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この作品に描かれている内容は、
如何なる実在する人物、組織への誹謗中傷を意図したものではなく。
現実世界のいかなる団体、個人を指し示すものではなく、
全て物語でありフィクションであり、実在の人物・団体、実際の事件とは一切
関係ありません。
この作品いかなる犯罪行為を肯定するものでありません。
「ということで、ギルドから出ていってもらう」
突然の通知だった。しかし、驚くことはなかった。
そもそもバロスがどういう男かもわからないままかなり頑張ったほうだった。
しかし、かなりボロが出ていたのだろう。
ここ最近バロスの性格が変わったととう陰口がバロスの耳にも届いていた。
正直そろそろ限界だろうなだとは思っていた。
正直に言えば、
俺は運が良かった。
転生ボーナスも、初期スキルも、かなり当たりだ。
この村はチュートリアルにちょうどいい。
敵は弱いし、NPCも多い。
「さて、効率よくいくか」
クエスト条件は単純だった。
“指定区域の安全確保”。
モンスターだけじゃない。
この世界では、人間も条件に含まれる。
……まあ、そういう世界だ。
家の中に入った時、
中年の男と女がいた。
武器はない。
魔力反応も弱い。
「あー……一般人か」
少しだけ迷った。
でも、経験値は経験値だ。
一瞬で終わらせた。
痛みを感じる前に。
「ごめんな」
口ではそう言った。
心は、もう次の報酬を計算していた。
――その時。
家の奥から、物音がした。
「……?」
小さな足音。
出てきたのは、子供だった。
目が合う。
大きな目。
状況を理解していない顔。
「……あ」
しまった、と思った。
情が湧いたわけじゃない。
後処理が面倒だと思っただけだ。
だが、子供は泣かなかった。
叫びもしない。
ただ、
倒れている二人を見て――
ゆっくりと、理解していく顔をしていた。
その目が、こちらを見た。
「……お前が、やったのか」
声が震えていた。
怒りというより、壊れかけている音だった。
「いや、まあ……そうなるな」
俺は肩をすくめる。
「ここ、異世界だし。
悪いけど、俺にも事情がある」
子供は、何も言わなかった。
ただ、拳を強く握っている。
(殺すか?)
一瞬、考えた。
でも――やめた。
「経験値、低そうだし」
本音だった。
「生きてりゃ、そのうち分かるよ」
そう言って、背を向けた。
外に出た瞬間、
システム音が鳴る。
クエスト達成
経験値+
スキル取得
「よし」
俺は満足して、その場を離れた。
――その時点では、
それが世界を壊す一歩だったなんて、思いもしなかった。
◆
後になって聞いた話だ。
あの子供は、生き延びたらしい。
誰にも助けられず、
奇跡も起きず、
ただ、生き残った。
そして成長した。
転生者を、狙うようになった。
最初は噂だった。
「転生者が、殺されている」
「スキルを無効化された」
「死に戻りが発動しなかった」
笑っていた。
「そんなの、設定盛りすぎだろ」
でも――
ある日、分かった。
あいつだ。
あの時の、目。
憎しみじゃない。
悲しみでもない。
あれは――
理解した目だった。
「……俺は、間違ってなかったよな?」
誰に言うでもなく、そう呟いた。
「ここは異世界だ。
俺は、主人公だ」
だが。
背後で、足音が止まる。
振り向いた瞬間、
世界から“選択肢”が消えた。
理解した。
――ああ。
俺は、
主人公じゃなかったんだ。
あいつにとって、俺は。
「……ただの、転生者だ」
剣が、振り下ろされる。
それは復讐ではない。
正義でもない。




