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 私、八神真白は七瀬黒斗のことを散々『顔が良いだけ』と言っていたが実をいうと正確にはそうではない。

 少なくとも野球部ではレギュラーだし、勉強も私ほどではないが良い。

 ……私だって吹奏楽ではソロやデュエットを吹くが。今度の演奏会でも三国とデュエット吹くし、容姿だって髪形と服をきちんとすればっ……。

 て、違う違う。

 もう、そういうのは止めたんだ。

 もう、そういうものはいいんだ。

 その他大勢、モブAとかBでいい。

 とにかく私が言いたいのは認めるのは癪だが、非常に癪だが七瀬黒斗という男子は少女漫画のヒーローのごとき存在だということだ。ただし、性格が非常に残念だが。まあ、そのおかげで男子にハブされることもない。




「お疲れ、真白さん。今日も十門さんに捕まってたの?」

「いや、あんなの数に入らないよ」

「……全く。黒斗は何をしてるんだか」

「? 久里浜君、今何か言った?」

「何でもないよ。ただの独り言」

「そう? なんかあったら言ってね」

「真白さんもね」

 ほとんど毎日お昼休みに図書室で繰り返される同じような会話。

 私や黒斗と同じ中学出身の久里浜茶貴は女の子のような名前であり、またそれ以上に女の子のような容姿から中学時代よくからかわれていた。

 今では背もグッと伸び、大分男っぽくなったが名前のせいもあり、いまだに十回に一回は女の子に間違われるらしい。

 でも、そんなかっこいいというより綺麗な久里浜君には密かにファンクラブが出来ていることを私は知っている。

 勿論ちゃんと女子。一割くらい違う人達が混じっているけど。

 そんなこと本人に言ったら卒倒しかねない。

 まあ、そういうわけであまり久里浜君は名前で呼ばれるのを好かない。

 いやー、それにしても久里浜君のファンクラブの子達は良い子達だ。どっかの馬鹿の縦ロール達とは大違い。

 なんていうか、ね? 親が親なら子も子っていうのかな? ただの友人だとちゃんと分かってくれてる。

 中学時代の女装写真を焼き増ししてあげたことが原因だなんて説は受けつけない。

 まあ、そんな一通りのやり取りをして私は静かな図書室で穏やかなお昼休みを過ごした。

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