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とある悪魔の転生記  作者: 柚花
第一章 幼少期
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悪魔の食事3!

残酷に感じられるような表現があるのでご注意ください。

お父様は私の服装の最終チェックを済ませると、私を招き寄せた。


「このイヤリングを付けるからじっとしててね。」


見ると、お父様の手には赤い涙形の宝石がついた金のイヤリングが握られていた。一つを私の左耳に付けると、もう片方はお父様自身の右耳に付けた。


「お父様、これは何?」

「これはね、言語を自動翻訳する魔法、つまり他の言葉が分かるようになる魔法をかけられたイヤリングだよ。セーラにはお父さんの妖術が効かないから、人間のものを求めて来たんだ。人間と悪魔の言葉は違うから、お家に帰って来るまでは外さないようにね。」


な、何だとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!?

それは、つまり、あれか!?これがあれば、あんだけ必死に言語習得する必要は全く無くなるってことか!!?

お父様ぁ!!そんな便利グッズがあるなら4年前に教えてくれよぉ……!!

軽く絶望感に苛まれていると、お父様が そろそろ行くよ、と手を引っ張った。そういえば、言葉はなんとなーく前よりもクリアに聞こえる様な気がするが、よく分からない。それだけ私がこちらの言葉に慣れたってことなのかな。

そんなふうに考えているとお父様に抱き上げられた。契約者の所には転移の術を使って行くから、私は大人しくお父様にしがみついていればいい。

初・外出にドキドキしながらお父様にしがみつくと、お父様の首辺りが視界に入る。

……あれ?そういえば、お父様は妖術が使えるのになんで言語翻訳のイヤリングを付けているんだろう。うーん、ここに突っ込んだら知らなくていいことを知ってしまう気がする。スルーしとこう。



お父様の足下から相変わらず禍々しい真っ黒な魔方陣が出てきて、私とお父様を包みこんだ。そういや、悪魔って黒が多いな。何でだろ?悪そうだからかな?と考えている内に目的地に着いてしまった。

暗い部屋だ。部屋に灯りが少ないせいか、薄暗く感じる。壁紙や調度品が深い色合いなせいもあるかもしれないけど、この暗さは重病人がいるからだろう。部屋の窓際には大きなベッドがあり、そこに契約者の人が横たわっていた。

ベッドサイドのランプに照らされて契約者の顔ははっきり見える。薄い金茶の髪色の初老の男性だ。顔色は青黒く、目は開いているのにこちらに気付いていないようだ。


「お久しぶりです。ポールさん。」

「……悪魔か。いよいよ私は死ぬということか……。」


契約者、もといポールさんはお父様の声が聞こえるようだけど、顔は全くこちらに向けない。声を出すのも億劫そうだ。そういえばポールさんが話している言葉は当たり前のように理解できる。違和感なんて全く感じられない。すごいな!言語翻訳器。某アニメのコンニャクみたいだ。よし、今日からこれは私の宝物に決定。絶対になくさないようにしないと。

ポールさんもお父様もそれからは全く言葉を交わさない。部屋にはポールさんの少し荒い呼吸音だけが響いている。それから十数分後。ポールさんは辛そうに口を開くと、お父様に向かって話しかけた。


「……悪魔。いや、アムドゥスキアス。私は君と契約したことを後悔はしていない。むしろ感謝しているくらいだ。惜しむらくは、私があの時望んだものが本当に望んでいたものだったか、ということだ…。……ありがとう。」


そう言い残すとポールさんは目を閉じた。何かをつぶやいている気がしたけど、私には聞き取れなかった。そしてポールさんの呼吸音は次第に小さく、ゆっくりになり、とうとう何も聞こえなくなった。お父様はポールさんのそばに近づいて死を確認すると、まぶたを閉じさせてあげた。私はポールさんのベッドに近づくと、まだかすかに温もりが残っているポールさんの額に優しく唇を押し当て、ポールさんの魂を吸い込んだ。



初めて口にした人間の魂はとても甘く、おいしく感じた。



私はすごく繊細な女の子だから(自分で言う)、人間の魂を食べるのにすごく抵抗感があると思っていた。でも、実際は抵抗感も嫌悪感も全く感じなかったし、お腹いっぱいになって満足感すら感じてしまった。やっぱり自分は悪魔なんだなー、と感じてしまった。

ポールさんのお宅から家に戻った私は、目の前で人が死ぬのを見たせいか、お母様のことを訊いてみようという気になっていた。お母様が亡くなっているのは知っているが、どうして亡くなったのか聞いたことはないし、訊いてみたこともなかった。湿っぽい雰囲気になるのが嫌で今まで避けていたけど、どうしても知りたくなったのだ。つまり、私は真剣だった。なのに、


「ねぇ、お父様。お母様はどうして亡くなったの?」

「違うよ、セーラ。お母さんはね、お星さまになったんだよ。それでお父さんたちを見守ってくれてるんだよ。」

「そうじゃなくて。……病気?それとも事故で亡くなったの?」

「違うよ、セーラ。お母さんはね、お星さまになったんだよ。それでお父さんたちを見守ってくれてるんだよ。」

「ねぇ、………」

「違うよ、セーラ(以下略)」


くっっ、手強いっ……!!お母様の名前はしょっちゅう出てくるのに、亡くなった原因は全く出てこないから簡単には話してくれないだろうと思ってたけど、ここまでとは…!

「大きくなったら話してあげるよ」的ワードも出てこない。つまり、大きくなっても話す気はゼロだな。そもそも、聞いた話から考えると悪魔ってほぼ最強なのだ。一人前になるまでは人間とほぼ同じくらい弱いけど、一人前の悪魔は妖術は使えるは、空は飛べるは、おまけに不老長寿だは(寿命は500歳位)でどこのチートですか、と思ったもの。だから大人の悪魔が寿命以外で死ぬことは滅多にない。お母様が亡くなったことには相応の事情があるのだろう。

いつか、いつかお父様が話してくれる気になるまで。それまで待つか、と思った。

やっとお父様の名前が出ました。

セーラはお父様、としか読んでくれなかったのでなかなか出ませんでしたね。

ちなみに、本作はパラレルワールドなので、悪魔は全部虚構の設定です。お父様は本物のアムドゥスキアスさんとは別人です。音楽の才能はありませんし、登場シーンに音楽も鳴りません(笑)

お母様の名前はリリンで、愛称はリリアです。

セーラの正式名はまた後ほど出てきます。


セーラの幼少期はお父様以外は基本出てこないので、早く成長させたいですね。

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