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05

ガズが四歳のとき、世界は初めて彼の周囲で崩壊することを決めた。


その時までに、彼は何百時間もの時を費やして狩人たちを観察し、その構えを模倣し、カユカザの川辺の湿地が刻む重厚でリズム感のある鼓動を己のものとしていた。彼の体は調整の行き届いた楽器のようだったが、それが奏でる音楽が何であるかは、彼自身まだ気づいていなかった。


それは、太陽が地平線に対して打ち身のような紫色の光を放つ、ある日の午後のことだった。ガズはいつものように外周の石灰岩の壁の上に座り、森から戻ってくる狩人の一団を眺めていた。彼らはレイザーバックの死骸を引きずっており、その金属質でマナの濃い血の匂いが風に乗って漂ってきた。先頭の狩人の足の動きに集中し、その歩幅の正確なトルク(回転力)を計算しようとしたその時、馴染みのある頭蓋骨の底のうずきが、ただの痒みから「燃えるような痛み」へと変わった。


数ヶ月間感じていた空間的な疼きが、鋭く、苦悶に満ちた針となって突き刺さった。彼は三十歩ほど離れた村の井戸の近くにある土の地面を凝視した。ただそこに行きたいと願ったのではない。その空間を占有しなければならないという、直感的で生物学的な必要性を感じたのだ。目の前の空気が、熱気ではなく「ひび割れたガラス」のように揺らめき始めた。狩人の足音も川のせせらぎも消え去り、耳を弄するような高い金属音だけが響いた。


そして、世界がまばたきした。


移動の感覚はなかった。風も、筋肉の躍動も。次の瞬間には、太ももにあった冷たい石灰岩はなく、彼は落下していた。転移があまりに一瞬であったため、三半規管が対応できなかったのだ。彼は井戸のそばの固い粘土質の地面に叩きつけられ、膝から崩れて顔を土に埋めた。


直後に訪れたのは、全身の機能が押し潰されるようなシステム不全だった。あらゆる細胞が濡れた雑巾のように絞り上げられた感覚。筋肉は制御不能なほど激しく振動した。立ち上がろうとしたが、腕は水でできているかのように力が入らない。体の芯から始まった震えは指先へと広がり、気温とは無関係な激しい悪寒となって彼を襲った。


彼は仰向けに転がり、薄すぎる空気を求めて喘いだ。鼓動は速まるどころか、血管の中の血がヘドロに変わったかのように、ゆっくりと淀んでいた。視界は狭まり、世界の端々は灰色のノイズとなって解けていく。自分が座っていた壁を振り返ると、それは一マイルも遠くにあるように見えた。


「ガズ?」


その声は、深い水の中から聞こえるようにこもっていた。村長の老人ヨルンドが、杖を深くつきながら近づいてきた。ガズは声を出し、大丈夫だと言おうとしたが、舌は重く役に立たない。彼は目を閉じ、一瞬、虚無を見た。それは単なる闇ではなく、「地理の欠如」だった。その刹那、彼は空気の中を旅したのではない。ただ一つの座標から消滅し、別の座標に出現したのだ。


再び目を開けたとき、ヨルンドが彼を見下ろしていた。普段は風化した無関心の仮面を被っているその顔が、蒼白だった。彼はエラーラを呼ぶことも、治癒師を呼ぶこともなかった。ただ、鋭い、すべてを察したような目で見守っていた。彼は見ていたのだ。少年が転げ落ちたのではなく、単に「現れた」様子を。


「気をつけたほうがいい、坊主」ヨルンドは低い声で囁いた。「世界はな、歩かずに動くものを好まん。それは跡を残すからな」


彼の言う通りだった。ガズはその「跡」を感じていた――骨の髄にまで染み渡る冷たさを。これは、彼の存在を支えていた内なるバッテリーの完全な枯渇だった。瞬間移動は無料ではない。それは取引だ。彼は現実の近道を通るために、自らの肉体的安定を差し出したのだ。


それから三日間、ガズは歩くことができなかった。石造りの小屋の薄明かりの中で横たわり、日光の中で踊る埃を眺めて過ごした。エラーラは顔に隠しきれない不安を刻みながら彼に付き添った。彼女は、息子が壁から落ちて頭を打ったのだと思い、額に冷たい布を当て、魔物の肉のスープを何度も飲ませた。彼の体が、名前も知らぬ栄養素を飢えるように求めていることを察していたのだ。


震えが鉛のような疲労感へと落ち着くと、ガズはあの一件を分析し始めた。恐怖はなかった。あったのは好奇心だ。魔法が「不安定」であるという性質は、出力の問題に過ぎない。彼はナッツを割るために大槌を使ってしまったのだ。彼は自らの内なるエネルギーを貯水池としてイメージし始めた。跳躍したとき、彼はただカップで水を汲んだのではなく、ダムを破壊してしまったのだ。この力を使いこなすには、流れを制御する方法を学ばねばならない。


彼は小さなことから始めた。ベッドに横たわりながら、部屋の反対側にある木のボウルに集中した。そこへ行こうとするのではなく、自分との間にある空間を「感じよう」とした。空間的な疼きを伸ばし、木を囲む空気にそっと触れる。あの高い金属音が戻ってくるたびに、ガラスが割れ始める前に意識を引いた。引き金を引かずに、狙いを定める練習を繰り返した。


司祭は間違っていた。彼らは出力を制御できない魔術師を失敗作と見なしたが、ガズはそれを「無限の天井」を持つ魔術師だと捉えた。もし「ゴミ」のような魔法が四歳で自分を三十歩も動かせるのなら、二十歳になったとき、それは何ができるだろうか。


五日目、彼は壁に戻った。足取りはおぼつかなかったが、観察を止めにするわけにはいかない。彼は新しい視点で狩人たちを眺めた。彼らがどうやってスタミナを管理しているか。一撃の前にいかに呼吸を変え、衝撃の瞬間のためにあらゆる力を温存しているかを。


同時に、彼はこれを隠さねばならないと悟った。ヨルンドの警告が胸に残っていた。壁で閉じ込めることも、道中で阻むこともできない魔術師を、国家は教育するよりも死なせることを選ぶだろう。彼は自分の仮面を磨き上げた。歩き方を少しぎこちなくし、他の子供が見ている前では時折わざと「転んで」見せた。


心の奥底で、彼はあの冷たさへの耐性を築いていた。震えと共に生きる術を学んでいた。


ある夕暮れ、エラーラが夕食に呼ぼうと外に出てきた。彼女は彼の掌を見た。 「震えているわよ、ガズ」彼女は静かに言った。


「風のせいだよ、母さん」彼は落ち着いた声で嘘をついた。


彼女は微笑んだが、その目は笑っていなかった。彼女は、何かが変わったことを察していた。小屋へと戻る道すがら、ガズは足の下にある、硬く、信頼できる大地の感触を確かめた。いつの日か、これが必要なくなることを彼は知っていた。いつか、村と森の距離は思考ひとつでゼロになるだろう。


だが今は、歩いた。一歩一歩に意図を込め、己の体の重みと、神の魔法を動かす術を学びつつある心臓のゆっくりとした、安定した鼓動を感じながら。 最初の跳躍は彼を壊しかけた。だが、二度目はそうはいかない。

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