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とある悪魔の転生記  作者: 柚花
第一章 幼少期
13/18

悪魔と牢屋!

たくさんのお気に入り登録やポイント評価ありがとうございます!

これからも頑張って投稿していくので、読んで頂けると嬉しいです!

「……ぅぅ」


相当強く殴られたのか、まだ頭がジンジンする。もしかしたら角が欠けちゃったかもしれない。そんなみっともない姿になったらお嫁にいけない!と落ち込んでいると、牢屋の奥の方から呻き声らしき音が聞こえてきた。この牢屋っぽい部屋は薄暗いから気が付かなっかったけど、私以外にも誰かいるようだ。


「もしもしー。あのー、大丈夫ですか?」


と呼びかけながら奥へ移動しようとすると、自分の姿を何気なく視界に入れてびっくりしてしまった。なんと下着姿だったのだ!!しかも帽子も靴もなく、言語翻訳器のイヤリングも髪を結んでいたリボンも外れてしまっている。も、もしや、この身は変態共の魔の手に……!!?なんて青ざめてしまったが、別に頭痛以外に体におかしいところはない。前世でも経験がなかったのでよく分からないけど、初めては痛いというし、多分、大丈夫だろう。代わりに五歳のレディの身ぐるみを剥がして牢屋に転がしておいた盗っ人どもへの怒りがふつふつと沸いてきた。

どうしてくれようか。お父様に頼んで、縛った後モー・ショボーが住むという森に放置してやろうか、などと復讐方法を考えていると、


「……ぅぅ……ぅ」


奥の方から呻き声がまた聞こえてきた。あ、すいません、あなたのこと忘れてました。ちょっと私の復讐心に火が点いちゃって。

心の中で謝りながら奥の方に進んでみると、男の子が倒れていた。しかもパン一で、頭を押さえて呻いている。多分私と同じ境遇なんだろう。


「もしもし、返事できますか?声は出せますか?」


と肩を叩きながら呼びかけてみると、その男の子は顔を上げてくれた。なんというか、うん、すごい美少年だ。後光が差しそうなレベルである。体格からいって12,3歳くらいで、顔だけ見れば美少女にしか見えない。さらっさらな白銀の髪は顎の当たりで切りそろえられ、大きな瞳は黒色に見えたが、よく見ると青味がかっている。額を殴られたのか、手で押さえて涙目になっているところなんて、殺人兵器並みの威力だ。この子がもし女の子だったら、多分見つめるだけで男共のハートをバッタバッタと堕とすことができるだろう。そのくらい、無駄に美しい。

普段からイケメンを見慣れてる私でも、しばらくぽけーっとご尊顔を拝していると、やっと男の子が話しかけてくれた。


「〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇……?」


ごめ、ちょ、待って。何言いたいかサッパリ分からない。最初に質問したこっちが悪いんだけど、そういえばあのイヤリングを盗られたから言葉が通じないぞ。えらいこっちゃ。

それでも何とかボディランゲージで相互理解を図ること、約三十分。ようやく男の子が頭に巻いているサークレット?のようなものを取り去ってほしいと言っていることが分かった。ごめんよ、鈍くて。

男の子の顔の造形美に感心してたから気付かなかったけど、この子の額にはくすんで真っ白な細い銀の鎖が巻かれている。頭を押さえていたのはどうやらこれがキツくて痛かったかららしい。

自分でやれよ、と思いつつ苦労して銀の鎖を取ってやると、男の子は何かを呟いたあと口を開いた。


「ありがとう、悪魔の少女さん…。僕にはこれを外すことができなかったんだ…。」


いえいえ、お気遣いなく。って、何で悪魔って分かったの!?あと、何で言葉が通じるの!!?

もしや魔道具を隠し持っているのか、と思ったが男の子の装備はパンツだけだ。気の毒に。

どうも私の顔に疑問が浮かんでいたのか、額を摩りながら男の子は答えてくれた。


「いや、角が出ているから見れば分かるよ…。それに封印を外してくれたから、即時言語翻訳の術くらいは使えるよ…。」


まじか!帽子が取れちゃってるから、角が見えちゃった!?一応さらしは巻いてあるんだけど、それも取れちゃったのかな。

頭をペタペタ触ってみると、さらしはそのままだったけどさらにその上から変なものが巻きついている。

ナニコレ。


「ねぇ、私の頭に何か巻き付いてる?」

「うん…。痛くないのかな、とは思ってたんだけど気がついてなかったんだ…。鈍いね…。」


オイ。分かってるなら教えてくれよ。自分、あんだけ痛がってたじゃん。外してあげたんだから、悠長に話してないで何か言えよ。

しかし、あの男の子はあれだけ苦しんでたのに私は全然痛くないのって、さらしに染み込ませた麻酔薬のおかげなんだよね?悶絶ものの激痛を毛ほども感じないって、どんだけ強力な麻酔薬なんだ。幼児にそんなもの使っていいのか、逆に心配なんだけど。どうなんだ、お父様。

このことは後で考えるとして、今差し迫っているのは目の前の男の子についてだ。子供なのに術を使えるし、私が悪魔だと分かっても動じないことからタダモノじゃないだろう。

とりあえず、この封印とかいう邪魔くさい鎖を取ってから……あれ、ちょ、え、と、取れない。


「スイマセン、この鎖を取ってもらえますか……?」

「ちょっと待ってね…。」


なぜか自分の鎖は取れなかったくせに、男の子が鎖をいじると呆気なく外れた。何だろう、自分の鎖は外せないとかいう仕掛けでもあるんだろうか。でも、そうすると二人一緒に牢屋にいる時点で意味無くなっちゃうけど。


「この封印とかいう鎖はどうなってるの?何で自分の分は外せないの?」

「これは着けた者の魔力を奪うという魔道具だよ…。しかも、魔力のない者には外せないという仕掛けになっている…。でも随分と錆びているせいで効力は本来よりも薄れているようだ…。」


良かった。不良品のおかげで助かったんだな、私たち。しかし、そんな間抜けな盗っ人どもに捕まるなんて、屈辱だ。

しかし、この男の子はそんなことも知ってるのか。ほんとに、一体何者なんだ?


「えーと、私はセーレスフェリリアという者ですけど、あなたは?」

「僕はリシュリューという…。ユニコーンだ…。」


そう名乗った男の子の額には、白い小さな角が生えていた。

ユニコーン?あの、気位が高くて、潔癖性で、凶暴で、怪力で、好戦的で、聖獣(笑)なユニコーン!?

確かに角が生えてるけれども!白髪に紺色の瞳だけれども!まさか、こんなおとなしそうな子がユニコーンとは……!!

ここはとりあえず、


「本当にすいませんでしたっっ!!まさかユニコーン様とは知らず、舐めた口きいて本当にすいませんでしたっっ!!!」


誠心誠意を込めた土下座だ。なんせユニコーンは、自分に触れた人が乙女でなかっただけでその人を八つ裂きにしてしまうくらい短気なのだ。怒らせたらどうなるか分からない。

てか、ユニコーンを聖獣指定したヤツ誰だよ。


「……別に気にしてないから顔を上げてくれない…?小さな女の子に土下座されるのはちょっと…。」

「はい、今すぐやめます、ユニコーン様。ほんとにすいません。」

「あと、もう謝らなくていいから…。敬語も止めて…。ユニコーンに対してどういう認識を持ってるのかは何となく分かった…。いろいろと訂正したい部分があるけど、とりあえず君は乙女だから酷いことはしないよ…。」

「はい、リシュリシュさん。」

「リシュリューね…。」


はぁー、助かった。乙女で良かった。……まぁ、乙女じゃない五歳児ってほとんどいないけれども。

しかし、リシュなんとか君がユニコーンとは。まぁ、この子ナニモノ?って思うほどしっかりしてるし、逆にただの人間だって言われる方がびっくりすると思うけど。でも、よりによって盗っ人どもに拉致られた子供が二人とも他種族というのはおかしい。他種族はただでさえ数が少ないのに。


「……これからどうなっちゃうんだろう。」

「多分、売られるだろうね…。他種族の子供はいい値で裏取引されてるらしいから…。でも、君は悪魔だから聖騎士団に引き渡されるかもしれない…。報奨金が出ると聞くし…。」

「えぇ!!?そんな!!引き渡されたら、私殺されちゃうよ!!どうしよう、リシュリーさん!!」

「リシュリューね…。……分かってるよ、僕だって売られるのは真っ平だ…。特にここは汚いし、汚いし、汚いし、早く出たい…。だから、逃げるよ…。」


リシュー君の大きな瞳がキランと光った。





期末テストが近いため、来週の投稿はお休みさせていただきます。

本当にすみません。


テストが終わったらまた投稿を再開するのでよろしくお願いしますm(_ _)m

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