週末監禁生活のすすめ
私、ある意味犯罪者なのかもと思いますよ。
監禁(かんきん、confinement)とは、人を一定の区画などに閉じ込め、そこから出る自由を奪うこと
Wikipediaより抜粋
わたし平日はOL、週末は家政婦もしくはメイド?一番当てはまるのは召使?なるものしています。
「待ちわびていたか、愚民よ。我をもてなす栄誉を与えよう。」
「ははー。魔王ベルガディス様ようこそお越しくださいましたー。」
多少の棒読みは許してほしいです。
「貴様はまさに木偶の坊だな。我は喉が渇いたと言っているのだ。早くせぬか。」
「申し訳ございません。ただ今すぐにお持ちいたします。そちらにおくつろぎスペースをご用意しておりますのでお掛けくださいませ。」
私は、素敵ドールハウスのソファをずずいとお勧めします。
「うむ。このような質素な内装は我には似合わぬが、仕方あるまい。この世界の部下は今のところ貴様しかいないのだからな。」
「ははー。もったいないお言葉です。」
ベルちゃんがソファに座った~。絵になるな~。写真撮りたい!気に入ってくれてよかったです。以前適当に用意した○○ちゃん人形ハウスがお気に召さず燃やされたときはショックでしたが、そのせいでかなり凝った仕様のドールハウスを何個も所持する羽目になってしまいました。何が悲しくて30歳手前の乙女がお人形さんグッズを集めねばならぬのでせうか…。そんな葛藤をした時期もありましたが今は凝り性を拗らせ、趣味&特技へとなってしまいました。子供のころのり〇ちゃんハウスを思い浮かべているあなた。ノンノン。今のドールハウスは照明も付くのです。もうインテリアです。小さな世界なのです。
私は小さなティーカップに紅茶を注ぎ入れました。そしてショートケーキを少し小さく切って差し出します。
「お口に合うかわかりませんが、魔王ベルガディス様のために特別にご用意致しました。どうぞお召し上がりくださいませー。」
「苦しゅうない、早う傍へ。」
言葉は偉そうでクールですが、目がキラキラしてケーキをガン見しています。普段通りを装って我慢してるベルちゃんごちそうさま!小さなフォークを持って、もったいぶって一口目をぱくり。目元がほわんと緩むベルちゃん、お花が顔の周りにポンポンポンと現れて背景がほのぼのしてますー。リアルにお花が現れた時は、乙女げーか!と喉まで出かかりましたよ。どうやらお気に召したようで良かったです!近所のケーキ屋さんのショートケーキですけどね。
「愚民よ、まあまあ食べられるものを持ってきたな。これからも励むように。」
すっかりケーキにご満悦したご様子。くつろいだ空気がベルちゃんの周りを包んでいます。どうやら甘味に関してはこちらの世界の方が断然美味しいようです、気に入ってくれて世界が救われたと思いますよ!
「もう少しこの世界の破壊を見送ろう。我の不興を買っておらぬからな。」
「ははー。もったいないお言葉です。これからも御眼鏡に叶うように精進いたしますー。」
「また7日後に来る。その時この世界が滅びるか存続するかは愚民次第である。」
「次のお越しをお待ち申し上げておりますー。」
満足げにベルちゃんは現れたドアの中へと去っていった。
初めから世界を壊しに来たと宣言したベルちゃんは、たまたま私の部屋へ現れ、たまたまおやつをたべようとした私がベルちゃんにおやつを差し出し、たまたまそれを気に入ったベルちゃんが世界を壊さず、定期的に私の部屋へ現れるようになって1年くらい経ちます。その1年間ベルちゃんは一度も私の部屋から出たことがありません。私は、おもてなし・世界を救う…いえ、そんなことは考えていません。なぜか最初からあまり恐怖がないのです。綺麗でクールな外見、あの甘味を食べるベルちゃんを見、何というかアイドルがお部屋訪問してくれたような高揚感があるだけです。本当はこの世界のいいところ見せるなら外に行けばもっとあるかもしれません。でも、ベルちゃんとの時間を楽しめればいいのです。独り占めです。
「あー。私に、こんな変な面があったなんて…部屋監禁だと思うのよね。でも仕方ないのですよーベルちゃんが可愛いのがいけないのです!」
当分はこんな日々が続くと思います。私の全身全霊をかけてベルちゃんをもてなします!ついでに世界も救っているのかもしれません。でも心を占めるのは私の中の知りたくない一面があったことです。
「誰にも見せたくないなんてなんて独占欲なんでしょうかあ…自分が怖いですー」
もやっとしようが地球は毎週救われてます!変態によって!
「魔王さまお帰りなさいませ。この度はいかがでしたか。」
「…うむ、美味…いや!恐ろしさを知らしめて来たぞ!」
「…(駄目だこの子)」
こんなやり取りをしているのかはわかりまてん(=゜ω゜)ノ (え