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最強家族のまったりライフ  作者: もちろう
56/58

56話 ダンジョンの不思議

良い区切り方が見つからず2話に分けたので若干短いですがご容赦ください。


《ご主人様~、アマリエにも勇者達の戦い方のことを聞いてみたらどうですか~?》


その後も同じような戦い方で魔物を倒しながら進む勇者達に少し飽きてきた頃、ノイントからそんな提案を受けた。

戦いに慣れてそうなアマリエなら俺達とは違って何か利点に気づいてそうだね。


「ねえアマリエ」


「はい、何でしょう?」


「アマリエは勇者達の戦い方をどう思う?」


「どう……ですか?」


これじゃ曖昧すぎるか。……まあ俺は戦いなんて素人同然だし思ったことをそのまま言えばいいや。


「ええと、サボってる人がいても勝てるような戦い方だと訓練にならないんじゃないかなと思ったんだけど……」


アマリエは俺の言葉を聞くと口に手を当てて驚いた表情になった。

あら、やっぱり何か利点があったんだ。そんなに驚くってことは結構気が付きやすかったのかな……。


「……坊っちゃま、よく見ていますね」


「え?」


「かなり熱心に見られているようでしたので、水を差すのもどうかと思い黙っていましたが……坊っちゃまのおっしゃる通りあの戦い方では訓練どころか逆効果です」


アマリエから見てもあれは良くないんだね。俺が聞いたときに驚いていたのは……まあ3歳児が戦場の変化に気づくなんてそうそうないか。


「やっぱりそうなんだ。あ、見ていたのは勇者達じゃなくてドロップアイテムだよ」


始めのうちはまだ知らない魔法などに興味を惹かれたが、変わり映えしない戦いを見るよりも何が落ちるか分からないドロップアイテムの方に興味が移ってしまったため、それからはずっとドロップアイテムを見ていたのだ。


「そういえば坊っちゃまはダンジョンが初めてでしたね」


「うん、ティオに色々教えてもらったけど洞窟なのに明るいって不思議だね」


「そうですね。私も初めてダンジョンに入ったときは不思議でなりませんでしたが、もう慣れてしまいましたね」


「アマリエも不思議なの?」


「ええ。魔法で照らしているのかと思いましたが魔力は感じませんし、ダンジョンマスターと話す機会があったので聞いてみたのですが、分からないようで……」


「ダンジョン…マスター?」


ティオから聞いていない単語に思わず聞き返してしまった。


『申し訳ありませんマスター、一度に説明しても分かりづらいと思いましたので』


いや、大丈夫だよ。気遣ってくれてありがとう。


「ダンジョンの核となるダンジョンコアのことはティオから聞いていますか?」


「うん、それは聞いたよ」


「ダンジョンコアは一定の大きさまで成長すると外部から生物を連れてきて強制的に眷属にするのです。この眷属をダンジョンマスターといい、ダンジョンマスターになった生物はダンジョン内を操作できる権限と高度な知能が備わりますが、ダンジョンコアと生命を共有することになります」


「共有ってことはダンジョンコアが壊されるとダンジョンマスターも死ぬってこと?」


「ええ、こうすることでダンジョンマスターが裏切らないようにしているのでしょうね」


おお、なかなか考えるね……。


「よく話せたね。敵対とかされなかったの?」


「もちろん戦いましたよ。ただ、自分が負けるとは思っていなかったようで戦う前にペラペラとこちらの質問に答えてくれたのです」


「そ、そうなんだ…」


調子に乗った悪役がやっちゃうやつか……。


「でもそんな存在でも分からないなら考えてもしょうがないね」


ティオなら知ってそうだけど……なんか複雑そうだからいいかな。


『え?聞かないのですか?』


え、聞いた方がいいの?


『いえ、面倒なので聞かないでください』


ちょっと!?いきなり神の導き手(ガイドマスター)が導かなくなったんだけど!


『真面目に答えるとダンジョンの能力は高度な専門知識が必要なので一から説明すると丸2日はかかります。そのうえ知ったところで応用できるものでもないので聞くだけ無駄だと思いますよ』


色んなことに答えてくれるティオが言うって相当だね。うん、興味本位で聞いただけだから別にいいか。


「そろそろ2階層に続く扉に着きますね」


勇者達の後をついていきながら話していたが、かなり奥まで来ていたようだ。


「やっぱり門番みたいなのはいるの?」


「はい。配下の魔物がいる場合もありますが階層主と呼ばれる強力な魔物が必ず一体は出現します。階層主がいる部屋は挑戦者が全滅するか階層主が死ぬまで外界から隔絶されます」


一度入ったら助けが来ることはないし逃げることもできないと。ダンジョンからしたらボーナスステージみたいなものだろうね。


「ですがその代わりに階層主を倒すと階層主の素材だけでなく貴重なアイテムが落ちる場合がありますよ」


レアアイテムも出るんだ。誘き寄せるためだって分かっててもワクワクするね。


「今回は勇者達と同時に入りましょう。……階層主と戦うなら彼らの練度的にも先ほどのように無傷で攻略することは不可能でしょうからそれなりに見れる戦いにはなるでしょう」


かなり辛辣な評価……でもないか。あのヴェーニャの偽の加護(魔改造)をもらって舞い上がっている本命勇者君でさえユニークスキルを使わずに取り巻きの女子と雑談しながら戦っている始末だ。俺としてはユニークスキルの力がどの程度のものか知りたいのでぜひとも階層主には頑張ってほしいところである。


「勇者達も扉を発見しましたね」


前を見れば先ほど指示を出していた上官らしき騎士が重厚なつくりの大扉の前で勇者達を止めて全体を引き締めるために説明を行っていた。だがここまでの行軍が簡単すぎたのもあって弛緩した空気が変わることはなかった。結局そのまま説明が終わり、上官を先頭にぞろぞろと迷いのない足取りで扉の中に入っていった。


「失礼します。"ワープ"」


全員が入り終わり、あと少しで扉が閉まるその瞬間にアマリエは時空魔法を発動した。次の瞬間には手を繋ぐ俺の視界は切り替わり、後ろで扉の閉まる音を聞くとともに前方に勇者達の姿を捉えた。


「あれが階層主……」


勇者達が対峙する先には人の背丈の3倍以上の体高を持つ4足歩行の魔物がいた。全体的な形はネコ科のようだが蝙蝠のように大きな耳を持ち、灰色の毛皮には血を垂らしたかのような模様が浮かんでおり異様な雰囲気を醸し出している。ずらりと生え揃った肉食獣の大きな牙に足の3分の1程もある長く鋭い爪を持つその魔物は、先ほどまで見てきた魔物とは一線を画す威圧感を放っていた。意気揚々と入っていった勇者達はその魔物の異様な姿と鋭い視線に呑まれ、誰もが二の足を踏めずにいた。

いやレベル上がりすぎじゃない!?階層主って1階層でもこんなに強そうなの!?


『私から見たらそんなに強そうには見えないが……先ほどの魔物が束になっても勝てないだろうな』


カリスの見立てでもそんなに強いの……?


《ボク達が入ったからってことはないんですか~?》


あー、アマリエとかダンジョンからしたら絶望でしかないもんね。


『ダンジョンコアが自身を殺す危険性のある生物が侵入するのを感知すると強力な魔物を呼び出して処理することはありますが、階層主の部屋に現れることはありません。階層主の部屋は外界と隔絶できる代わりに変化を加えるのに時間がかかるようになっているのです。簡単に言うとボス部屋は侵入者にメタを張ることができません』


急にゲームっぽくなった……。でも逃げ場なし救援なしの代価としては妥当なのかな?

だがノイントの疑問が解決したことで余計に強力な階層主の出現という謎が深まってしまった。


《それならなんで強そうな魔物が出てくるの~?》


疑問でいっぱいになってしまった俺の代わりにノイントがティオに尋ねた。


『このダンジョンが難易度の調整が不得意で意図せず配置してしまったという可能性もありますが、より可能性が高いのは────』


あ、溜めなくていいです。


『……』


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