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第28話


 レンガ造りの街をあちらこちら彷徨う。王都というだけあって、広いな。人が多いから、走ったり飛んだりするわけにはいかない。だからボチボチ歩くしかない。馬車をお願いするのもありかもしれないが、大して変わらないだろう。

 途中、図書館へのルートやいい宿がどこか訊いてまわりながら、時々屋台の、串焼き?だとかを食べ歩きながら進んでいく。そういえば、学生も多いんだよな。屋台の飯は安くて美味かった。元の世界に帰ったら・・・俺、進路はどうしようか?帰ってから・・・考えたらいいか。

 

 とりあえず、日も暮れてきたから、宿にチェックイン。今回の宿、少し変わってて面白そうだ。客室は、なんと本棚の中に作られている。おお、この、なんというか、お籠り感!?素晴らしい!隠れ家的でもあり、楽しみだ。


「使われなくなった本棚や本、そのまま廃棄するのはもったいないのです。なので、安価で買い取って、このような形で再利用させてもらっています。とても面白いと評判をいただいてます。」


 とは、宿の主人の言葉だ。ここの主人、わかってらっしゃる。


 本棚の本も自由に読み放題。流石アカデミック王都。風呂は残念ながらないが、まぁいいだろう。普通はお湯に布をつけて体を拭くだけだが、俺はクリーンでパパッと。飯は、こんがり焼いたパン、コンソメスープ、サラダ、照り焼きチキンのような肉。中々美味かった。


 食堂でも酒は出しているから客は多いが、どうせなら今日は聞き込みではなく読書タイムといこうか。

 観光地、電機、魔術書、学術書、小説にグルメまで。ほうほう。色々ある中でも特に俺の興味を引いたのは、やはり食の街サナカと、火山の麓の村だった。

 サナカはグルメで有名とは前から聞いていた、それ以外にも、海岸はリゾートになっている。なんでも、勇者が興した国らしい。そして、火山の麓の村、ラルダも気になる。火の神子の村でもあるみたいだ。サナカとクレイバの中間にあるみたいなので、サナカに行くまでに寄ってみるか。この世界には写真が無いから、文章と図や絵で解説されているが、その中に鳥居が描かれていた。これって、そういうことだよな。それに、元の世界の神社で見たことがある、巫女服を着た女性の絵もあった。何か元の世界の手がかりがあればいいんだがな。

 その後も色々読んでいたら、気が付けば日付が変わっていた。明日は朝早く起きて、人が少ない内にダッシュで進もう。なので、そろそろ寝よう。



 朝の5時に目が覚めた。流石に朝食はまだ早いかと思えば、もう食堂は開いていた。朝食は、トーストとスープ。朝早くから仕事に行く人も多い為、それに合わせているそうだ。せっかくなのでよく味わって、チェックアウト。


 朝陽が昇る少し前、空が白んできて、まだ肌寒さが残る中、さっと走り抜ける。心なしか空気が美味い気がする。人はほとんどいない為、もう少しかっとばしても大丈夫だろう。人がいればスピードを落とせばいいだけだ。おお、どんどん進む。昨日聞き込みで教えてもらったルートを進み、走り始めてから1時間も経っていない位でやたらデカい建物が見えてきた。これが、図書館、そして噂の学校なのだろう。えーと、入口は・・・あったあった。目立つように案内板がある。が、なんてこった!まだ開いてない。しまったな。やってしまった。何時から開くんだ?案内板には、・・・7時30分からだと。まだ1時間以上もある。暇だ。

しゃーない、旅とはこういうものだ。ランニングがてら散策しようか。



 その辺をテクテクてくてく。学生街だけあって、飯、服、アクセサリー、あとは武器や防具店、色んな店がある。開店時間になったら、さぞ賑わうんだろうな。

 ランニングしつつ歩きつつ、気が付けば人がちらほらと。広場にある時計を見れば、お、あともうすぐで開館時間だな。そろそろ図書館へ行こうか。

 ふりかえり、図書館への道を進もうとしたら、


 ドン


 何かにぶつかった。いや、何かがぶつかってきた。地面を見ると、


「イッタ~。ああ、大丈夫ですか?ごめんなさい。急いでいたもので。」


「いや、いい。学生か?」


「はい。授業はまだなんですが、宿題が終わってなくて。図書館行って宿題終わらせないと。」


 俺と同い年位の髪が水色の女子学生だ。ほほう。これはこれは懐かしい。宿題か。いるんだよな、当日の朝のホームルーム前にドタバタ慌ててる奴。できる奴は、ちゃんと事前に終わらせていたもんだ。俺?俺は朝やっても充分間に合うから、前者だ。ああ、それはどうでもよかった。


「図書館に行くのか。奇遇だな、俺もこれから行くとこなんだ。」


「そうなんですね。では行きましょう!早くしないと遅刻です。走りましょう。」


 そう言うや否や、タッタッタッタッ、と走っていく。学生にしては軽い身のこなし。俺も負けじとついて行く。


「俺はマサツカだ。あんたの名は?」


「グレースです。マサツカさんは何か調べもの?」


「そうだ。グレースはどうだ?どんな宿題だ?」


「魔術の歴史ですね。楽勝だーと思っていたら、昨日は寝てしまったんです。ヤバイのです、先生怖いのです!」


 と、走りながら話していると、到着した。学生も大変だな。

 図書館の中は、お、おう。大図書館!元の世界にもあるのかこれ?図書館というより宮殿だな。荘厳すぎる。


「なあグレース、歴史関係はどこにあるんだ?広すぎてわからん。」


「歴史関係なら、私が行くとこと一緒ですね。ついて来てください。」


 ありがたい。グレースについて行く。まるで迷宮のようだ。ところどころ案内板があるが、最初は迷いそうだ。しばらく歩くと、


「着きました。ここが歴史関係です。私もこの辺で宿題しますね。10時からの授業に間に合わせないといけないので、9時30分までにはここを出ます。何かあれば声をかけてください。」


「ありがとう。頼りにさせてもらう。」


 ありがたいね。最初はドジッ子かと思ったが、けっこうしっかりしている、優等生って感じだな。


 さて、それっぽい本を何冊かとって席に着く。この国の歴史関係を見ていく。だいたいここ数百年の歴史は書いてあるが、それ以前の記載はどの本にもないな。かなり前に戦争があって、それから王城がここへ移ったようだ。それからのことは書いてあるが、俺が知りたいのはその前だ。王城跡地、それに初代魔王のこと。不思議なのは、ここに王城ができてからの魔王から初代とカウントしていることだ。王城が移ったとしても、移る前の魔王からカウントすべきじゃないか?意図的に隠されている?もしや、一般公開されていないところにあるのか?それとも、その戦争で資料が紛失されてしまったのか?

 他、何冊か見てみるが、どれもほとんど同じような内容だ。であれば、一般公開されていない本を調べないと。


「マサツカさん、お疲れ様です。私は少し早く終わりました。どうです?調べ物は順調ですか?」


「グレース、お疲れ様。それが、中々難航している。知っていたらおしえてほしいんだが、王城がここに移る前のことはどのコーナーにある?」


「えーと、そういえばどこにあるんでしょうか。私も見たことないし、授業でもやってないし。それが知りたいのですか?」


「そうだ。なぁ、この国そのものの歴史は古い筈だろ?なのに、何故王城が移ってからの魔王が初代なんだ?おかしいと思うんだ。」


「本当ですね。授業では、戦争があった、と習ったから、資料が無くなって、書きたくても書けなかったとかじゃないでしょうか?」


「そういうものか。ここって、一般公開されていないコーナーもあるんだろ?どうやったら閲覧できるんだ?」


「学院の先生達や研究所の人達は利用できているみたいです。図書館の司書に訊いたらわかるかも。私も行ったことがなくて、よく知らないんです。」


「そうか、ありがとうな。もうすぐ授業か?」


 壁に掛っている時計を見た。そろそろ9時30分だな。


「いえいえ。あ、本当ですね。そろそろ行きます。それでは。」


 その言葉を残し、グレースは授業へ向かった。さて、これからどうするかな。受付の司書に、一般公開以外のコーナーの行き方を聴いてみるか。



「一般公開以外のコーナー、特別配架でしたら、王族、学院長又は研究所長の許可が必要になります。許可書を持ってきてもらえたら、ご案内します。」


 聴いてはいたが、やはりそうか。ここに来て思うのだが、この許可をもらうの、かなり難しそうだな?こうなりゃ忍び込むか?いやいや、それは気が早いか。


 行き詰ってしまった。仕方ない、一旦傭兵ギルドに行って、何か依頼でも受けてみよう。受付の横にある、地下へ続く階段、そこが特別配架と表示されている。恨めしい視線を送りながら、図書館を出た。


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