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とある悪魔の転生記  作者: 柚花
第一章 幼少期
4/18

悪魔の食事!

お気に入り登録ありがとうございます!とてもうれしいです(o^∀^o)

これからも頑張ります!



※本文中に直接的ではありませんが、カニバリズムのような記述がありますのでご注意ください

あれから一年が経ち、私は4才になった。

だいぶ3セットは大きくなってきた。角はなぜかくるりと丸まってきている。お父様のは水牛みたいに湾曲してるのに、私のは山羊の角に似ているな。不思議に思って訊いてみると、男女で角の形は違うんだって。へー。

3セットが生えてからの一年は地獄の様な日々だったよ…。毎日体は痛いわ、外出はできないわ、大好きな肉料理は食べられないわ…。散々な日々だったよ、全く。悪魔になんかなるもんじゃないね!(生まれた時からなってるけど)

この世界にはマンガやゲームはないし、分かんないことだらけでストレスが溜まる一方なので一心不乱に言葉を勉強した。おかげで文字が読めるようになったので悪魔のことがちょっと分かったよ。やっぱり若い子の脳は違うなぁ。するすると覚えられる。

で、お父様がなにがなんでも私を外に出さまいとするのは、外の世界には悪魔を狩ろうとする奴らがいるかららしい。それで、そいつらは特にまだ無力な時の悪魔の子供を狙っている、らしい。

ちょっとおおおお!!!!!

お父様ぁぁぁぁ!!!

そんな重要なことは始めから言ってくれよぉ!闇雲に外に出るな、なんて言われたら普通のお子様は外に出ちゃうからね!従順にそんな言い付けを守るのはチキンな私くらいだからね!せめて、「外には危険な人がいるから危ないよ」くらい言ってくれよぉ!!

でもまぁ、自分達が悪魔で、こそこそ暮らしていることからある程度予想はついてたけど。私は転生してからお父様以外の人に会ったことがない。窓の外は森で、人が訪ねて来たこともないからなんかあるんじゃないかって疑ってはいたんだ。悪魔ってダークサイドだしね。

だけどさぁ、悪魔を退治する側は悪魔の子供を狙うって!

悪魔って悪役だよね?それを退治するんだから、えくそしすとっぽい人たちは正義のヒーローだよね?

正義のヒーローが子供を狙うのかよ!それ本当にヒーロー?いくら敵側とはいえ、子供を狙い打ちってナイ。それはヒーローとは言わない。悪役だってヒーローの変身時間は黙って見守ってあげてるんだから、ヒーローも最低限なエチケットは守るべきだと思うの。

……話が脱線してしまったけど、予想以上にこの世界は私にとって厳しいということが分かった。だからもうちょっとこの世界について積極的に学ぶとともに、体を鍛えた方がいいかもしれない。よーじゅつを使えるようになるまでは、家の中に引きこもる気満々だけど、何が起こるか分からないものな。

ぐうぅぅぅぅ~~。

いきなり獣の唸り声が聞こえた。さっそく敵か!?

……じゃなくて、私のお腹の音です。すいません、女の子らしくなくて。最近はずっとお腹が減りっぱなしで。原因は私がずっと(諸事情により)肉料理を拒否してるからだ。この世界の料理は肉料理が非常に多い。そのせいで私はパンとサラダとデザートで食いつないでいる状態だ。

……自分が悪魔だって受け入れた時点で、頑張ってお肉も食べられるようになろうとはした。でも、無理なんだよ。無くしてはいけない何かを失いそうな気がして。(←何を)

というわけでお父様におやつをたかりに行こう。

とてとてとリビングからお父様の書斎に行くと、お父様は机で何か書き物をしている。そういえば、お父様は何をしてお金を稼いでいるんだろう。人間からお金をむしり取ってるのかな?

そんな失礼な想像をしていると、私に気付いたお父様が手を止めて顔を上げた。


「どうしたんだい、セーラ。」

「お腹が空いたの。」


どうだ!すごいだろう!一年でずいぶんと滑らかに話せるようになったんだよ!


「さっき昼食を摂ったばっかりだよ。もう空いたの?」

「…うん。」


ごめんなさい。お昼ご飯はミートパイだったから、外側の生地しか食べられなかったんです。


「うーん…。最近セーラはお腹が早く減るようになっているねぇ。そろそろ潮時なのかな。」


お父様は一人でぶつぶつ呟くと、私に手を差し出した。


「セーラ。食事に行こう。」

「?さっきお昼ご飯は食べたよ。夕ご飯には早すぎるよ。」


どしたの?お父様。それに行くって、どこへ?


「それは人間式の食事のことだね。これから悪魔の食事をしに行こうかと思って。最近セーラはよくお腹が空くから、そろそろ人間を食べ始めた方がいいだろう。」

「え?人間ならお昼ご飯に出たんじゃないの?」

「何のこと?お昼ご飯のミートパイは牛肉だろう?」


えええぇぇぇぇ!!!?

人肉じゃないのぉぉぉ!!?

混乱して口をパクパクとさせていると、お父様が不思議そうに首を傾げた。


「何を勘違いしてるのかは知らないけど、悪魔は人肉なんか食べないよ。セイレーンじゃあるまいし。悪魔が食べるのは魂だろう。」


あれ、教えてなかったっけ?と首を捻るお父様。


「じ、じゃあ、今まで食べたお肉は人間の肉じゃないの?」

「そりゃそうだよ。人間の肉なんて臭くて食べられたもんじゃないからね。牛肉や豚肉の方がよっぽどおいしいよ。」


何を今更、という顔のお父様。

そういう重要なことは先に説明してくれよぉ!まぁ、早とちりして訊かなかった私も悪かったけどさぁ。

何となく納得がいかなくて悶々としていると、私の準備を整えながらお父様が説明しだした。心なしか慌てている気がする。

お父様の説明をまとめると、悪魔は人間の魂を食べる代わりにその人間の望みを一つだけ叶えるという契約を結ぶのだと。契約の主体は悪魔だから、人間が契約を破ったらその時点で人間を食べていいのだけど、契約中はその人間を食べてはいけないのだと。つまり、人間が寿命で死ぬまでは手を出せないそうだ。だから悪魔は常に複数の人間と契約を交わしているし、普段は人間の食事で空腹感を紛らわせているそうだ。しかも、契約を交わしていない人間を食べてはいけないという掟があるから普段は人里離れた場所で暮らして人間への食欲を抑えているという。

……悪魔ってなんだろう。

契約とか魂とか悪魔っぽいけど、すごく不憫だ。悪魔ってもっと傍若無人で悪役然とした生き物じゃないの?他人を不幸に陥れて高笑いする感じじゃないの?しかも、えくそしすとっぽい人たちに命を狙われてるんだよね?悪魔の方がよっぽど不幸で不憫じゃかいか。あ、なんか涙が出てきそう。

悪魔の子供は無力で人間と契約を交わす力もないので、親の契約者の魂を頂くらしい。本当、すいません。貴重なお食事なのに何もしてない私が頂いちゃって。生まれてきてすいません。


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