ただ望む、欲しいと。
鳴き声をあげ、真ん中にいたウルフが顔めがけ飛びかかってくる。
「ふ…」木刀も構えガードする。がしかし、別のウルフに足を引っかかれる。
「っ!オラァ!」もう一匹も攻撃してこようとしたのを蹴り飛ばす。
すると3匹のウルフは少し距離を取った。
「ハハ、賢いな、相手は弱いが、油断で死ぬわけにをいかねぇよな」
奴らはどうやら持久戦にするつもりにようだ。
「いいぜ!受けてたってやるよ!」願ったこの声が兄さんに届いていることに。
空は暗くなっていた、だが長い攻防ゆえか目は慣れていた。
ウルフたちは周りの木を利用したり、風魔法で攻撃を続けた。防御に徹するが3頭の一斉攻撃を防げるわけもなく、
すでに、体は傷だらけで限界がきていた。「っ!」ついに膝をついてしまった。
リーダーらしきウルフは一回吠えると残りの二匹が岩陰のファルのもとに向かう。
「くそっ、待て、」
力が出ない、立てたとしても目の前のリーダーを倒せないだろう。
『ファル。ごめん、弱い兄ちゃんで、ごめん、こんな』
ドクンっと心臓が跳ねる。
「アルにいはつよい?よ」
ファルに昔言われたことを思い出す。
「いや僕は弱いよ」
「ううんアルにいはとってもやさしいからつよいよ!」
…何故あんなにいい子がこんな目に遭うのか。
どうして直向きに努力してきたのにこんなことになるのか。
なんで…なんで…なんでなんでなんで!
………そうか”力”がないからか。
弱いから何もできない。弱いから奪われるなら、
欲しい…欲しい…欲しい欲しい!
なんでもいい!僕の!俺の全部くれてやっても!今!
奪える”力”がホシイ!
突如としてアルの地に着いた左手の甲から赤色の光が放たれる。
それと同時に周りの木や花、雑草までもが灰色になり、枯れる。
彼の自身傷が治っていることに気が付かなかった。体が軽くなった程度に感じていた。
茶色だった髪は黒くなり、体からは漲るほどの魔力が昇っていた。
両手の甲には”狼の紋章”があった。
彼は確信していた。これが大罪たる”紋章”の力だということに
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