第12話 予想外の事態、伯父様に請求書が来る。いきおい、色々な事実が暴かれる
ユーリーン達3人は楽しくダイニングルームへ夕食に行ったのだが、先に席に着いていた伯父様は、何だか気難しい顔をしている。王から上手く宰相職をニキに授けてもらい、ご機嫌だと思っていたのは、違ったのだろうか。
ユーリーンは思わず、言わなくても良い事を言ってしまう。いつもの事だが、
「あら、伯父様。匿名6人は思ったより多かったとか?」
「ふん、そっちは予想通りの数だった。予想していなかったのは、セピア公国の首都の市長から、請求書が来たんだ。この間の被害を弁償しろだとさ」
「まあ、そんなの酷い」
ニキも、
「それは予想外ですね。しかし、グルード家に請求するとは妙だな。請求するなら、北ニールの国家か、国王では?」
「それが、例のカイザーの元彼女が警察に証言していて、警備員も知っている事を言っているようだ。それで、グルード家とガイル家の魔人同士の争いで、被害は私恨の争いのとばっちりと言う結論になっている」
「国王は説明とかはしていないのですか」
「木の根の話は北ニールの秘密にかかわるから、していない。これが北ニールでの事なら、どうと言う事も無かった。南ニールで始末しても、敗戦国相手だから何とかなった。だが、全く関係のないセピア公国で始末する事になったから、説明できないんだな、国王達は。つまり、私恨で通す気だ。誰の仕業か分らなければ良かったが、あの娘は事情を知っていて、わしのした事だと証言した」
「ふざけた奴、ビリジアニめ、きっとカイザーも死んで、逆恨みしているんだ」
ユーリーンは憤慨する。ニキも、
「一般民の証言は重いですからね。ビリジアニは、死んだカイザーと付き合っていた事を隠しているでしょうね。目的はこちらを困らせる事でしょうから。それに警備員も見ていたし。それにしても、二人はよく建屋の崩壊の中を逃げていけましたよね。その娘は魔人でしょうか」
「うむ、カイザーと付き合うことが出来ていたのなら、魔人だろう。南ニールに居て、木の根の先っぽでも無いとしたら、以前から南に住んでいた魔人の子孫だろうな。素性を隠している魔人が南にも居るから」
「そういう話になると、セピア公国にも魔人がいる事は確認していますよ。北ニールの魔人がセピアで暮らして居る内に、数家族確認しています。僕もその中の数人との付き合いが有ります」
ニキが言っているのを聞いたユーリーンは、イチの事だなと思った。伯父様は、
「ほう、付き合いがあるのか。しかし、そいつらは信用が置けるのかな。ニキが知っていると言っても、付き合っているのは最近からでしかないだろう。お前の歳はいくつだったかな。彼らが信用できるほどの年月とは言えまい」
「そうでしょうか、30年ほどでは信用できないですか」
「うむ、出来ないな。わしは、この国の魔人でも、ほとんどの魔人は信用できないと思っているぞ。同じ一族でも出来の良し悪しもあるし、長年の付き合いが有っても、信用できないと捉えている一族がある。気を付けねば、足をすくわれかねないぞ」
「そうですか。気を付けておきます」
そこで、意外な内容を聞いたユーリーン、
「ニキ、あなた自分の歳幾つ?30年って言ったよね。セピアに居る魔人と付き合うと言う事は、大人になってからじゃないの。あたしの夢と比べても、何だか歳が変」
「子供の頃から、セピア公国には両親と一緒に行き来していてね。セピアに構えていた家の近くに、イチ一家は居たから、そういう年月になる」
「そうだとしても、私は19歳で、4歳のあの頃から15年しかたっていないし、ニキはまだ子供だったでしょ、イメージとしてはせいぜい年食っていたとしても12,3歳じゃ無かったの」
「ああ、あの時はね、ユーリーンはまだ小さくて、僕は君と遊ぶのに下を向くのが首がだるくて、背を低くしていたんだよ。そういう魔法得意だったんだ。あの頃は18歳で、ユーリーンは僕の腰ぐらいしかなかったから。目線を合わせづらいからね」
「はあっ、何て奴。子供どうしだと思わせていたんだっ」
「いけなかったの、今更だけど」
リューンは、そこで言った。
「それはねぇ兄様、何となくやらかしている感じだな。あのカイザーは、若いだけが取り柄って言う立場に変わっているね。あいつに取柄が出て来ている」
「ええっ、奴に取柄が出来たのか。じゃあ僕は?」
ユーリーンは言った。言っておかねばならない。
「年齢偽装。30過ぎはおじさんに限りなく近い」
「お前達、そんな些少な話題は辞めなさい。それより市長の要求額を知りたくは無いのか」
「知りたい」
能天気にユーリーンは言うが、ニキは、
「知るのが恐ろしい気がします」
「では、少し匂わせておこうか。億が付くが、兆まではいかない」
「ひっ。どうするの。生命保険でもそれほどの額はかけられないでしょね」
「ユーリーン、姪の言う事では無いですよ」
ニキはユーリーンの本性に気付いたか?
「いいさ、どうせ子は居ないと思って保険は掛けてはいなかったから、わしが死んだとしても、雀の涙ほどの足しさえも無い。くそみそに罵倒されても、言い返せないと言うのが現実だな。借金は養子に引き継がれる。魔族の神に契約してしまったから取り消せない。ははは」
「もう。何か手はないかしら。誰か考え付かない?」
リューンは、
「ダメ元で、訴えたら。セピアには裁判所とかあるでしょ。異議の申し立てって奴」
「調べてみるべきでしょうね。法律を詳しく」
ニキもリューンに同意した。
「じゃあ、ニキが調べるの」
「そうしなければ、僕らに借金が掛かって来ますからね」
伯父様は、
「市長は訴えられたところで勝てると思って請求したと思うが、ま、念のため調べてみてくれ。わしは明日、市長の所に直談判に行って来る」
ユーリーンは、
「脅して、捕まえられるような事にはならないでね。捕まりそうになっても、戻って来れるでしょうけど、そうしたら、逃亡って事でしょ」
と言っておいた。伯父様にはこの事は念を押しておくべきだ。これ以上金入りの可能性のある事は、しでかして欲しくない。
ユーリーンはふと思った。あたしったら、恩があるくせに金が絡むと、掌返しの態度よね。しかし、この事に気付いた所で、態度を変える気にはなれない。自分はそう言う奴なのだと自覚している。
伯父様も、あたしが身内でなければ、あたしを信用できない奴の部類に入れているはずだと思った。
近頃のエピソードも短いですが、一話ずつの投稿です。若い頃の心情を思い出しながら書いて、恋愛感情多めにしたかったのですが、途中からネタの思いつき方向がだんだん変わってきて、何処へ行きつくのか不明です。数話先まで書いていますし、ストック切れにはならない筈です。




