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とある悪魔の転生記  作者: 柚花
第一章 幼少期
10/18

波乱の誕生日!

更新が遅くなってしまってすいません!!


「……おい、ラウ。セーラが困っているんだからその辺にしておけ。」

「だってさ、……ぷぷ……普通お客さんを見て……っくく……プレゼントとか言う?……ぷは……どんな育てかたしてんの!…あははははははは!!!」


…ホントーに失礼だなっ!!!ここまで腹が立ったのは二回目に生まれてきてから初めてだよ!てか、笑い方が多様だな、統一しろよ。

呆れた目で笑い止むのを待っていると、ヤツはなかなか笑い止まない。時間はもう三分も経っている。ある意味、スゴイな。肺活量が。苦しくないのか?

もう、必殺技ロケットずつき☆をかまして強制的に笑い止ませてやろうか、そして舌を噛んで噛んだところが口内炎になって苦しめばいい……!!と考えていると、お父様がヤツの頭をはたいて止めてくれた。

お父様ナイス!!でも、ちょっと残念。(必殺技を)かますのはまた今度にしよう。なんか、今後も関わりそうな気がヒシヒシするから、また機会は巡ってくるだろう。不本意だけど。


「いい加減にしろ。(お前と違って)可愛いセーラが困ってるだろう。早く笑い止めろ。」


叩かれた人は小声でブツブツと文句を言っていたが、お父様は完全に無視して勝手に紹介をしてくれた。

……あれ?なんかお父様、キャラ変わってない?それともこっちが本性?


「これの名前はラウムと言うんだ。今は術を使っているから分かりにくいけど一応悪魔だから、怖がる必要はないからね。今日はセーラに何か用があるようだけど、終わったらすぐに出ていっ「…というわけで、突然で悪いけどちょっとお話させてね。あと、俺のことはラウお兄ちゃんって呼んでね、セーラちゃん。」」

「…セーレスフェリリアです。」


話しながら、術を解いたのかラウなんとかさんの瞳は薄茶色から赤色に変わった。相変わらず可愛らしい顔つきをしているけれど、こころなしか笑顔が黒く見える。というより、胡散臭い。

だいたいなーにが、「ラウお兄ちゃんって呼んでね」だよ!!誰が呼ぶか!!あと、お前に「セーラちゃん」呼びを許した覚えはないからな、馴れ馴れしい!!


ラウなんとかさんを睨みながらも、怖いので後退りながらお父様の後ろに隠れると、ラウなんとかさんは困ったように頭の後ろを掻いていた。


「どうしよう。俺、セーラちゃんに嫌われちゃったかなぁ。ねー、お父さん、とりなしてくれない?」

「自業自得だ。……あと、お前に『お義父さん』と呼ばれる筋合いはないからなっ!!セーラはやらん!!」


お父様、勝手に想像を飛躍させて盛り上がってるとこ申し訳ないけど、字が違うから。あと、私の年考えて。私、やっと今日五歳になるんだよ?ロリコンでも守備範囲外だろ!……あれ、外だよね?外でありますように。

父娘そろって疑惑の眼差しを向けていると、ラウムさんは察しがいいのか呆れた顔をした。主にお父様に向かってだけど、私の方にも向けられてるような気もする。なんでだろう。


「いやいや、さすがにこんな小さな女の子をそんな目で見るわけないでしょ。そんなの変態じゃないか。それに、この子って確か五歳になったばっかりだろう?」

「いや、だって、私とそんなに年が変わらないのに今だに独り身だから、そういう趣味なのかな、と思って。」

「おい、誤解を招く言い方は止めろ。……あれ?なんかセーラちゃんの眼差しが冷たい気がする。え?五歳児だよね?理解できてるの?」

「そんなわけないだろう。セーラは汚れを知らない純真な天使だぞ。そんな趣味があること自体知らないはずだ。」


そう言ってお父様は私を隠すかのようにぎゅーっと抱きしめたが、ラウムさんがこちらを疑わしげに見つめていることが分かる。……あと、お父様。私は悪魔です。変な幻想を抱くのは止めて。


しばらくラウムさんは小声で「何を教えてるんだよ……。」とかブツブツ言ってたけど、気を取り直したのか屈んで私と目を合わせると用件を話し始めた。


「セーラちゃん。君は今日で五歳になったね。つまり、あと一年で角や羽が伸びきるわけだ。……今日お兄さんが来たのは、君の成長ぶりや力を見極めて、どの悪魔に君を預かってもらうのかを決めるためだ。」

「預かってもらう…?」


なんだそれ、聞いてないよ。預かってもらうとか、何のこと?

私が不思議そうに首をかしげると、すぐにラウムさんはお父様に冷たい視線を送った。見ると、お父様は明後日の方角を見ている。……また伝え忘れてたな。

私もジトーっとお父様に冷たい目線を送ると、お父様は言い訳を始めた。


「だって、セーラちゃんが離れてしまうことなんて考えたくなかったんだもの!そんなの、嫌だったんだもの!」

「いい年したおっさんがそんな喋り方すんな、気色悪い。そうじゃなくて、単純に忘れてただけだろう。」

「いやー、まぁ、うん。すっかり忘れてた。というより、ラウがそっちの件で来たのも今知った。」

「……本当に相変わらずだな。じゃあ、俺から伝えるよ。いいね?」


ラウさんはやれやれ、というようにため息をつくと、かなり重要なお話をしてくれた。合間合間にお父様への皮肉を挟んでいて長いので、省略すると次の様な話になる。

悪魔は六歳になると角が伸びきって術を使えるようになるらしい。すると、早く一人前になれるように練習するし、少しずつ人間とも契約を結ぶようになるため、今までよりも格段に人間に正体がバレる可能性が高くなるのだそうだ。昔は聖騎士団なんていなかったから引き続き親に面倒を見てもらっていたのだけれど、今は親の庇護だけでは子供の悪魔を守りきれないキビシイ世の中だ。それに、だいたい悪魔の力の強さは親に似通ったものが多いのだけれど、例外も結構あり、そういう子供は親の手には余るので、近頃は六歳になるとその子の能力よりも強い悪魔に預かってもらい、一人前になるまで面倒を見てもらうのだそうだ。その能力の見極めは五歳になると行われるらしい。


「……五歳になると成長が落ち着いてくるからね。まだ術は使えないだろうけど、本人の力量がどれくらいかはわかるようになるんだよ。どう?最近はかなり成長痛もかなり収まってきたんじゃないかな。」


確かに。最近はちょっと触る程度なら痛みを感じなくなってきた。単に痛みに馴れちゃったのかなー、とか思ってたけど、棚の角に小指をぶつけたら普通に悶絶するもんね。痛みに馴れる、とかはないな。

ラウムさんは私が納得したのを見ると、唐突に角の色について尋ねてきた。何だ、急に。


「君の角の色は見たところ濃いグレーだね。お父さんよりも濃いな。君のお母さんは何色か知ってる?」

「…知らない。」

「お母さんは黒色だったんだよ。だいたい悪魔の能力は角の色で分かる。色が黒に近いほど力は強いとされる。……まぁ、上位の悪魔の角はみんな黒いからそれだけじゃ詳しく分からないんだけどね。」


「ちなみに俺は上の下で、君のお母さんもそれくらいだった」と言ったラウムさんは、私の角に触れて目を閉じた。そしてしばらく唸っていたが、一分ほどするとパチンと目を開けた。


「うーん、中の上。……君のお父さんが中の中だから、何と予想通り。」


そう言って笑うと、また来るよと言って去っていった。来るのも突然だったけど、去るのも突然だったな。なんつー忙しない人だ、と見送るとお父様がちっちゃい声で「一昨日来やがれ」と呟くのが聞こえた。

空耳だよね、うん。絶対に空耳のはずだ。

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