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名も無き物語  作者: 惟賢
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第四話

誤字脱語の指摘大歓迎です



 目の前に広がる光景は想像してたものと余りにも違っていた。

 年の取った人たちが広場の中央に集まって他の人の治療をしている。

 そしてその奥…彼らからすると前の方にいるのは少女と頼りなさげな青年の二人だけで先ほど俺が追われた熊を相手取っている。

 負傷している人はほとんどが年配の方たちだ、何人かは倒れ付したまま治療すら行われていないところを察するに…

 かろうじて何人かは治療をがんばっているが前で戦っているのが二人だけ。

 対する6本熊は10…いや更に後ろに潜んでいることを鎧が教えてくれた。

 サーモグラフィーのような何かにホンの僅かな間だけ変えて隠れている奴の位置を教えてくれた。

 この鎧…実は生きてるんじゃないかと疑ってしまうな。

 隠れているのを含めて14匹、これであの熊に相当な知能があることがわかったから油断はできないな…


 しかし、前で戦っている二人も相当強いな。

 女の子のほうは体が小柄で素手で戦っているが遠心力をうまく使って戦っており一撃一撃がその体格以上の威力があることはあの熊たちが苦戦していることからわかる。

 そしてぱっと見頼りなさそうに見える青年も中々にうまく戦っており、盾と片手剣をうまく使い確実に熊に傷を負わせていく。

 お互いがカバーしながら戦っていてよく動き戦っているが段々と動きが鈍くなっている。

 既に倒した熊は6匹、今立っているのが14匹だが10匹は怪我を負っていて無傷なのには隠れている二匹と奥の大きめの二匹だけだ。



 ふむ、これは加勢しないとまずいな。

 後ろの爺さんたちがなにか白いモノを飛ばして援護しているようだがそれも数が少なくなっている。

 うう…熊の群れに突っ込まないといけないのか。

 いやいや、今の俺はパワードスーツを…鎧を着込んでるんだ、獣の爪ごときに壊されるわけがない!

 あれだけのテクノロジーで作られてるんだし問題ない…よね?








第四話 「わりとチキンです」








 覚悟を決め二人を助けることにした。

 一気にダッシュで近づき体当たり!



「女性になにしとるんじゃわれええええええ!!」



 トップスピードからの全力の体当たりだったため流石の熊も吹き飛ばされ木に激突。

 …ん?なんか空気が死んだような…。

 あ、そうか鎧着てるから身長が2m超えてるんだよね。

 そしてそんなのがとんでもない速度で熊に体当たり…あー、それは空気も死ぬわな。

 き、気にしないで戦おうか。



「ほれほれ、熊の動きも止まってるからとっとと倒してくれ」



『え?あ?ああ!任せてくれ!』



 答えたのは青年のほうだった、少女はとうの昔に動き出しており熊の頭をカチ割ったところだった。

 少女はまるで猿のように動き続け、手や足に重しを入れているのだろうかとんでもない一撃を時折熊たちにお見舞いしている。

 俺はひたすらにローキックで動きを止めることに専念。

 残念なことに俺の体当たりは当たれば相当な威力になるが助走が少々必要なため迎撃がたやすいのだ。

 まあ、2m超えてる巨人の動きなんざ見抜きやすいのだろうが…っと熊たちも動きを取り戻したらしいが少しずつ確実に動きは鈍っていく。

 そういえば全力で力を篭めて握ったらどうなるのかを試していなかったので一気に熊の懐に踏み込み熊の頭を思い切り握り持ち上げる。

 ふと、ここでお茶目心が沸いてしまい。



「お別れです!」



 そのまま握りつぶす!



 ぐしゃり、と嫌な音を立てて潰れる熊の頭。

 予想以上の力に腰が引けてしまう。



 しかしこれで熊の残りは8匹、何匹か地味な青年が地味に倒していたようだ。



 熊たちもこれ以上の損害は嫌になったらしく引いていく…。

 やはり相当賢い熊のようだ。




 さて、熊たちを退けたからあの女の子と話でもと思うと同時に影が映った。



 硬い金属音が辺りに響く。




 どうやら少女は俺まで敵とみなしちゃったようだ。

 ひどいなぁ。

 地味な青年もひどく驚いており少女を宥めているが聞く耳を持たない、というより言い負けているようだ。

 少女は俺に何か話しかけているようなのだが何語なのかさっぱりわからない。

 どうしたものか…って鎧が翻訳を行い始めている。

 …もしかして俺が暇つぶしに鎧に対して日本語で語りかけたのが原因か?いくら一人だからって鎧に話しかけるとか寒いことはやめた方が…寂しかったからしょうがないな!

 日本語とこちらの言葉の摺り合わせを行い翻訳…この鎧、マジでどんな技術でできてるんだよ!



『貴様は!何故!この森にいる!』



 どうやら少女は俺がこの森にいることに対して怒りを覚えているようだ。

 ちなみにこのセリフを言うまでに三回ほど蹴りを入れられているが欠片も痛みを感じない。

 このまま森に帰るというネタに走りたくなる気持ちを抑えつつ答えることにした、



「何故、ここにいるか…か、俺が聞きたいよ」



 日本語で答えてしまったが彼女に通じたのだろう少々呆れ顔になっているがまだ不服な様子だ。

 実際問題、何故俺はここにいるのかは答えようにもわからないというのが答えだ。



『サクラ…その人をこちらに…ゴボッ』



『父さん!』



 どうやら俺まで呼ばれているようだ。







 年配の人たちが何故、あの場所から動かないでいたのか不思議だったが一番偉い人が負傷して動けなかったからか。

 しかし…もうこの人は長くない、腹部を大きく損傷しているし肩も無くなっている。

 顔色も青いを通り越し白くなってしまっている。

 さきほどから他の年配の人たちが自分の傷の治療もせずに手のひらから白い光を出し治療を続けているが少しだけ傷が塞がったかと思うとすぐに血に染まってしまい意味を成していなかった。

 この人は他の人に慕われていたのだろう。

 そして先ほどの少女がしがみ付いている。

 さきほど父さんと言っていたのでこの人の娘さんなんだろう、地味な青年も泣いている。



『父さん!死なないで!僕はまだ言ってないことが一杯あるんだ!』



『サクラ…お前が私に構って欲しくてあんな騒ぎを起こしてることは知っていた…』



『じゃあ、なんで一言!たった一言!やめなさいって言ってくれなかったんだ!僕は…僕は…』



『父さんは…その言葉がわからなかったんだ…駄目な父ですま…ゴホッゴホッ』



『父さん!』



『そこの鎧の人…』



 カナシイハナシダナー、え?空気読め?うん、重すぎて無理さね。

 思わず方言出ちゃうぐらいにテンパってたりするんだ。



「ああ、あんたは…」



『私のことはどうでもいいのです…あなたが次のグイクです…ゴホッ』



 は?グイク?



『父さん!』



『サクラ…駄目な父で…』



『謝らないで!だから…だから…死なないでよぉ、とうさん…』



『長!』



『長!』



『…お亡くなりになりました』





 …この人の名前も何も知らないが冥福を祈らせてもらう。







本日のNG


『そこの…鎧の方…』


「ああ、次はしょんべんだ…」


流石に自重した


ちなみに冒頭の想像していた光景はもっとひどい状況になっていることともう少し若い子が多いことを期待していたからです。

彼だって男の子です…ってここまで主人公の名前出てきてねえ!?




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