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不思議な指輪

本作品をお選びいただきありがとうございます。

こちらも異世界ファンタジーをとなっております

ぜひお楽しみください。

ここは人と魔で二分化され休戦された世界。

そんな世界でも当然片方へ統一しようと醜い争いが画策されている人の国で勇者の子供として生まれた人間は幸せになれるか。答えは否である。

周囲の人間は利用価値があるなら好意的、使えないなら冷めた目で見られる。

そしてここの人間は使えない人間、魔獣や一部の魔族を奴隷として扱っている。だから僕はこの国が嫌いだし、いつか出ていこうと思っている。

「ありがとうございます。」

買い物かごを持ってお店から出てくる。このお店はどんな相手でも良くしてくれる素晴らしい店主だ。

「あっ、サハリスやっほ〜。」

狐耳の少女が声をかけてくる。

「レヴィアこんにちは。」

「買い物終わったところ?何作るの?」

「クリームシチューだよ。」

「相変わらず凄い家庭的だよね、これで本当に勇者なんだよね。」

そう、サハリスは勇者の子供であり次世代勇者と言われる男である。

「止めてよ。僕は勇者はそんな風に言われるの嫌なんだから。」

「ごめんごめん。」

僕は父が嫌いだ。父は昔、勇者として魔王を倒したらしいのだが、今は遊んでばかりいて家にいないことが多く僅かな金が置いてあるばかりだ。

「サハリスは争い事が嫌いなんだね。」

「うん、僕はそんなことより人の役に立つような事をしたいんだ。」

「うん。君はいつも私が困ってると助けてくれるよね。」

「当然だよ。レヴィアは僕の大事な友達だから。」

「ふふ、ありがとう。」

「いつか結婚して相手を幸せにしてあげたいな。相手がいないけどね…。」

「相手がいないなら私がなってあげるのに…。」

サハリスの言葉にレヴィアは顔を赤らめボソボソと呟く。

「何て?」

「ううん。なんでもないよ。それよりもずっとここにいたら迷惑になっちゃう。」

「そうだね。じゃあまたねレヴィア。」

僕は店を後にする。

しばらくして家に着く直前で嫌な奴らに遭遇する。

「おい止まれ!」

ため息をつき立ち止まる。

「何?」

「お前勇者の息子なら強いんだろ?ちょっと相手してくれよ。」

4、5人の男達に囲まれる。

うん絶対無理一対一でも勝てないのに一対五なんて不可能だ。

「いや、やらな…。」

断わろうとすると後ろから羽交い締めにされる。

「拒否権なんてねえよ。」

はあ…まあこれもいつものことだから受け入れるしかないか。

時は少し進み空が茜色に染まる。

ボロボロの格好で倒れているサハリス。

「痛い…アイツら加減無しに殴るんだから。」

そう自分は争いが嫌いで武器なども上手く扱えなければ魔法も使えない腕っぷしもからっきしで実際の所次世代勇者とは名ばかりだ。

だからこそ、勇者なのに使えないと認定され今の様な面倒事に巻き込まれることも少なく無い。

痛みの引かない体をなんとか持ち上げる。そして争い事の被害から避けるために放り投げた買い物かごを拾いに行くとかごの横に何かが光りそれを拾い上げる。

「これは指輪かな…あっ中に文字が掘ってある。」

文字の解読を試みること数分。

「ダメだ。どうやっても読めない…呪術文字かな?いや、ただの文字劣化だよね。まあ明日町に行って探せば良いかな。」

かごと指輪を持って帰路に戻る。

「やっぱり帰ってる訳が無いか…。」

家に入り誰もいない暗い部屋で呟く。

「まずは、晩御飯でも作るかな。」

一人で食事をし部屋の整理整頓、入浴を済ませ眠る。物心ついたころからずっと続けている。一人でいることには慣れてきたが全く寂しく無いかと言われるとそういう訳でも無い。

「誰か一緒に過ごしてみたいな…。」

そんな言葉を漏らし椅子に座り込むと正面の棚に置いておいた指輪が目に写る。

「…本当は良くないんだけど。誰も見てないしちょっとだけ。」

サハリスは指輪を手に取る。

「僕の指で合いそうなのは薬指かな?えい。」

左手薬指に指輪がピッタリはまる。

「おおっ!凄いピッタリだ…うん?指輪が光って…眩しっ。」

指輪が強い光を放ち家全体を包む。光が収まる頃には家の中には無人になっていた。


「痛っ、あれ?ここは…どこかのお風呂?」

そこは自分の家よりも何倍も立派なお風呂だった。

「…♪」

「誰かこっちに近づいてくる、隠れないと…。」

だがここにそんな場所は無い。少しずつ足音が扉に近づいていきついにその距離が0となる。

「さあ風呂だ〜♪なっ!」

「あっ…。」

どこにも隠れることの出来なかったサハリスは扉を開けた少女に出会ってしまう。

少女は自分より少し低いくらいの身長で背中まである鮮やかな紅梅色の髪、髪と対とも思える青色の瞳、そして1番目立つのは頭の横から後ろに伸びる巻き角、それは間違えなく少女を魔族と断定させるものだった。

しかし、そんな事は大した問題では無い。

本当の問題は今の状況だ…。ここは風呂場で目の前の少女はお風呂に入ろうとしていたため当然何も何も着ておらずタオル一枚で前を隠すのみだが完全に隠れておらずところどころ肌が見えている。最初はこの状況に思考停止していた少女だったがみるみるうちに顔が赤くなって行く。

「誰だっお前は〜。(怒)」

少女が飛びかかって来るのを寸前の所で躱し逃げ回る。

「ちょっ。待っ、危な!」

「待て!この色情魔め!」

その発言にムッとする。自分が父親と同じだと思われいるようだった。

「別にここに来たくて来た訳じゃないよ!」

言い返すために足を止めると一瞬で距離を詰められる。

「くらえ〜!!」

少女の回し蹴りが綺麗にサハリスの延髄に決まる。

「「ぐえっ。」」

何故か技が入ったサハリスだけでは無く少女からも声が上がる。

「何で…貴方も…?」

その言葉を最後にサハリスは意識を手放す。今日はもうこんなことばっかりだ…。

本作品をお読みいただきありがとうございました。

勇者はもうなんか色々不憫になってきますよね。

この勇者はどうやって幸せを掴んでいくのでしょうか。

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