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とある悪魔の転生記  作者: 柚花
第一章 幼少期
11/18

悪魔の贈り物!

またまた更新遅くなってしまってすいません!


ラウムさんが帰った後、お父様は何事もなかったかのようにご馳走やケーキを用意すると、二人だけで誕生日を祝った。ちょっとお父様の笑顔が怖かったです。

生クリームたっぷりのデコレーションケーキにがっついていると、お父様はどこからともなくプレゼントを取り出して私に渡してくれた。


「開けていい?」

「いいよ。気に入ってくれると嬉しいな。」


いつも以上にキラキラしいお父様の笑顔に押されて、早速プレゼントを開けてみると、中にはいろんな種類の髪飾りが入っていた。

おおぉ!!やるではないですか、お父様!!やっぱり私も女の子だから、こういうアクセサリー系はすっごく嬉しいんだよね!

「好みが分からないから、とりあえずいろいろな種類のものを買ってきた」と言って照れ笑いするお父様にお礼を言うと、早速机に並べて眺めてみることにした。

入っているものは、リボン、リボン、飾りの付いた髪ゴム、リボン、リボン、カチューシャ、リボン、リボン、リボン(略

リボンばっかりじゃないかっ!!!いろいろな種類って、リボンの色のこと!?まさか、そっち!?

とゆーか、カチューシャ以外は全部二本でひと組みになってることからも、させたい髪型も決まってるんですよね、絶対!

しかも、私が箱からわさっと出てきた色も柄も多様なリボンに気を取られている内に、ブラシと鏡を持ったお父様がいつの間にか背後に現れた。こーゆうときは素速いなっ!


「早速結んでみようか。セーラの髪も結構伸びたから、結んだほうが便利だし可愛いよ。」


そう言うが速いか、咄嗟に逃げようとした私の肩を押さえて髪を梳き始めた。楽しそうに私の髪をいじっている。

父子家庭だからこーゆう展開はないだろう、と思っていたけど甘かったか。そういえば、私が角に刃物が近づくのを怖がって髪を伸ばしっぱなしにしても何も言わなかったのは、時期を待っていたのかもしれない。やっと髪が背中の真ん中辺りまで伸びたから、いよいよ動き始めたのか……!


「頭の上の方で二つ結びなんてどうかな?両側で一つずつお団子結びなんてのも捨てがたいんだけど。」


ツインテールか!!やっぱりそうきたか!

……幼稚園くらいの娘を持つ親ってだいたいツインテールかお団子好きだよね!でもさ、これは相手が幼いから許される所業なんだよ。私の見た目は確かに幼稚園児だけれども、中身は大人の女性なんだよね。ツインテールやお団子は耐えられない。主に私の精神が。


「…痛っ!!痛いよ、お父様!そこ触らないで!!」

「あ、ごめん、ごめん。…こっちならどう?痛くない?」

「痛い!そっちも痛いよ!」


どうしてもツインテールが受け入れられない私は、角が痛くて髪が結べない様に装うことにした。本当はこれくらいじゃ痛くないんだけど、主に心の方が痛むので嘘はついていない。

でもお父様はよっぽど私の髪が結びたかったのか、娘が痛がってるのになかなかに粘った。だいたい十分くらい。……長いな。そんなにツインテール好きなの?ちょっと引くよ。

結局どちらも譲歩して、私の髪型は耳の下あたりで二つ結びにして前に流す、というものに落ち着いた。いやー、髪結ぶのにこんなに疲れたのは初めてだよ。


「うん、この髪型も可愛いね。さすがセーラ。……さっきの髪型はまた今度試してみようね。」


こころなしか疲れた表情だが、お父様は満足そうだ。って、ツインテールまだ諦めてなかったの!?そんなに好きなら自分の髪でやってくれ、私は絶対に拒否るからな!!!

……ちょっとツインテールのお父様を想像してしまった。いくら美形でも、生理的に許せない格好ってあるんだね……。



誕生日から一週間経った。あれから毎日お父様に同じ髪型にさせられるので、髪を弄られるのはもう慣れた。案外楽だし、人に髪を結んでもらうのは前世の子供の頃を思い出してちょっと嬉しい。恥ずかしいからお父様には言わないけど。

そんな親子のほのぼのタイムを終了させたのはドアノッカーの音だった。誰だよ。朝っぱらから迷惑だな。

渋々お父様がドアを開けに行くと、何やら玄関から言い争いが聞こえてきた。と言っても、一方的にお父様が怒ってる声しか聞こえないんだけど。

何となくこの後の展開が予測できたので、私はお茶の用意を始めた。お菓子は出さないよ、もったいないからね。


「おはよう、セーラちゃん。久しぶりだね。……あれ、その髪型可愛いね。お父さんに結んでもらったのかな?」

「……おはようございます…。」

「あれ、なんか冷たい。しかも敬語だし、やっぱり俺嫌われてるの?」


そうですよ、ラウムさん。分かったならちゃん付けで呼ばないでね。馴れ馴れしい人はキライなんだよ!

そう思ってる内にお父様も戻ってきた。多分ドアの鍵をチェックしてたんだろう。心配性だからね。


「セーラに話しかけるな、ロリコン!セーラの耳が汚れる。……あ、セーラ。お茶の用意をしてくれてたんだね。ありがとう。セーラは本当にいい子だね。」

「ううん、大したことないよ。どんな人でもお客さんはお客さんだから。」

「……二人ともやっぱり親子だね…。」


引きつった笑顔でラウムさんはそうこぼすけど、謝らないからね。てか、お前が謝れ。まだ朝の八時前だぞ。小学校で『友達の家に遊びに行くのは朝十時以降にしましょう』というルールを知らないのか!

……あ、この世界に小学校ないか。


「緊急の用事じゃないと叩き出すぞ、非常識。マナーを考えろ、マナーを!」

「そうだ、そうだ!」

「ごめんごめん。悪かったって。今日はこの間来たときにセーラちゃんへ誕生日プレゼントを渡すのを忘れてたから、お詫びをかねて今日来たんだよ。どう、セーラちゃん。お兄ちゃんと一緒に街に出かけない?」

「「出かけない。」」

「即答!?…ってか、なんでキアスまで答えてんの。お前には聞いてないよ。」

「デートなど百年早いわ、馬鹿!!私の前でセーラを口説くとはいい根性だな、性犯罪者。即刻去勢してやる。」

「馬鹿はお前だ!!!」


と、低レベルな言い争いをしていたけど、ラウムさんの説明を聞いてるうちに気が変わった。なんでも、街には魔道具屋さんなるものがあるらしい。今も宝物として肌身離さず着けている例の自動翻訳イヤリングは魔道具なので、そのお店に行けば他にも色々な便利グッズが手に入るかもしれない。前の二の舞は避けたいからね。

街には聖騎士団がうろついてそうで怖いけど、二人も悪魔の大人(護衛&財布)がいれば大丈夫だろう。ラウムさんは上級悪魔とかゆう相当の実力者らしいし。見えないけど。


少し嫌そうにしているお父様をラウムさんが引っ張り、私たちは街に向かった。

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