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第48話


「正面、光と闇多数!俺が防御、リンカさん攻撃!」


「はい!ライトニングブレード!ダークアロー!」


「後方からも多数、全方位囲まれている!後方と両側面は俺がやる、リンカさんは前方への攻撃に集中!」


「はい!前は任せて!」


 現在地はナビスの迷宮第5階層。当初の目的だった階層には到達できた。到達はできたんだが、この階層に到達する直前に問題が発生した。







「この階段を降りたら、5階層ですね。今いる4階層から、光と闇の魔物が発生するようになりました。街の人やギルドの話では、出現する魔物は、火、水、土、風、雷、光、闇、全部で7種。4階層以降は、この7種が出てくる、そして、それが延々と続く、と。」


「そうらしいな。このワンパターンな階層が延々と続いて、終わりが見えない、だったか。」


「ですね。なので、次の階層もここと同じパターンだと思います。」


「わかった。特段変化はないと思うが、油断せずに。迷宮というのは、何があるかわからないからな。」


「はい、勿論です。」


 次が目的の第5階層。朝から迷宮に入り、順調に進んできた。このまま次の階層も攻略してから迷宮を出よう、と思っていた。思っていたんだが、


「リンカさん、階段に注意、気配あり。何か来る、障壁を!」


「え!わかりました、障壁張ります!」


 すぐに障壁を張る俺とリンカさん。これで大抵の攻撃には耐えられる筈だ。そして、俺の気配察知に反応したのは一つのみ。それが、階段を上ってくる。たしか、通常魔物は階層間を行き来しない、ときいている。この気配が魔物であれば、迷宮反乱も有り得るのか?

 なんであれ、要注意だ。このまま階段を上って来るのを待って、必要なら即迎撃だな。もうそろそろ、その気配が階段を上りきり、俺達の前に姿を現す。さて、魔物か、魔物以外の何かか。




「っ!うう。助け・・・て」


 警戒する俺達の前に現れたのは、魔物ではなく、人間だった。魔物でなかったのはいいんだが、かなり傷だらけで、ズタボロになった女だ。これは・・・何かあったな。


「おい、何があった!?」


「皆が・・助け・・・」


 何があったのか訊くと、息も絶え絶え、返ってきたのはこれだ。これは、穏やかじゃないな。下の階層で、この女の仲間が死にそうになっているということか。ひとまず、ヒール。


「あ・・・痛みが」


「この下に、あんたの仲間がいるのか。」


「はい、いきなり大勢の魔物が出て、助けを呼ぼうと・・・」


 そう言うと、意識を失ってしまった。疲労が限界まで達したのだろう。どうやら、下は相当危険な状態らしい。


「リンカさん、こういう場合、助けに行ってもいいのか?獲物を横取りされたとか、後でトラブルにはならないか?」


「ここまで被害を受けているなら、大丈夫です。明らかに助けを求めていましたし、救助になります。」


「わかった。下にいる連中の救助に向かうが、問題ないな。」


「はい!及ばずながら、私もお供します!」


「なら、この人は俺が担ぐ。リンカさんは戦いに集中。行くぞ。」




 こうして、俺達は階段を急いで降りて5階層へ向かった。




 俺達が5階層に着くと、そこは開けた空間が広がっていた。そして、普通なら暗いこの迷宮において、今はライトが必要ない位、前方が明らかに光っている。誰かの魔術で光っているのではなく、魔物が集まった結果発生した光であることは一目でわかった。火や雷、光の魔物だろう。それに混じって、他の属性もうじゃうじゃいる。おそらく、あの中に逃げ遅れた人がいる筈だ。多勢に無勢、捕食者が圧倒的優位な立場から、弱り切った獲物を痛めつけているかのようなこの光景、正直言うとかなり悍ましい。

この状況、助けられるかはわからないが、なるだけ人にダメージが無いようにしないとな。


 アクアウォール


 これなら、人は水に濡れるだけだし、火の魔物には大きなダメージが入る。それに、他の属性の魔物の注意を俺に引き付けることもできる。

 よし、狙い通り火の魔物はかなり減ったな。すかさず距離を詰めて、


「ライトニングブレード」


 次はリンカさんの攻撃で、密集している魔物達を拡散させる。この隙を逃さず、魔物が群がっていた中心部分に辿りつけた。そこには、傷だらけの、満身創痍の男が三人に女が一人。内、立っているには男一人だけで、後の三人は意識が無さそうだ。倒れている三人の生存確認は後回し、時間がない。


 リザレクト


 俺を中心として、半径3メートル程に治癒魔術を使用。これで、生きていようが死んでいようが、治癒魔術はかけた。後は魔物共を倒すのみ。



「あんた、助けてくれるのか?」


 魔物だらけのこの状況で、倒れることなく奮闘していた男が、声をかけてきた。


「助けてくれ、と頼まれたぞ。気ぃ失っているこいつから。」


「ルル!ああ、それはありがたい!」


「ここは俺達が引き受ける。動けそうにないなら、防御だけしていろ。あと、この女を任せるぞ。」


 そう言ってから、担いでいた女をそいつの側に降ろした。


「ああ、助かる。」


 さて、とりあえず一人は無事が確定。あとは油断せずにいこう。





 これで、あとはサクッと終わらせるだけだったのだが・・・。こいつら、湧いてくるスピードが尋常じゃない!7属性の魔物共が次々と。最初は、修行がてらリンカさんだけに任せようと軽く思っていたが、流石にこれは厳しい。


「マサツカさん、敵が多過ぎて、このままだと魔力が尽きます。」


「ああ、しまったな。俺の判断ミスだ。」


「いえ。とにかく、この状況でもなんとかしないと。素手でなんとか!」


「何をバカな。素手でエレメント系にダメージが入るか!?やめておけ。」


「だけど、このままだと・・・準備不足、ごめんなさい。」


「謝罪も反省も後。リンカさん、自分を中心に、そこの五人を含めて囲みこむように無属性の障壁を張れ!5秒でいい、ただし全力で!」


「あ、はい!それならなんとか!今やります!」


 よし、いい返事だ。リンカさんの魔力が無くなりそうなので、そろそろ終わらせようか。


「あ!マサツカさん、障壁の内部にも敵が!」


「安心しろ、もう片付けた。」


 リンカさんが障壁を張った時に内側にいた魔物は、既に倒した。そして、敵が一瞬いない状態で、俺が結界を張り直す。しかも、超硬度の結界だ。と、同時にリンカさんが膝を着く。ああ、上出来だ。ゆっくり休んでおけ。

おかげで、こっちの準備はできた。さあ、さあ!敵だらけのこの状況、難しい技だが・・・今が使い時だ。




 イメージしろ、炎、火山、噴火、雷、怒り・・・・・・・・・


 魔力を練り上げ、纏め上げ・・・そうだ、それでいい、それを全方位へ拡散・・・


 大丈夫、俺ならできる。他の誰でもない、俺なら・・・


 ・・・・・・我が信念はここにアリ、故に我究極。仇成すモノ全て殲滅・・・・・・




 消え失せろ ボルカニック・サンダー!




 ビシャーン!!!バリバリバリィィィィィィゴォォォォ!


 敵の殲滅を念じ・・・どうやら成功したようだ。俺達を囲んでいた障壁の外に、天地を滅するがごとく、幾多の雷が降り注ぎ、轟音が鳴り響いた。

成功したのはいいが、魔力がごっそり抜け、強烈な倦怠感が襲ってくる。この世界に来た時より、少しは強くなったと思っていたが、俺もまだまだ未熟ということだな。








「もう、今回ばかりはダメだと思いました。本当に疲れました。あの魔物の大群・・・しばらく夢に出て来そうです。恐いです。」


 敵を一掃して、警戒しつつ休息をとっていると、リンカさんが話しだした。


「まぁ、気持ちはわからんでもない。それはそれとして、リンカさん、そこそこ強くなったな。」


「いつもならそう言ってくれると嬉しいんですが、魔力切れかけてましたし、未熟です。それに、まだまだマサツカさんには師事したいので、精進あるのみですね。あと、あの雷魔術!隠し玉ですか?教えてくださいね?」


「あれはかなり難しいぞ。それでもいいなら覚悟しとけよ。さて、周囲に敵はいないようだし、動けるなら早いとこ迷宮を出るぞ。その三人は生きてるのか?」


「はい、気を失っていますが、呼吸してますので生きています。マサツカさんの治癒魔術が効きましたね。」


「なら、さっさと行こう。俺はこの大男を担ぐ。リンカさんはさっきの女を頼む。えーと、おっさん、あんたは残っているその二人を運べ。できるな?」


「助けてくれたことには感謝しかない。だが、俺はまだ25歳だ、おっさんじゃねぇ!」


「ほぉ、元気じゃねぇか。大したもんだ。おっさんでもなんでもいいから、早く出るぞ。詳しい話は後だ。」


 ボルカニック・サンダーで敵を殲滅した後、俺の倦怠感もある程度回復し、リンカさん、おっさんも動けるようになり、迷宮を出ることにした。いつもなら第5階層は特に代わり映えしない階層だときいていた。だから、今回の件は異常事態と言えるようだ。おっさん曰く、


「こんなこと、これまでになかったはずだ。ギルドにも説明しなきゃなんねぇ。」


 だそうだ。


 本来なら、ここを出たら1泊だけして、明日には出発したかったんだが、できるのか?とりあえず、出てから考えよう。


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