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「計量の祭典」の朝は、祈りではなく、澱粉でんぷんと石鹸の匂いで始まった。エラーラは前夜、家族のなかで最も上質な無染色のリネンを磨き洗いすることに費やした。いまやその生地は、ガズの肌に硬く、強張るように馴染んでいた。


「じっとしていて」母が呟いた。その声には、最初の鑑定以来ずっと聞き慣れた、熟練した断固たる静穏が宿っていた。彼女は小作農としてのたこだらけの指で、少年の襟を整えた。その手つきは祝福と同じくらい優しかった。


カエレンは戸口に立ち、すでに徴税官リーブのチュニックに身を包んでいた。腰に刃がないのが落ち着かないようで、普段は鉄の柄の剣が収まっている空白の空間へと、手が何度もぴくぴくと動いていた。狩人にとって、祭りは休息の日ではなく、監視される日だった。


カユカザ村は一変していた。固められた土の道は掃き清められ、広場中央の「賢者の時計」は、金属の針がガラスのように輝くまで磨き上げられていた。日焼けした顔と労働に疲れた服を纏った人々の海が、そこに集まっていた。みな、「低位司祭」たちが儀式を始めるのを待っていた。


ガズは淡い色の法衣を着た男たちを見つめた。あの、辺境の埃には決して馴染まない法衣だ。彼らは平民が知る唯一の教育者だった。彼らが教えるのは高度な空間形而上学ではなく、服従と、初等文字、そして「労働者の信条」であった。


「あいつらを見ろ、ガズ」カエレンが、声が漏れないように身を屈めて囁いた。彼は、畑を祝福するための定型の祈祷を不器用に唱えている主任司祭を指した。「あいつらは定型文フォーミュラなしじゃ蝋燭一本まともに灯せやしないが、主の法なら三時間ぶっ続けで引用できる」


その時、ガズは気づいた。魂の交信を象徴する、あの鋭く甘いシナモンの香りが、ここでは希薄で、澱んでいることに。司祭の「祝福」は空虚なもので、岩の上の水のように農夫たちの表面を滑り落ちていくだけだった。


式典が長引くにつれ、ガズは石の台座の近くで主任司祭が訪ねてきた執事ディーコンと話しているのを耳にした。彼らが議論していたのは、奇跡の御業やマナの流れではなく、徴募の「割当クォータ」についてだった。


「大聖堂は満足されている」執事が事務的に言った。「本物の奇跡使いは予測不能だ。彼らは『ジェイク場』に疑問を抱く。国境に疑問を抱く」


村の司祭は頷き、その笑みをあまりに早く浮かべた。「忠実で高潔な聖職者の方が、はるかに有用です。彼らは魔法が、極めるべき力ではなく、管理すべき台帳レジャーであることを理解していますから」


ガズの胸に、馴染みのある圧迫感が走った。数年前、教会が「ゴミ(トラッシュ)」と烙印を押した、あの「不安定な」共鳴だ。一瞬、世界が傾き、彼は司祭たちの正体を見抜いた。彼らは魂の羊飼いなどではなく、現状維持の番人なのだ。彼らがガズに瞬間移動をしてほしくないのは、どこにでも現れることができる魔術師は、国家が制御できない存在だからだ。


カエレンの手がガズの肩に置かれた。それは重く、彼を「マナの漏出」の縁から引き戻す錨のような重みだった。


「言葉を聞くな、ガズ」カエレンは遠くの監視塔を見据えたまま言った。「手元を見ろ。教会は魂を計るが、辺境は男を計る。そして、数えられなかった(数に入れられなかった)者こそが、自由な男だ」


ガズは微動だにせず立ち尽くした。シナモンの香りは薪の煙と塩の匂いの中に消えていった。彼は晴れ着を整え、手の震えを隠し、祭りが終わるのを待った。教会が二度と計ろうとはしない、あの静かで繰り返される研鑽の日々に戻るために。


七度目の冬の霜が引き始める頃には、ガズの精神の「漏出」は背景へと押しやられていた。代わりに、ふくらはぎと太ももから決して消えることのない肉体的な痛みが居座っていた。


訓練は剣から始まったのではない。土から始まった。


カエレンは、村の詮索好きな目や低位司祭たちから遠く離れた、薪の山の裏にある平坦な地面へと彼を連れ出した。彼はガズに武器を渡さなかった。代わりに、ブーツの先で土の上に一本の長くまっすぐな線を引いた。


「バランス(均衡)こそが、決して失敗しない唯一の魔法だ」朝の冷気を切り裂くようにカエレンが言った。「教会はお前を数えられるように、じっと立たせておきたい。俺はお前を、奴らが見つけられないように、動かしたい」


訓練は過酷を極めた。カエレンが叩き込んだのは、彼が「旧き効率」と呼ぶスタイル――あらゆる虚飾を剥ぎ取った動きの体系だった。回転も、無駄な勢いもない。それは幾何学と、致命的な実利主義の言語であった。


「もう一度」カエレンが命じる。


ガズが踏み出した。前進。前足が滑るように進み、後ろ足が鋭くリズムに乗って続く。自分の体の重心が中央にあり、背骨が垂直の下げ振りのように感じられた。


「バレストラ(跳び込み)だ!」カエレンが叫ぶ。


ガズはその動きを繰り出した――前方への鋭く突発的なホップ、それに続く間髪入れぬ長い踏み込み(ランジ)。それは、相手が脅威を察知する前に間合いを詰めるための、爆発的な距離の短縮だ。前足が固い土にドスンと着地し、腕は仮想の突きを繰り出して伸びきった。


かかとが浮いているぞ」カエレンが狼のように周囲を回りながら指摘した。「踵が浮けば、土台ファウンデーションが消える。土台が消えれば、お前はただの転びそうな子供だ。実戦において、転ぶことは死ぬことだ」


ガズは不平を言わなかった。彼は構え直した。脚が焼けるまで突き、さらに感覚がなくなるまで突き続けた。彼は世界を村の小道としてではなく、距離の「インターバル」として見るようになった。バレストラの正確な長さ、ランジの届く範囲、打撃をかわすために必要な半歩。


彼は学びつつあった。自分の魔法は世界の基準では「不安定」かもしれないが、自分の肉体は「否定しようのないもの」に作り変えることができるのだと。彼は、自分の足がどこに置かれているかを正確に把握した「影」へと変わりつつあった。


太陽が高く登り、訓練場に長い影を落とす頃、ガズはバレストラが自分の瞬間移動に驚くほど似ていることに気づいた。それは、目にも留まらぬ速さで「別の場所」にいるための手段だった。一方は現実の綻びであり、もう一方は現実の支配であった。


カエレンはようやく中断を告げ、水袋を渡した。「速くなっているな、ガズ。そのうち、世界はお前を計り損ねるだけじゃなく、捕まえることさえできなくなるだろうよ」

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