先だった。
「未来ちゃーん! 一緒にお昼しよっ!」
弾むような声が背後から飛んでくる。振り返ると、いつもの親友・若葉が弁当を抱え、笑顔で立っていた。未来は少し頬を緩めて「ええ、もちろんですわ」と答える。二人は教室の隅に腰を下ろし、それぞれの弁当を広げた。
「ねぇ未来、最近ニュース見た? 円安の影響で輸入品がまた値上がりするんだって」
若葉は卵焼きをつつきながら切り出した。
「まあ……私たち学生にはすぐ実感しにくいかもしれませんけれど、家計には確実に響きますわね。食費が上がるのは辛いですもの」
「だよねぇ。私なんかもうカップ麺の値段しか気にしてないけど」
軽口を交わす二人。ほんの少し、平穏が戻ったように思えた――が、それはすぐに破られる。
「おい、これ見ろよ!」
不意に上がった大きな声。数人のクラスメイトが机を囲み、スマホを覗き込んでいた。画面を掲げた男子が得意げに叫ぶ。
「“心身性変病”だって! ストレスによる体全体での遺伝子異常で体の性別が変わる病気らしい!」
「え、マジ? そんなの本当にあるの?」
「イギリスの大学の論文記事の日本語訳だよ。ほら、体が“男から女へ”とか“女から男へ”とか……」
次第に、囁きは教室全体を覆い尽くしていく。
「じゃあ林檎のあれって、やっぱりそういうこと……?」
「確かに、今朝から完全に女の見た目だったしな」
「いや、でもそんなの信じられる?」
未来は箸を止め、無意識に唇を噛んでいた。心の奥で嫌なざわめきが広がっていく。若葉と目が合うと、彼女も困ったように眉をひそめていた。
(……やっぱり、こうなってしまいましたのね。噂は止められない。誰も、本人の気持ちなんて考えていないのに……)
昼休みのざわめきは、もはや“林檎=心身性変病”一色に染められていた。
未来が止めようとした時もう手遅れだった。
「グルラに共有しといたからみんな見て!」
『は? 何それ?』
『病気ってこと?』
『え、でも……朝の口調とか一人称変わってなかったよな?』
『信じらんねー!』
『じゃあ……もう林檎は“女”なのかよ……』
『本当にそんなことあるんだ……』
中には興味津々といった表情で囁き合う者もいれば、半信半疑で眉をひそめる者もいました。
わたくしは――心臓をぎゅっと掴まれたような衝撃に、思わず口を覆いました。
(やはり……本当に、あの姿は幻ではなかったのですのね……!)
「心も体の性別と同じく女になる病気だって。」
「え?でも林檎...平常運転だよな?」
「精神は男のままってこと?」
「でもほら...口調も変わってないし...」
――その直後、前の席から小さな声が漏れました。
「え...てことはさ……林檎くんって中身は男なんでしょ? なんか着替え見られたりするの気持ち悪いわね」
教室の空気が一瞬ひやりと揺れ、わたくしの胸にもチクリと鋭い痛みが走ります。
(気持ち悪い、ですって……!?)
けれど、若葉はすぐにその言葉を遮った。
「本人の気持ちを考えずに軽率な発言をすることこそが、一番“気持ち悪い”では?」
しかし若葉の言葉を聞いた後も、教室の空気はどこか落ち着きを取り戻せませんでした。
静まり返るかと思えば、すぐに小さな囁き声があちこちから漏れ始めるのです。
「確かに」
「病気を囃してるのってよくないよね」
「てか、それより更衣室とか……一緒に使うの?」
「はぇ〜...漫画みたいなこと起きるんやなぁ...」
話題は尽きることなく、好奇心や戸惑い、不安といった色が入り混じり、ざわめきは次第に大きく膨らんでいきました。
「一回静かにしよっか!」
若葉が何度も声を張り上げますが、その声をかき消すように生徒たちの囁きが続きます。
(……みんな……! こんなに...いじめなくていいではありませんか!いくら嫌いとはいえ本人が望んでないことで周りがいじめるのはいかがなものでしょう......!)
わたくしは机の下でぎゅっと手を握りしめました。
クラス全体がざわつきに支配され、誰一人として真剣に若葉の言葉を受け止めていないように思えたからです。
「でもさー……女になったって言っても、やっぱり中身は男なんでしょ?」
「やっぱ無理あるよなー」
「いや逆に得じゃね? 男と女のいいとこ取りみたいでさ」
クスクスと笑う声、戸惑いを隠せない声、露骨に気味悪がる声……。
すべてが林檎に向けられた視線であることを思うと、胸の奥に重苦しい塊が広がっていきます。
(……やめて……! 林檎を、これ以上……!)
けれど、わたくしのその心の叫びは誰にも届かず――
教室は、ただ異様なざわめきに包まれ続けておりました。
その時でした。
机に両手を置いた林檎が、ガタンと椅子を揺らす音を響かせながら、顔を上げたのです。
「……僕だって……!」
その声は震えていました。
しかし次の瞬間、教室を切り裂くように、張り詰めた叫びが響き渡ります。
「僕だって、こんなの望んでなったわけじゃないんだよ!!」
――ビリ、と空気が震えた気がしました。
ざわめいていた声が一斉に止み、教室は一瞬で静まり返ります。
誰もが思っていた疑問や好奇心を、本人の口から突きつけられた形になり、全員が息を呑んで林檎を見つめていました。
林檎は肩を震わせながら、必死に言葉を絞り出します。
「……目が覚めたら勝手にこうなってたんだ。僕だって戸惑ってるし……どうしたらいいかなんて、わからない……!
だから……っ、そんな風に面白がるみたいに言わないでくれよ!!」
最後の言葉は、嗚咽にかき消されるように震えていました。
その姿を前に、誰一人、軽口を叩く者はいません。
ただ重い沈黙が教室を覆い、全員の胸にどうしようもない緊張が広がっていったのです。
(……林檎……)
わたくしは思わず息を詰めました。
その背中が、あまりにも小さく、そして痛々しく見えてしまって――。
重苦しい沈黙の中、わたくしの胸の奥で、何かがぷつりと切れました。
「……そうよ!」
気がつけば、立ち上がって声を張り上げておりました。
クラス中の視線が一斉にわたくしに向かいます。
しかし、そんなことなどどうでもよろしいのです。
「林檎が可哀想でしょ! 本人が一番つらいに決まっておりますわ!
なのに軽々しく口にしたり、面白半分に囁いたり……恥を知りなさいませ!」
声は震えていました。けれど確かに、わたくしの全身から迸るものがありました。
「……」
誰も反論できず、ただ呆然とこちらを見ております。
いつもお嬢様のような丁寧な調子で流していたわたくしが、本気で怒りを露わにしている――その事実が、皆の舌を凍りつかせたのでしょう。
わたくしは机を握りしめたまま、なおも続けました。
「林檎は……林檎は望んでこうなったわけではございません!
だから……だからどうか、もうこれ以上、彼...いや彼女を傷つけないで……!」
最後の方は、声にならぬ声でございました。
わたくしの喉が熱く、胸が締めつけられ、これ以上言葉を絞り出せなかったのです。
ふと隣を見やりますと――林檎が、大きな瞳をこちらに向けておりました。
その表情は驚きに満ち、そしてほんの少し……安堵が滲んでいたように思えます。
(……ああ、わたくし……どうしてこんなに……)
胸の鼓動が止まらぬまま、ただ林檎の横顔を見つめ続けることしかできませんでした。
「……筑波、ありがとう。でも落ち着けって...」
林檎の真剣な声が、張りつめた空気を少し和らげました。
わたくしは肩で息をしながらも、どうにか席に腰を下ろします。
そんなことも束の間すぐに林檎はSNSでメッセージを送ってきました。
「本当にありがとう、みらい」
(……っ!)
その一言に、胸が強く締めつけられます。
わたくしは慌ててそっぽを向き、机の上に置いた手を固く握りしめました。
――そんな中。
クラスのあちこちから、また小声が漏れ出します。
「……やっぱ筑波と林檎って夫婦みたいじゃね?」
「ほら、ああいう感じ……なんかさ、守ってる嫁みたい」
「いや逆だろ、筑波が旦那で林檎が奥さんって感じじゃん」
「うわー、なんかそう見えてきたんだけど……」
クスクスと笑い声。
それはわたくしの耳に突き刺さり、心をざわつかせました。
(ふ、夫婦ですって!? わたくしと……林檎が……!?)
(いえ! 断じてそんな……! あんな奴と……っ!)
必死に自分へ否定を投げかけるものの、
頬は熱を帯びてどうしようもありませんでした。
一方、林檎は……机に突っ伏し、耳まで真っ赤にしているのでございました。
そんな中クラスメイトの1人が額に手を当て、ため息混じりに口を開きました。
「おまえらさぁ……人のことをそんなふうに……」
その瞬間、わたくしはもう我慢できませんでした。
「いい加減にしなさい!!!」
机を思い切り叩き、立ち上がります。
教室中の空気が一気に凍りつき、クラスにいた全員の視線がわたくしに集中しました。
「林檎がどれほど苦しんでいるか、少しはお考えになったことがあるんですか!?
心身が勝手に変わってしまう恐怖を! 望んでもいないのに身体が女の子になってしまった、その悲しみを……!」
わたくしの声は、震えていました。怒りと、そしてどこか涙に似た感情で。
「それを“夫婦みたいだ”なんて軽々しく……! 冗談にも程がございますわ!」
さらに胸の奥から、抑えきれない衝動が溢れ出しました。
「第一...こんなやつ、好きでもありません! 常識的に考えて……か、可哀想だから……っ……!」
声が震え、喉の奥で詰まるように途切れてしまいました。
必死に言葉を続けようとしても、どうしても出てこないのです。
(な、なんで……わたくし、言えなくなっているの……!?)
教室にはわたくしの荒い呼吸音だけが響き、クラスメイトたちは凍りついたように視線をそらすこともできずにいました。
しかしそんなことも束の間、その空気を打ち破るようにクラスの一角から軽薄な声があがりました。
「おーい、姫がご乱心だ〜!」
「やっぱ筑波さんって、林檎のこと絶対好きだよな?」
「お姫様とお姫様〜♪」
囃し立てる声があちこちから飛び、抑えていた笑いが弾けるように広がっていきました。
わたくしの耳にその声が容赦なく突き刺さります。
「……っ!」
どうしようもなく胸が熱くなり、涙が込み上げそうになるのを必死に押さえ込みます。
けれど、それでも嗚咽が喉の奥を震わせて――もう耐えられませんでした。
「私は……っ! もう、知りません!」
わたくしは椅子の脚が床を引きずり、ガタガタと音を立てて机にしまい、教室を飛び出しました。
その背中に、追いかけるような声が飛んできました。
「筑波!」
「みらいちゃん!」
「ちょっと待て、筑波!」
林檎と若葉さんと梨野さんの声でした。けれど、もう聞きたくありませんでした。
わたくしは涙を隠すように走り、廊下を抜け、昇降口を越えて――そのまま校門を駆け抜けました。
(いやです……! あんな嘲りの声、聞きたくありません……!)
(わたくしは、ただ……! ただ、間違っていると思ったことを口にしただけなのに!)
林檎の足音が遠ざかり、やがて完全に聞こえなくなりました。
わたくしはどこをどう走ったのかも覚えていません。ただ気づけば――
夕方、赤く染まる空の下。
静かな公園のベンチにたどり着いていたのです。
蝉の声がまだわずかに残り、夕暮れの影が伸びてゆく。
疲れ果てたわたくしはベンチに腰を下ろし、背もたれに体を預けました。
でもまだ落ち着きません。
(……わたくしは、どうしてこんなに……動揺しているのでしょうか……)
(あの方のことを庇っただけのはずなのに……どうして“好き”なんて言葉に、心が乱れるのです……?)
俯いて、自分の指先をぎゅっと握りしめていたそのとき。
「……筑波」
聞き慣れたトーンの声が、夕暮れの風に混じって響きました。
顔を上げると、そこには私服姿の――林檎が立っていたのです。
赤く染まる空を背に、どこか影を帯びた表情で。
「……ここにいるんじゃないかって思った」
その言葉は、まるで長年わたくしの心を知っていたかのように自然で……。
わたくしは一瞬、息を呑みました。
「……なんで、あんたがここにいるのよ!」
わたくしは夕暮れの公園に声を響かせました。
胸の奥に渦巻く感情を隠しきれず、思わず吐き捨てるように。
けれど――口にしたその瞬間、不意に脳裏をよぎったのは、幼い頃の情景。
――小川で石を拾って遊んだこと。
――転んで泣いたわたくしに、必死にハンカチを差し出してきた林檎の顔。
――「未来は泣き虫だな」なんて笑いながら、いつも隣にいた彼。
――そしてこの公園でたくさん遊んだこと。
(……そう、わたくしたちは……幼馴染でしたのに……)
思い出したくなかったのに、思い出してしまう。
心のどこかで、彼女を突き放せない自分がいることを悟ってしまいます。
林檎はしばらく黙ってわたくしを見つめ、やがて小さく息を吐きました。
その表情には、子供の頃と同じ優しさが――ほんの少しだけ、残っているように見えました。
そして、彼は静かに言葉を紡ぎます。
「だって幼馴染なんだから知ってるに決まってるでしょ?」
少し沈黙したのち彼女は口を開いて...
「......てかごめん……今までいじってたのって、筑波……いや、未来ちゃんの反応が可愛くって……」
「はぁ?!...っ……な、なにを言い出すのですの……!」
わたくしの胸が激しく脈打ち、頬が一瞬で赤く染まります。
幼馴染としての記憶と、今の彼の真っ直ぐな言葉が重なって、心がぐらぐらと揺さぶられるのを止められませんでした。
「だから……つい意地悪ばっかしてたんだ。ほんとに……ごめんな」
「……っ」
夕焼けの光の中、その声は昔の懐かしい響きを伴ってわたくしに届きました。
7500字を超えてなんか異常すぎて連載が止まるかもしれないとヒヤヒヤしてるTsukubaです。
3話まで進んで夕方までしか進んでないのいつ完結するか分からんくて怖いです。




