14話
「俺は、ジムのトレーナーとして活動することにしたんだ。」
「え?」
女性は、さらに困惑した表情をうかべていた。
「あなたの名前は?」
「し、白山・彩香です。」
俺の質問に白山・彩香は答えた。
「あの、どうしても、その、弟子にならないといけないんですか?」
「うーん、なってほしい!入会料金は一か月につき1000円で!」
正直、5000円くらいは欲しいけど。
でも、それじゃあ絶対に入会しない。
そりゃあ、まあ。
いきなり現れた無名のジムトレーナーが入会の勧誘をしてきたら。
あやしいに決まっています。
とはいえ、1000円だからといって入会するでしょうか?
「はい。」
なんだって?
「入会します。だから、そ、その、どうすればいいんですか?」
まじか?
すこし、ヒカルは動揺します。
「じゃあ、まずは一緒にゲートに行きましょう!」
そうして、F級ゲートにつきました。
ですが、白山・彩香が見たものは、理解できるものではありませんでした。
なぜなら。
さっきから、ヒカルが殴ったモンスターが、パン!と破裂しているではありませんか!
これは、この光景は。
いったいなんでしょうか?
これは、可能なことでしょうか?
「あ、あの。さっきから何をしているんですか?」
ヒカルは、こちらを向いて答えます。
「モンスターとの戦い方を教えています!」
教えるとは?
なんの戦略も見えてきませんが?
白山・彩香はこの状況が理解できませんでした。
「あ、あの!どうすれば、それができるんですか?」
うーん?
どうすればですか?
「教える前に、彩香さんはどんな戦い方をするか、知る必要があります。」
「そ、そうですよね!わ、私は魔法師を目指してます。」
魔法師か。
魔法師といえば、マーリンだけど。
とはいえ。
成田・由里にコーチングした時とは違って、こちらは一般人です。
それに、由里は超がつくお金持ちでした。
だからこそ、一般人が手が出せない霊薬でも、浴びるように呑むことができました。
ですが、白山・彩香はそうではなかったはずです。
まあ。
それなら。
「まず、モンスターに襲われてください!」
「えっ?どういうことですか?」
彩香の感覚をより優れたものにするため。
ヒカルは、モンスターを挑発します。
「あれ?な、なんでこっちにくるんですか!」
「感覚を研ぎ澄ましてください!」
「いったい何をいっているんですか!」
彩香は、ヒカルから。
いいえ、ヒカルを追いかけるモンスターから。
走ってにげますが、ヒカルは追い続けます。
「頭、心臓、腸の順に感覚を巡らせてください!」
彩香は、このバカげた行いに、困惑していました。
事実、いまにも泣きそうな表情をしていました。
ですが。
また、だれかに助けてもらって生きるのは嫌でした。
私を助けたのは、変な人でした。
その人は、いきなりおかしなジムに入会するように勧誘してきました。
ですが、その表情から、温かさを感じました。
だから。
この状況をなんとかするために、ヒカルの発言に従います。
頭に意識を。
ポチャッ
なんでしょうか?
私は、今、走っているのでしょうか?
精神が、深層まで潜っていく。
そして。
サアアア
「どいてください!」
彩香はヒカルに言います。
ヒカルは、彩香の発言を聞いて、横にずれます。
「ファイアーボール!」
彩香の放った魔法が、モンスターに直撃します。
モンスターを丸焦げにします。
「やった!」
今まで、魔法がうまく詠唱できない彩香でした。
覚醒もして、マナも発現しました。
ですが、コントロールがうまくできずに、魔法は詠唱できていませんでした。
それなのに、今回放った魔法は、大きい出力で詠唱されました。
「やりましたよ!ヒカルさん!」
「本当に!大きな一歩です!」
思わず、ヒカルも一緒になって喜びます。
「それじゃあ、次のランクにいきましょうか。」
「次ですか?」
「はい、Eランクゲートに入ります。」
彩香の質問に、ヒカルが答えます。
「Eランクですか?でも、まだ私たちには早いんじゃ。」
「なにいっているんですか!Fランクと、Eランクなら、ぜんぜん報酬が違うじゃないですか!」
。
。
。
報酬ですか?
「だから、明日にでもいきましょう!」
「そ、そうですね。」
彩香からは先ほどの威勢は消え去っていました。
そして、通常運転であるというように、話します。
そうやって、ヒカルと彩香は、おのおの家に帰るのでした。
。
。
。
「次は、このゲートにしよう!」
明日のゲートを選ぶヒカル。
「ん?なんだこれ?」
ヒカルのスマホには、「ゲートのランク変動」と表示されていました。
そのゲートは、見覚えがありました。
いえ、つい今、見たばかりのものでした。
「これ、俺が選んだやつ!」




