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 「二ノ宮さん、七瀬君に付きまとうのを止めて頂けませんか? 七瀬君も迷惑そうですし……」

「ハッ。あんた達こそ黒斗に付きまとわないでくれるー? ブスが移るから」

「なっ……」

「……」

 お昼休み。お手洗いに行ったら何か取り込み中だった。

 というか二ノ宮さんってやっぱり典型的なブリっ子だったんだ。黒斗のことも呼び捨てだし。

 ……うざったいことこの上ない。

 まあ、障らぬ神になんとやら。無視だ。総スルー。

「……何よ、あんた」

「いえ。ただそこを通りたいな、と」

「あっそ。通れば?」

そう言いながら二ノ宮さんは動かない。

 だから。あんたが道を塞いでいるから通れないんだってば。

 あ、十門さんがこっちの様子を察して道をを譲ってくれた。

 いい子だな。動きも優雅だし。

 軽いお辞儀をお礼がわりに奥に進む。

 しかし数歩と進まないうちに。

「それにしてもほんとこの学校の女子ってレベル低いわねー。これじゃあ私が浮いちゃうわ」

 そりゃあそんなにケバけりゃ浮くでしょうね。

「なのにハエみたいに集まって来ちゃって。ムカつくわ。ほらっ」

 あ。

「……何よ、あんた」

 語彙少ないな。

 ま、とにかく。

「蹴るのは、どうかと」

 かわいそうに十門さん達は隅でうずくまっている。

「ハッ。ブスがさらにブスになったところで誰も困らないでしょ?」

「……少なくとも。十門さんはあなたより美人だと思う。ただ、髪型があまり似合っていないだけ」

「……本当に何なのよ、このブスっ!!」

「あなたみたいなケバ嬢に言われたくない」

「ケバっ……!?」

「行こう。十門さん」

「え? あの、八神さん?」

 私は今だ隅にいる十門さん達を半ば引き摺るようにして連れ出す。

「あれ? 真白ちゃん、どうしたの?」

「あ、橙子ちゃん。今入らない方がいいよ。ケバいのが移るから」

「ケバ? ……あ、どうも……」

 そそくさと引き返す橙子ちゃんにふと、私は思いついて聞いてみる。

「ねぇ、今日の放課後空いてる?」

「? 特に予定はないけど。珍しいね。真白ちゃんがそんなこと聞くなんて。もしかして今日部活休み?」

「うん、まあ、そんなところ。もしよかったら紫織ちゃんも呼んでくれるかな?」

「うん。誘ってみるね」

 ニコニコと去る橙子ちゃんを見送りながら私は十門さん達に釘を刺す。

「十門さん達は強制参加」

 ビクリ、と震えながら取り巻きの一人が遠慮がちに聞いてくる。

「あ、あの……いったい何をするつもりなんですか?」

「あのケバ嬢を見返して殺る、いえやるのよ」

 おっと。イントネーションを間違えてさらに怖がらせてしまった。失敗。




 「八神、真白……?」

 真白って確か黒斗がこの前の放課後口にしていた名前よね? まさかあの子のことじゃないだろうけど……。

「ちょっと調べてみましょうか」

 そう言って嘲う二ノ宮の顔はあの美少女のものとは思えないほど人間として醜かった。

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