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出来損ないの異世界転移録  作者: アビトotiba
第0章 僕のスタート
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0-1話 僕の1ページ目

この世界では、僕たち人間のうち約85%もの人々が何かしらの能力を持っている。

物を引き寄せたり、火をおこしたり、声を巨大にしたり、、能力を持つ人々は重宝され普通の暮らしを送ることができる。

しかし一方で、残りの15%の能力を持たない人々は、欠陥生物とされて蔑まれているのである。

欠陥生物と言われた人々は人間界から隔絶されたような生活を送ることになる。飯は一週間に一回食べれるか食べれないかの争いで、表で暮らすことはかなわず、路地裏などで身を寄せ合い貧しい生活を余儀なくさせられる。

そしてこの僕、ルヴェル・ハーマもその欠陥生物の一人なのである。

ルヴェルと言う名は響きがよく、羨ましがられるいい名なのだが、いくら名がよかったとしても能力は手に入らない。この世界は実に不条理なものである。

そして、この世界と言ってはみたものの、ここ以外にも世界があるのかは謎なのである。


「おいルヴェル!!!何を突っ立ってる!!」

「すいません!!今すぐ動きます!!」

「口じゃなくて手を動かせ!!!」

「はいぃぃぃ!!!!!」

そして、僕はこの厳しく冷酷なリーダーに叱咤されながら汗水を垂らしてせっせと働いているのである。ああ僕はなんて偉いのでしょうか!すごい!

「お前みたいな欠陥、雇っているだけ感謝しろ!!!」

最初に言った通り、欠陥生物はただそれだけで忌み嫌われ、迫害されるというのが常識だ。しかし、リーダーはこんな僕を拾ってくれて、雇ってくれているのだ。その懐の深さにしびれる憧れるぅ!

「いってきまぁぁす!!!!」

「早く行って来い!!!」

空元気を出し、僕は馬車で作業所から勢いよく飛び出す。


今回の荷物の届け先は遠方の遺跡群の町、祭事に使うなんてことをリーダーが言っていたような気がする。中身は極秘なので何が入ってるか知ることはできないが、よっぽど重要なものなのだろう。

そう考えながら、平原や山などをすっ飛ばしていく。途中街道が閉鎖されていて迂回する羽目になったりと今日は運がついてない。しかし時間厳守なので時間通りに着かないとどうなることかわからない。

多額の報酬、時間厳守、中身や用途の詮索禁止。

いつもと違いすぎる特殊な依頼で、いろいろ気になることは多いけれど、今はとりあえず時間通りに着くために馬を今までにない速度で走らせることに集中しなければ。


しかしその後数時間走ってきた辺りで、荷物の中身がさっきまでよりも気になってきた。見るなと言われた物は見たくなってしまうのが人間というものなのだ。ここの街道は人通りも少ないし、誰かに目撃される心配もない。そう安堵した僕は、馬を止め、荷物を開けてみることにした。荷物を開けてみると、中身は得体の知れない球体型の何かだった。よく見ると、中にはとてつもない密度をしたからくりが入っていて、見ようとしても脳が理解しようとすることすらできないようなレベルものだった。しかし、からくりならどこかに動かすためのスイッチがありそうなのだが、、見当たらない。

っていうか地味に動いてるしなんなら光ってきているというか、目が失明する勢いで光を放出している。めっちゃ眩しい、なに?目くらましレベル100?目が痛いんだけど!


次に目が開いたのは数分後だった。どうやら少し気絶していたようだ、なにか体に変化が起きているわけでもない。あのからくりは何のためのものだったのだろうか。そして、その装置はどこに、、

「って、なんじゃこりゃぁぁ!?」

思わず声が出てしまった。壊れてしまっている。一回きりのからくりってなんだよ、ってかこれどうすんだよ。やばいやばい。大事な荷物を壊してしまった。見るなと言われた荷物を勝手に開けて、勝手に使ったら壊れたなんてことがバレたら相当まずい。というか壊れてしまってる時点で誤魔化しようがない。ヤバい、終わった。そう思ったその瞬間、

[入手]【世界転移(ワールドワープ)

そんな表示が目の前に現れた。


これって、能力がある人だけが見れると言われている、[ステータス]だよな、、?

ということはさっきのからくりは能力を授けるからくりだったのか!と言うことがわかっても現状は何も変わらない。正直に言って多大なる責任を取らされるか、偽物を作って届けてやり過ごすか、このままトンズラかますか、こんなところしか思いつかない。特に最後の選択は最悪だ。人間として。しかしこれ以外の選択肢も思いつかない。でも、待てよ?さっきの能力、世界転移って書いてあったよな?世界に、転移って書いてあるってことは、もしかしたら別の世界に行けるのかもしれない。さすがに別の世界まで追ってこれるわけはないだろう、これを使うしかない。僕は深く考えず、

世界転移(ワールドワープ)

そう叫んだ。その瞬間、先ほどとは違う穏やかな白い光に僕は包まれた。

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