ケース08 『梅雨と片手間で食べるごはん』
当事者の名前は数字に置き換える。以下レポート内容。
ケース08
『梅雨と片手間で食べるごはん』
もう1ヶ月はずっと雨が降り続いている。長袖のセーラー服を着た15歳の少女、08は学校帰りで帰路を歩いていた。
ザーー!!
雨が激しくグレーの傘に叩きつける。傘の露先から水が垂直に零れる零れる。
街の排水溝の水は濁り、暴れ狂っている。
08「あーつかれたー」
灰色の世界の中、紫陽花のみが色彩を放つ。青、紫、白……梅雨の唯一の娯楽要素だ。
08は肌寒さを感じながら……緑色の看板のコンビニに吸い込まれる。
グレーの傘を畳んで傘入れにイン。入店。
店員「らっさっせー」
やる気のない店員が最低限の挨拶をかます。
08「えーと、寒いからあったかいモノ食べたい……」
店内を巡回して商品を選んだモノは……。
焼きそばパン。
ホットココア。
シャケおむすび(海苔がしなしなタイプ)。
レジカウンター、セルフレジで自分でバーコードをスキャンして自分で会計、自分でレジ袋に商品を入れる。
どこか寂しい気分になるが、このご時世だからしょうがない。ホットココアもその他の商品もまとめて袋に入れると商品が温かくなりそうだが、すぐに食べるので08は気にしなかった。
店員「ありゃーしたー」
退店。グレーの傘の手元(取っ手?)を掴み傘を開く……雨はレベルアップしていた。
ザザザザーーーー!!!
08「うわ……風邪引いちゃうよ……」
レジ袋に入った食べ物をすぐ消費するか悩んだ08……結果、空腹が優先された。
片手間メシ……攻略その1。
まずはレジ袋を学校の鞄にイン。
攻略その2。
鞄に入れた食料の中、焼きそばパンとシャケおむすび……。どちらが汚れるかは明確だった。
シャケおむすび(海苔しなしな)を食す。このおむすびは袋をペリペリするクソ面倒くさいタイプではなくシンプルな包装タイプなので片手間でも容易に開けられる。
08「うまぁ……」
やはり、米やシャケの味がしっかりしてるのはスーパーより……コンビニ(08主観)である。
歩きながらおむすびを食すと紫陽花が 見て!見て!と主張してくる。
08「紫陽花は綺麗なんだけどねー」
どこか疲れきった言葉を放ち、ため息をする。
攻略その3。
焼きそばパンは……包装+レジ袋を使ってこぼさないように食す。案の定、紅しょうがと焼きそば麺とニンジンがレジ袋の中に次々とダイブする。
雨は更にレベルを上げて容赦なく傘を叩く。ボトボトと鈍い音が傘の中で響く。
08「傘……持つかなぁ……」
ぶつぶつ呟きながら焼きそばパンを口に頬張る。
攻略その4。
ホットココアのペットボトルは片手でフタを開けられる。
……無理だった。
攻略失敗。
仕方がなく、傘を肩に乗せて、両手をフリーの状態でフタを開けた。そして再び傘を左手で持って、右手でホットココアのペットボトルを掴み、1/3を飲み干す。
08「……ぬるい」
ハズレを引いてしまった。しかし、風邪を引きたくないので迅速に家へ向かいながらココアを一気飲みをした。
ザー!ザー!ザー!
雨が止む気配はない。路地は水たまりが大量発生しており、靴がびしょびしょになる。ついでにセーラー服も巻き添えを食らう。
08「あーもー!!」
ピコン。
スマホからメールが届くが……雨音で気づかない08。
08「早く、風呂入りたい……」
傘の露先から滝のような水が流れて地面を叩きつける。
ピコン。
再びメール。しかし、08は無造作に咲きまくる紫陽花に夢中になりながら帰路を歩いていた。
テレレレレ〜♪
スマホから着信が……。ようやく気づいた08はスマホを耳にそえた。
08『お母さん?なに?』
母親『……08』
母親『……大好きよ』
ケース08
END




