原因は、僕ですか?
病気になりそうなほど、暑い大道路。
車が通りかかると、その度にその上を揺らめく陽炎達。
その暑さを喜ぶかのように「今日の東京の最高気温は、39°です!暑いですねー」という
朝の放送のお天気コーナーかと思われる音が、
どこかの家庭から聞こえてきた。
「あっぢー」
通りかかるおじさんも、一目気にせず大きい独り言を言いだした。
(いや、もとからおかしいのかもしれない)
などと、馬鹿らしいことは考えながら、
僕、山田 要16歳。東京生まれの東京育ち。紛れもない都会っ子は、今日も
だるそうな足取りで、あの名門高校を目指していた。
✈ ✈ ✈
分厚く、丈夫にできている制服のせいで汗だらけになった僕は、
下駄箱で、使い古して妙に臭いを漂わせる上履きを取り、意外と丁寧に扱っている
お気に入りのローファーを下駄箱にしまった。
「でねー、るるがさー」
途端に聞こえ出した人の声は、きっと紛れもなく
僕の彼女の、野々原 欄である。
欄と出会ったのは、中学2年の時で趣味や、好きなものが一緒でよく話すようになったのがきっかけだ。
正直僕は、欄のことは女だと見た事は、無いのだが欄は相当好きだったようで、
高校最初の時期に告白された。その欄の熱い思いに同情したのか、いつの間にか付き合うことになっていた
「あ、要!おはよう!」
なんの迷いもない清々しい顔で、欄は僕に挨拶を交わした。
「あ、はよー」
極度に緊張してるくせに僕も、普通に挨拶を交わした。
そう、僕は、欄と付き合ってから欄のことをかなり意識している。
かなりの自意識過剰だ・・・・・・・。
日々自分に呆れる。
そんなことを考えていると、不意に欄の隣にいたオカッパの女子が口を開いた
「いいねー、欄は、かっこいい彼氏がいてさー」
それに対し欄は、照れくさそうに、
「そんなことないよー」
と言った。
一体どういう意味が含まれているのか気になるな・・・・・。
カッコよくないという意味か?
いや、それとも俺よりかっこいいやつはまだいるという意味か?
たぶん欄より俺が好きでいっぱいになってるんだと思う。
そう、こんな僕の気持ちが、今から彼女をおかしくしていく。