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最強家族のまったりライフ  作者: もちろう
27/58

27話 魔法の訓練④

はぁー美味しかった。この家の料理はほんとに飽きない美味しさだな~。

中でもやっぱり前世が日本人だからか、米は別格だったなあ。

あの噛むと口の中に凝縮された米の甘味や旨味が広がる感覚がやみつきになる。美味しすぎておかずなしで米だけ完食したくらいだ。

デザートは色とりどりのフルーツの盛り合わせだった。色は全く違うが、パイナップルやイチゴっぽいものがあった。この世界のデザートは基本フルーツなのかな?


ラノベとかではよく異世界で料理革命とか起こしているけど、俺はあんまり料理は作らなかったしお菓子作りなんて門外漢だったからね~。そういうのは他の転生者に任せるよ。


『マスター。私にはそういった前世の料理の知識があるのでお望みなら料理革命も起こせますが?』


嘘!?ティオさん万能過ぎんかね。


いや、でも俺は料理革命して目立ちたいとか思ってないからいいよ。


『そうですか…………。』


こころなしかティオの声が残念そうに聞こえた。


《ねえティオ。ご主人様がやらないなら、ボクがやってもいいかな~?》


え!!ノイントが?


《はい!なんか料理って面白そうなのでやってみたいのです~。》


でも精霊………あ、実体化ができるのか。


いいんじゃない?やりたいことができるのは。


『そうですね。私もこの知識を活用しないのは勿体ないと思っていましたので。』


《ありがとうございます!》


「ふぅーお腹いっぱい!」


「ん、食べた………。」


俺達の話が終わったのと同時に姉さん達も食べ終わったようだ。

俺達は先に昼ごはんを食べ終えていて、ノイントは既に実体化を解いている。

これは俺がノイントとカリスと分けて食べたから先に食べ終わることができたのではなく、姉さん達が更に最初と同じ量の料理をおかわりしたからだ。

少なくても姉さん達の胃の大きさ以上の量は食べてるはずなのだが……………あれかな?異世界人はみんな胃にアイテムボックスでも装備してるのかな?


まあ、それはさておきこれで魔法の練習を再開できるな。


「ギムル!みんな食べ終わったから早く魔法の練習に行こう!」


「畏まりました。では━━━」


バンッッッ!!!


ギムルと話していると突如食堂の扉が勢いよく開かれた。


「わっ!なっなに!?」


いきなりのことで俺は思わず声を上げてしまった。


「ちょっと誰よ!私のクルスがびっくりしちゃったじゃない!」


「私ですよ~。職務怠慢の常習犯のお~く~さ~ま~が~た~!!」


「「ひいっ!」」


扉の方を見るとそこには全身から目に見える程のドス黒いオーラを身に纏って、母さん達を射殺さんばかりに睨み付けている一人のメイドの姿があった。

それを見た瞬間、勢いよく扉を開いたことを怒ろうとした母さんもレスティアお母さんも顔を真っ青にして、口から小さな悲鳴を漏らした。

そりゃあいくら化け物な母さん達でも、あんな見るだけで物理的に殺せそうな視線放ってるメイドが睨み付けてきてるんだから恐怖も感じるよね………。


それにしても何であのメイドは母さん達を睨んでるんだろう。


「職務の途中にお二方ともお手洗いに行く(おっしゃ)られてから、暫く待っても戻って来ないので何事かと思えば、坊っちゃまの魔法の練習を見学しに行ったとかいうではないですか!昨日私言いましたよね!次職務怠慢を引き起こしたらセーラ奥様は酒蔵を、レスティア奥様は魔物の剥製コレクションを灰に還すと!」


二人ともそんな事言って抜け出してきたのか…………。そしてやっぱり二人は常習犯だったんだ。


「あああ!忘れてたわ!」


「ねえ待って!話せば分かるわ!」


「いいえ待ちません!何度も約束を破って仕事をサボる悪い奥様方には少々痛い目を見てもらった方がいいのです!」


そう言うとそのメイドは踵を返し、スタスタと食堂から出ていってしまった。と思ったら戻ってきて俺に頭を下げてきた。


「坊っちゃま、先ほどは大きな音を出してしまい申し訳ありませんでした。」


この人礼儀正しいなぁ。わざわざそれだけを言いに来るなんて。


「大丈夫だよ。気にしないで。」


「ありがとうございます。」


「……………はっ!ちょっと待って~!」


「ごめんなさ~~い!次からはちゃんとやるから~!!」


俺がそう言うと先ほどの剣幕からは想像もつかないような柔和な笑みを浮かべ、もう一度頭を下げて今度こそ食堂から歩き去っていった。

その一連のやり取りを呆然とした様子で眺めていた母さん達は、メイドが歩き去ったあとで漸く再起動したようで、慌てた様子でそのメイドを追い掛けていってしまった。

…………それとレスティアお母さん、それ絶対次やらないやつだから。


「…………では食事も済みましたので魔法の練習の続きを致しましょうか。」


「う、うん。」


ギムルはスルーのようだ。

姉さん達といえばまだ満腹の余韻に浸っているようだ。


「姉さん達も行く?」


「もちろん!」


「あの血を飲むまで帰れない…………。」


あ、そういうこと。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「次は火魔法でしたね。」


俺達はまたギムルの魔法で先ほどの場所に戻ってきた。今回はシェーラとケリルと母さんは来ていない。

シェーラの場合は俺達がギムルの魔法で転送される直前に、俺達が手を繋いでいるところに勢いよく飛び込んできたのだが、その前にギムルの鉄拳が振り下ろされ地面に叩きつけられて動けなくされていたので、来なかったというよりは来れなかったというのが正確だろう。

何がシェーラをそこまでさせるのか謎が尽きないがとりあえず御愁傷様だ。


姉さん達はここに来てすぐに森の中へ入っていったのでここにはギムルと俺とカリスとノイントしかいない。


「では火球(ファイアーボール)をやってみましょうか。火魔法のイメージとしては魔力の形を不定形なまま撃ち出すのです。最初はただの魔力放出ですが適正があれば何度かやっていると火魔法を撃ち出す明確な方法が見えてくるはずです。これは人により千差万別なので私からはなにも申せません。

まずは私が手本をお見せしましょう。」


そう言ってギムルが前方に手を翳すと、ギムルの掌にバレーボールサイズのゆらゆら揺らめく赤色に輝く火球が撃ち出された。火球は自転車くらいの目で追い掛けることができる程の速さで進んでいき、地面に着弾するとボンッと小爆発を引き起こして消えていった。


「これがこの世界の平均的な火球の強さになります。」


「ありがとう。」


お手本を見せてくれたギムルにお礼を言って早速始める。


ええと不定形なまま撃ち出すんだよね?形を決めずにってこと?うーんわかりにくいな。学校の理科で習ったアメーバでも思い浮かべればいいのかな?

まあいいや。物は試しだ。

頭の中でぐにゃぐにゃと形を変えるアメーバを魔力で形にして撃ち出してみる。

特に変化なし。その後も20回程試してみるが何も変化は現れなかった。


俺、火魔法苦手なのかな?


『マスターはハイエルフなので種族の特性上仕方ないと思いますが、出来ないことはないはずです。』


そうなの?んーでもなぁ。


《でしたらイメージをそのあめーば?から変えてみてはどうですか~?》


イメージを…………例えば?


『そうだな、光とかどうだ?不定形だろう?』


なるほど、確かに。ありがとう皆、試してみるよ。


イメージするのは太陽の光。太陽自体は丸いが光は違う。あの目も開けてられないような強烈な光。形は考えなくていい。なんせ不定形なんだから。

太陽の光をイメージしたまま魔力を放つ。

十回程繰り返したがやはり変化は起きず、これもダメかなと思いながらもう一度やってみる………………おっ、頭の中に詠唱が。すかさずその詠唱を口にしてもう一度魔力を放つ。


「敵を燃やせ"火球(ファイアーボール)"。」


すると俺の掌に白く染まったスーパーボールサイズの小さな火球が現れ前方に向かって放たれた。火球は目で追えないくらいの速度で勢いよく飛び出していったが徐々に小さくなっていき、100メートルほど進んだところでゆっくりと掻き消えていった。


※ピローン 火魔法Lv .1 を取得しました。


あんなに小さかったし、やっぱり火魔法は苦手なんだね。そう思ってギムルを見ると何やら考え込んでいて、しばらくしてから口を開いた。


「坊っちゃまのファイアーボールは大きさこそ平均よりもかなり小さいですがあのスピードと射程には目を見張るものがあります。そして何より、あんな色のファイアーボールは見たことがありません。」


ああ、確かに俺の撃ったファイアーボールは白色だったなあ。でもそれになんの違いが?


《ご主人様の撃ったファイアーボールはギムルが撃ったのよりも熱かったですよ~。》


熱かった?白色のファイアーボールだと温度が高くなるのかな?というかノイント、そんなことわかるんだね。


《精霊ですから~。》


精霊すごいな。まあ温度が高いなら薪に火を着けるときとかに役立ちそうかな?他にも水もすぐ沸かせるようになるね。


『なんでそんなに家庭的なんですか…………。』


『戦闘に使わんのか。』


だってあんなに小さいんだもん。相手が丸腰だったらいざ知らず、鎧なんか着てたら簡単に弾かれちゃうでしょ。


『そんなことない気がするがな…………。』


さて、火魔法は苦手だってことはわかったし次いこう。


「そうなんだ。よく分からないや。それでギムル、次の魔法は?」


「あれについては後々調べることにしましょう………………次の魔法は時空魔法です。この魔法はかなり難しいので今日だけで習得するのは難しいと思いますが、焦らずじっくりやっていきましょう。」


「うん!」


「時空魔法を習得するためには、まず基盤となる空間のコアを召喚する必要があります。」


「空間のコア?」


「空間のコアというのは時空魔法を使うための媒体、発動させるための道具と言えば良いのでしょうか。」


なるほど、時空魔法は空間のコアがないと成り立たないと。


「しかしその空間のコアを召喚することが難しいのです。私も最初は空間のコアを召喚するのに半年以上掛かりましたからね。」


化け物(シェーラ)を鉄拳で沈められるギムルでさえ半年もかかったのか………。まあ時間はあるしゆっくりやってこう。


「空間のコアを召喚するためには魔力で周囲の空間を把握してコアを見つけ出さなければなりません。そこさえ出来てしまえばあとは然程難しくはありませんので頑張りましょう。」


「うん!」


「やり方としては、まずは魔力を周囲に放射して自分の魔力を空間として認識するのです。そうするとだんだんコアの位置がはっきり感じられるようになってくるので、その感覚を覚えてください。」


魔力を放射して空間を認識……………ダメだ!わかんない!


『マスター、順を追って説明するので一緒にやっていきましょう。』


お願いしますティオさん………………それにしても時空魔法だけやけに難易度が高くないか?


『時空魔法は火や水のように自然にある属性ではないので、まず"時空"という概念を形にする必要があるのです。』


ええと、時空は目に見えるものではないから、自分達にわかるようにしなければならないってこと?


『だいたいそんな感じです。空間のコアを召喚するのはそのためでもありますから。』


その過程が難しくしてるってこと?


『そういうことになります。ですので、時空魔法の使い手はとても少ないのです。使えてもせいぜい上級までがいいところでしょうね。』


そんな難しい魔法が俺にできるかな?


『ご安心下さい。私こと"神の導き手(ガイドマスター)"がしっかりとマスターに時空魔法を使えるようにしますから。たとえできなくてもできる ようにしますから。』


お、お手柔らかに…………。


『ではまず、ギムル様が言ったように魔力を360度全方位に放ってみてください。』


俺は全身から魔力を放つイメージで魔力を放った。

こう?


『はい。次に、魔力探知を使って今放った魔力を探知してください。』


辺りにある俺の魔力を魔力探知で調べる。だいたい俺から5メートルほど離れたところまで広がっているようだ。


『そうしたら魔力操作で周囲のマスターの魔力が霧散しないように操作して、それを10分ほど維持してください。』


魔力操作で周囲の俺の魔力をドーム状にして霧散しにくいようにする。

これ、結構きついぞ。これで10分って………。


『そんなことでへこたれてどうする。もっと気合いを入れろクルス。』


《ご主人様、ファイトですよー!》


ありがとうカリス、ノイント。でもちょっと今は話しかけないでくれるかな。集中が切れ━━━あっ。

カリスとノイントの方に意識がいった瞬間、魔力操作が乱れドームの形を維持できなくなった魔力は形を崩して霧散していってしまった。

これ、かなり難しいぞ。少しの気の緩みも許されない感じだ。


『マスター、もう一度です。』


はい…………。

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