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とある悪魔の転生記  作者: 柚花
第一章 幼少期
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悪魔に変身!

目を覚ますとそこは私のベビーベッドの中だった。転落防止用の柵は黒い木でできていて、いろいろな動物の透かし彫りがしてあるお気に入りのベッドだ。

あれから私は気絶してしまったから、お父様が私をここに運んでくれたようだ。

私が現実逃避の為にひたすらベッドの透かし彫りを手でなぞっていると、お父様が姿を現した。角やら羽やら尻尾やらは隠しているのか、普通の人間のような見た目だ。…普通の人間だったらいいのに。


「セーラ。起きたようだね。気分はどうだい?」


さすがにあなたのおかげで最悪です、と言うわけにもいかず、大丈夫とだけ返しておいた。


「良かった。……お父さんは心配したんだよ。いきなり倒れたりするから。でも、あんなにいろいろなことを突然教えたらセーラも混乱してしまうね。これからは少しずつ教えていくから一緒に覚えていこうね。」

「うん……。」


もう、遅いわぁ!!

こっちはとっくにトラウマになりそうなんだよぉ!!

金輪際肉料理が食べられなくなっちゃったじゃないかぁ!!!(涙目)

どーしてくれるんだよぉ!!お父様の手料理のなかでハンバーグが一番好きだったのにぃ!!

……うげぇ。ハンバーグのことを考えたら、その原材料のことを考えてしまった。吐きそう。


「どうしたんだ!セーラ、顔色が真っ青だよ!気分が悪いのかい!?」

「はきそう…」

「ええ!?…待ってね!今洗面器を持ってくるからちょっと我慢するんだよ!!」


お父様は私を起き上がらせて座る体勢にすると、慌てて寝室を飛び出した。

本当に気分が悪い。想像で吐き気がするだけでなく、頭の横がジクジクと痛むようで、こころなしか背中やお尻も痛いような気がする。

……これはもしかしなくてもあれだね。悪魔の羽&尻尾が生えようとしているんだね。

ひ~~~っ!!!自分が悪魔だとまだ受け入れられてないのに~!!!主に食物とか食物とか食物とかの面で。

それでも体は問答無用で変化しようとしており、私は震えながらおとなしく耐えた。


「ぎゃーー!!!!いたいよいたいよいたいよーー!!!!!!!」

「セーラ、大丈夫か!?洗面器を持ってきたよ!」

「それどころじゃないーー!!!いたいよーいたいよー!!!しぬぅぅー!!!!」

「いたっ!ちょ、セーラ!!?痛いのはわかるけど落ち着きなさい!手当たりしだいにものを投げてはいけないよ!!」

「ぎゃぁぁぁ~~~~!!!!!」


……まぁ、おとなしいかな?おとなしい方だよね。あはははは……。





あれから一週間くらいして私の悪魔3セットは無事に生えてきた。いやもう、マジ痛かった。最後の方なんて痛みのあまりに生えたての角でお父様を攻撃していたもの(涙目)。重ね重ねすんません、お父様。

もう自分が悪魔だということは受け入れたよ。さすがにあれだけ生々しく角だの羽だのが生えてきたら受け入れるしか無いよね…。魔法とかがあるファンタジーな世界なら、もっとファンタジーにぴょこんと生えてくればいいものを…!

悪魔だからしょうがないのかな。

お父様はまだ生えたてで小さな3セットを見てニヤニヤしてるけど、私にしてみたら笑い事じゃないよ!なんか、これから3年かけて本来の大きさに成長するらしいんだけど、この成長痛(?)が半端ないんだな、これが。普通にしてたらなんとも感じないんだけど、3セットにちょっとでも何かが当たると激痛が走るんだよ。おかげで、眠るときはうつ伏せじゃないと寝れないし、椅子に座るときは背もたれに寄りかかれないんだよ。なんで3才でこんなにストレスを感じなきゃいけないんだよ!それにあと3年間このままかと思うと…。いや、もう深く考えるのはやめとこう!

変身は結構辛かったけど、正直私はちょっとワクワクしている。だって、あれだよ?悪魔になったってことは、魔法使ったり空飛んだりできるってことだよね。

前世ではマンガとかRPGのゲームとかが好きな夢見る乙女だから、自分で魔法が使えると思うだけでテンションが上がる。どうみても自分のポジションが敵側なのは気にかかるけど。

最悪自分に魔法の才能が無いとなっても、空を飛ぶとゆー野望は叶うはず。あれだけ痛い思いをして生やした背中のアレがただの飾りだったら引きちぎってやる!……自分が痛いだけだからやっぱりやめておきます。


「ねぇ、おとーさま。」

「なんだい、セーラ。」


話しかけただけでお父様はでれでれしている。これじゃあ、せっかくの美形も…台無しにならない。

なんで?こんな情けない表情してるのに眼福ってどゆこと? 女性に喧嘩を売ってるとしか思えないな!

おっと、思考が脱線してしまった。今は魔法の使い方を教えてもらおう。そしていつか眠ってる間にその綺麗なお顔にイタズラしてやろう。

…嫉妬じゃないよ?ほら、私って悪魔だから。


「わたしもおとーさまみたいにまほーつかいたい!おとーさま、おしえて?」


必殺、はかいこうせん(うるうる上目遣い)!!

この表情でお父様が陥落しなかったことはない!あぁ、私ってなんて罪な女。

……その前にお父様がチョロすぎて心配になる。お父様って悪魔だよね?騙す側だよね?


「ううん、困ったな。…ごめんね、セーラ。今のセーラは魔法を使うことができないんだよ。」

「どうして?」

「セーラが魔法だと思っているのは悪魔の妖術というんだよ。この術は自分の力を練って使うんだけど、それには角がいるんだよ。セーラはまだ角が伸びきってないから、どう頑張っても術は使えないんだよ。」


そうだったのか!角がそんな役割をもつとは知らなかったよ!

横になれないし、頭重いしで邪魔だなとか思ってたのは悪かったな。今後はもう少し大切に扱おう。痛くて触れないけど。

でも角がそんな状態ならもしかしたら羽も……


「羽も生えかけの状態だから、セーラを支えて飛べるほどの力は無いよ。角や羽をしまいたいだろうけど、しまうのは妖術でやっているんだ。だから、妖術ができるまで我慢しようね。」


やっぱりそうか。じゃあ、この3セットは今は役立たずなんだね。しかも、しまえないのか…。

あれ?そうすると、外出はどうなるの?

悪魔って人間をた、た、食べるらしいけど、この恰好のまま外に出ても大丈夫なの?


「じゃあ、おとーさま、わたしはこのままおそとにでてもいいの?」

「駄目だ!!絶対に外に出るな!!」


お父様は突然表情を一変させると大声を出した。姿は悪魔に戻っていないが、今までで一番怖い。目を薄く開き、赤い瞳が私を見据えている。無表情なのに、普段はいつも微笑んでいるからかめちゃくちゃ怖い。

ひいいいいぃ~!!今まで悪魔っぽくないとか思っててすいませんでした!!

何か気に障ること言ってたならいくらでも謝るんで、取って食わないでくださいぃ~!!私はオイシクナイよ!


「あ!ごめんね、セーラ!別にセーラに対して怒った訳じゃないよ。泣かないで。」


お父様は怖くて震えている私を見て、急いで表情をデフォルトに戻した。

いや、泣かないでって言われても泣かしたのはお父様だからね。幼児は一回泣き出すと自分じゃ止められないんだからね!

結局私は泣きながらお父様と外には出ないという約束をすると、そのまま泣き疲れて眠ってしまった。明日外に出てはいけない理由を訊こう…。

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