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第29話


 図書館を出て、傭兵ギルドへ、と思えば、すぐ近くにあった。なんでも、クレイバにはいくつか傭兵ギルドがあるそうで、最初に行ったのは王都入り口前支部、ここは学院前支部というようだ。学生が授業のひとつとして依頼を受けることもあるようで、その時はこのギルドを利用するらしい。


 中は、入り口前支部と同じ感じだな。さて、依頼内容は・・・

 護衛依頼、害虫駆除、それから・・・臨時講師?見れば、学院の魔術特論の臨時講師とある。報酬は1授業60分で銀貨3枚。明日だな。報酬額よりも、ここで大事なのは学院と繋がりが持てることだ。よし、早速受けよう。俺は依頼票を持って受付へ行った。


「この、臨時講師の依頼を受けたい。」


「はいはーい、かしこまりました。お!早速ですね。フランシス教授ー!早速依頼を受けてくれる人が来てくれましたよー!」


 元気な受付さんだな。


「あら、もう?ありがたいですわ。どなたかした?」


「こちらにいる、マサツカさんです!マサツカさん、この方が依頼主のフランシス教授です!」


「初めまして、フランシスと申します。この度はこの依頼に興味を持っていただいてありがとうございます。」


「マサツカです。傭兵ランクはFです。よろしくお願いします。」


「こちらこそよろしくお願いします。早速ですが、今回の件でお話しをしたいのですが、これから学院まで来てくださいますか?」


「わかりました。」


 驚いたな。このフランシスという人、俺が傭兵ランクFと言ったのに、態度を変えない。学院の人も貴族みたいにランクで態度を変えるのか試そうとしたのだが、失礼なことをしてしまった。申し訳ない。フランシスさんは、白い肌に長い耳をしている。この特徴は・・・どうやらエルフのようだ。どこか民族衣装を思わせる装いから、放浪の旅人のようにも見える。



「フランシス教授は、どうしてこの依頼を出されたんですか?」


「そうですね。正直なところ、いつものように私が授業をしてもいいですし、依頼を受けてくれる人がいなければそのつもりでした。ですが、学院外の、より実践に近い魔術についても学生には学んでほしかったからですね。私達はどうしても中に籠りがちになりますから。でも、学生達は違います。ここで得たことを活かして旅立っていきますから、何か実践的で刺激のあることを、と思っています。」


「そうだったんですね。失礼ですが、私が傭兵ランクFであっても大丈夫ですか?」


「構いませんわ。ランクは飾り、とまでは言いませんが、特別重要視しません。まずは私の説明を聴いてもらって、マサツカさんができることを話してもらい、授業を組み立てることができるかどうかで判断します。寧ろ、合わないと思ったら断ってくれても大丈夫ですわ。」


 なるほど。ランクではなく、俺が何かできるか、か。ギルドを出て、話しながら歩いている内に、大きな門が見えてきた。図書館といい、門といい、デカいな。学院内はもっとデカいんだろうな。

 フランシス教授が守衛に話かけると、守衛用の入口だろうか、大きい門の隣にある小さな入口から中へ通された。そのまま前に見える建物へ歩く。門を通過してからも、中々距離があるな。一分位歩くと、やっと到着。ドアを開け、階段を上がっていく。上がった先には、広い空間に机と椅子が数多く配置されていた。


「お疲れ様でした。こちらでご説明さしあげますね。さ、お座りください。」


「はい、失礼します。」


「では、早速ですがお話しします。授業は明日の昼食後の1コマ60分です。13時に先程の入口に来てください。お迎えにあがります。明日のその時間は空いているということで大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。」


「ありがとうございます。そして、先程も少しお話しいたしましたが、学生達にはより実践的な、あるいは当学院で教えることがない事柄について授業ができたらと思っています。明日のクラスは宮廷魔術師等を目指すクラスの最終学年となっています。これまでに教えてきたのは、魔術の基礎に始まり、基本7属性の初級から上級魔術、治癒及び生活魔術等になります。勿論、座学以外に実践演習も込みです。更に、私が受け持つ授業以外の、魔術の歴史、武術及び体術、研究職希望の方は学術論文作成も学習しております。」


「学生段階で、もう上級魔術が使えるんですね。」


「はい。といっても、上級は極一部です。それも、やっと1つの属性ですね。それでも充分優秀だと思います。ほとんどの学生は中級までですから。ですが、これから卒業までに上級を習得できそうな学生も多くいます。」


「わかりました。私から質問なのですが、学生の方はどのように魔術を使っていますか?」


「え、普通にですね。こう、詠唱して、パッと。」


「わかりました。後、学生の年齢層はどんな感じですか?」


「多くが10代後半から20代前半ですね。試験にさえ合格すればいいので、10歳前半、30歳以上の方もおります。」


「私は17歳ですが、臨時とはいえ自分より若い者に教わることに拒否感を示すことはありそうですか?」


「色んな方がいますから、それは正直なんとも。申し訳ありませんが、もしかしたらいるかもしれません。」


「なるほど。では、こういうことは皆さんできますか?」


「こういうこと?」


 フワッ ポチャン ボワッ


 フランシス教授の周りに、風、水、火の玉を発生させてみた。


「!?・・・な、え?」


「驚かせて申し訳ありません。詠唱無し、複数の魔術の同時発動です。」


「詠唱無し!?あ、詠唱無しは聞いたことがありますが・・同時発動?そんなことが・・・」


「私にはできます。そして、鍛錬すれば他の方もできます。どうでしょう。これをテーマにしてみませんか?」


「ええ!ええ!素晴らしいですわ!!是非とも!!よければ私にも教えてくださらない?!」


「大丈夫ですよ。授業の打合せと合わせてやりましょう。」


 こうして、フランシス教授と授業の打合せを行っていった。掴みはいい感じだ。明日の授業がうまくいけば、図書館の特別配架の閲覧許可も貰えるかもしれないな。


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