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第25話


 朝になった。天気は晴れ。出立にちょうどいい!


 いざ、出発。カルストを出てしばらくは普通に歩く。こう天気が良いと、風に乗りたくてウズウズする。ならば、人気のない所まで来たら・・・風に乗ってゴー!颯爽と風を切る、淡い緑の草原を駆け抜ける!実に気分がいい。

 途中、人を見つけたら止まって歩く、見えなくなったらまた風に乗る。そうして俺の前に現れたるは、何やら街。よくわからんが街。入ってみようか。




「そこの者、失礼だが身分を証明する物はあるか?」


「傭兵ギルドのカードでいいか?」


「うむ。Fランクカードだな。ようこそ、魔導国の入口ギネアへ。」


 このやり取り、街に入る時のお約束だな。街並みは、石畳みに木造家屋が立ち並ぶ、この世界の一般的な街といったとこだな。ただ、この木造家屋、ログハウスっぽくてなんかいい感じだな。

 それに、さっきの入口で魔導国の入口と言われたな。ということは、もう魔導国入りしたってことだな。随分遠くへ来たもんだ。

 まだ日は高いから、多分昼頃だな。えーっと、まずは傭兵ギルドに。何か目ぼしい情報でもあればありがたいが。


 大通りを歩き、案内板を見ながら傭兵ギルドへ到着。歩いてたら当然誰かにすれ違うんだが、やっぱり魔導国だけあって、魔人族?肌の色がカラフルな人が多いな。赤、青、緑、黄色、紫、他にも色々。何故こんなにカラフルなんだ?訊いたら失礼なのか?


 ギルドに入ると、昼時だからか人は少ない。依頼が張り出してある掲示板を見ると、護衛系が多いな。お、王都までの旅の護衛依頼もあるな。しかも緊急と。これ受けたら金を稼ぎつつ王都まで行けるな。タイミングがいいじゃないか。

 あと、今までのギルドと違うと思ったのが、本棚があることだ。棚の中にも本がちゃんとある。中身は、何々、魔術の入門と基本、魔術の神髄、魔術師の心得、薬草一覧書、アンデッド研究大全、魔導国の大いなる歴史等々。歴史関係もあったから見てみたが、大したことは書いてなさそうだ。

ここで何かわかったらラッキーだったんだがな。そんなに上手くいかないか。人生とはかくも厳しいものか。仕方ない、ひとまず王都までの護衛依頼を受けるか。報酬は一人銀貨5枚。いいじゃないか。よし、受けよう。受けるために受付に目を向けると、受付には肌が水色の女性が一人。おそらく魔人族なんだろうな。


「失礼、王都までの護衛依頼を受けたいんだが。」


「はい、王都までの依頼ですね。かしこまりました。王都までの依頼ですと・・・今はこの1件だけですね。この後夕刻前に出発ですので、準備をお願いします。依頼完了後は、依頼主からこの書類にサインを貰って、王都のギルドへ渡してください。くれぐれも気を付けてください。」


 今日出発か。しかも夕刻前、すぐに暗くなる。普通なら明るい時間が多くなる朝方出発なんだがな。しかし残念だ、せっかくだからもう少しギネアを見たかった。それに、気を付ける、とは何にだ?


「気を付ける?そんなに危険なのか?」


「道中猛獣や魔物は多くはない筈です。その点はFランクでも大丈夫かと。ただ、依頼主は少々クセがありまして。」


「ほう、どんなクセだ?」


「ランク主義といいますか・・・依頼主はフィーゴ王国の男爵なんですが、傭兵をランクで判断する傾向が強くて。Fランクのマサツカさんには・・・」


「見下しまくる、といったところか?」


「ええ、まぁ。ただ、今朝いきなり来て、至急王都まで、と言われまして。なので、そんなに高ランクの傭兵は集まらないですし。」


「んー、道中猛獣や魔物だらけならともかく、そうでもないなら傭兵なんて雇わずに行けば早いんじゃないか?」


「そうですね。まぁ、お貴族様の見得とか、万が一を警戒しているんじゃないでしょうか?」


 ふーん、そういうもんかね。まぁ、その程度の注意で済むなら、金がもらえて王都へ行けるなら構わない。集合時刻は、16時。場所は、街の出入り口、さっき入ってきたところだな。



 無事に依頼を受託した。集合時間まで少しだけだが余裕があるから、ブラブラ散歩でも。


 他の街と大きく変わるとこはあんまし無いな。露店もあるし、宿に住居もある。魔導国という位だから、フィーゴ王国とは全く違うのかと思えば、そんなことはない。強いて言えば、魔導書?魔術書?本の露店が多いな、とは思った。


 露店を見て、食料を買い込んで。食べなくても空気に混じる魔力を取り込んでりゃなんとかなるが、それで何も食ってなきゃ怪しまれる。仕方ないから、旅のお供に定番の干し肉でも。





 そんなこんなで、さて、そろそろ時間だ。


 15分前に集合場所へ。見れば、豪奢な馬車に毛並みの良い馬。こりゃ相当な見栄っぱ・・・いや、身分の高い人の馬車だろう。


 となれば、その馬車の前にいる、いかにも執事な、いや、御者?な男に話せばいいか?


「失礼します。私は傭兵のマサツカです。王都までの護衛依頼を受けた者ですが、そなたが依頼主様でしょうか?」


「これはこれはマサツカ様、ありがとうございます。私は依頼主である旦那様の執事を務めている、ウェスターと申します。道中、よろしくお願いいたします。」


 この人は執事であり、例のクセのある男爵とは違うみたいだな。物腰が柔らかく、かなり紳士的だ。


「よろしくお願いします。ところで、依頼主である男爵様はどちらに?ご挨拶をさせてもらおうかと。」


「はい、旦那様は旅の準備で街に行っております。もう間も無く参ります。」


 そうウェスターが言うと、これまた煌びやかな服を着た成金・・・失礼、雅でコロコロポッチャリなお方が近づいて来る。


「ウェスター!なんということだ!今ギルドに行ったら、護衛が一人しか来ていないと!本当に依頼を出したのか!?」


 まるで脂肪の塊から音が出ているようだ。


「旦那様、落ち着いてください。間違いなく依頼は出しました。その証拠に、こちらのマサツカ様が来てくださいました。」


「その一人だけか、と訊いている!マサツカと言ったな。一応訊いておこう。ランクはなんだ?」


「Fランクです。」


「おいウェスター、話にならない。Fランクなぞゴミも同然だ!今すぐCランク以上の傭兵を護衛として連れて来い!」


 ・・・おいおいポッチャリ男爵様よぉ。どう思っていようが勝手だよ。ああ、内心どう思っていようが俺には関係ないさ。だがよ、それを本人がいる前で出しちゃダメだろ。まったく、ギルドで聴いたとおり、これはかなり注意が必要だな。気を抜くと手加減無しで殴りつけてしまいそうだ。

 

「旦那様、そのようにおっしゃるものではありません。急な依頼にも関わらず来てくれたのですよ。」


 そうそう、俺をもっと敬いたまえ。貴重な戦力だぞ。

 あー、護衛は俺一人だけか。この男爵のおっさん、人望無いな。


「万が一があればどうする!?その時、こんなゴミだけでは頼りないぞ!ウェスター、お前一人では限度があるだろうが!」


「旦那様、そこまでおっしゃるのであれば、明日の朝出発にして、更に護衛にあたってくれる傭兵を待ちますか?」


「そんな時間は無い!王都での会議に遅れる訳にはいかん!そこを何とかするのがお前の仕事だろうが!早く何とかしろ!」


 このおっさん、無茶苦茶じゃねーか!バカだ、アホだ。いや、そんな言葉も勿体ない。カスだ!このままじゃ埒があかない。


「失礼ですが、私が強ければいいのですね?もう時間も無いのであれば、少々手荒ですが、証明しましょうか。」


「おい小僧、何を生意気な。どうやって証明すると?たかがFランクの分際で。」


「こうします。」


「どうするという「てい!」・・・・・・!」


 驚くよな。目の前にいた人間が一瞬で自分の後ろにいて、手刀を首に突き付けてんだからな。


「貴様、何をした・・・」


「詮索は無しでお願いします。ランクなんて飾り、とまでは言いませんが、そうそう遅れはとりません。お時間も無いようです、そろそろ行きませんか?」


「よ、よかろう!ウェスター、出発だ!早く!」


 そうそう。グダグダ言わず、始めからそうしていればよかったんだ。あ、ウェスターさん、驚いて目が点みたいになってる。驚かせて申し訳ないね、あなたの主人が悪いのです。





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