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(ヘルメイア編)優しい魔王

「っ……」


体が酷く重い……、どうにか逃げ切れたものの傷を負い、とても無事とは言えない状況だ。

今は、身を隠し相手の出方を窺っている。まだ近くに気配を感じる。

セイヤを巻き込まないうちに方をつけなければな、セシルやリオネルはそういう事に慣れてはいるだろうがあいつは違うだろう。

わざわざ重い経験をさせることも無い。それにドラゴンが城に手を出すかもしれない。

問題はどうやって終わらせるかだ……あいつには魔法が殆ど通じない。異形の手に全て打ち消されるからだ。

つまり、異形の手を使うことの出来ない状況に追い込むしかない。

どうやったら、異形の手が使えない状況になる。どうやれば……。

あいつは基本的に接近戦での直接攻撃でしか相手に手を出せない。そうか、その手があったか、……正確にはその手しか使えないか。

どちらでも構わないな、終わらせるだけだ。

鈍く痛む体、悲鳴を上げるのを無視して起き上がる。まだ、十分に動ける。

広い所にあいつをおびき出す必要があるな、……通りに出るか。

壁に手を当て寄り掛かりながらうまく動かない足を引きずりながら外に出る。





空はドラゴンにたくさん埋め尽くされている以外とても平和だった。

ヘルメイアでは珍しく太陽が顔をのぞかせ、青空が広がっている。

荒れ果てた城下の大通りそこに今自分は居る。決着をつけるために終わらせるために。

相変わらずのゆらりとした動きで少女が現れた、おびき寄せるための魔法を放って、まだそんなに時間がたっていないのだが早いな。


「……さぁ、終わらせよう」


無意識のうちに口が勝手に動いて、そう言葉を発した。

少しして、自分の言ったことが全身に響く。終わらせる、終わらせるんだ。これで、これで何もかも……。

少女が、妹が、リリアが腕を広げ空っぽの殺意を持って自分を仕留めにくる。

第一の魔法が発動する、無数の剣がリリアの体切り裂くために振るわれる。

異形の手が振るわれその剣が全て無へと還った。リリアとの距離が近づく。

第二の魔法が発動し、全て浄化し灰にする火炎が一直線にリリアへと向かう。

炎がリリアを飲み込み仕留めたように見えた、けれどリリアは腕を立てにする形で炎から飛び出した。リリアとの距離は数十センチ。

リリアの異形の手が大きく振るわれて自分に振り下ろされようとする。

第三の魔法が発動した。いくつもの拘束魔法が混ざられたものがリリアの体へとしつこく絡みつき自由を奪う。

そこで初めて自分が動く、手をリリアの胴体へと密着させる。リリアとの距離は零。

第四の魔法、破滅デストラクションこれを直接叩き込めば異形の手の力に邪魔されず終わらせることが出来る。

魔法を唱えれば終わる、発動させれば終わる。

発動することが出来なかった。ミシリと拘束魔法が解ける音が耳に届く。

もう時間が無い、らなければられる。自分がしなければいけない事、理解しているはずなのに出来なかった。

異形の手が振り上げられるのが見えた。とてもゆっくり振り上げられているかのように見える。

自分の中で友と呼べる存在かもしれないものの顔が脳裏をよぎった。

セイヤ悪いな、どうやらお前を巻き込んでしまいそうだ。でも、お前ならどうにかしてくれるだろう?

他人任せな自分に苦笑した。今度は、目の前にいる妹に目を見つめた。


「リリア……」


腕が振り下ろされた、やはりとても、とても遅く見えた。

られる、分かっているはずなのに自分の頬が緩むのを自分でも感じた。

ついに自分の頭がおかしくなったのだろうか?

少し考えて、それでも構わないかと思い直す。

そして、自分でも驚くほど穏やかな調子の声が出た。


「今まで放っておいて悪かったな、リリア」


容赦なく、無情に異形の手が振り下ろされ、体が壊れていくのを感じた。

朦朧とする意識の中、かすんでいくリリアの姿を見ながら言葉を続ける。

大きくなったなリリア。

言葉に出せかどうかは分からない、ただ、重くて、意識が重く感じて……。

さぁ、ヘルメイア編も終わっちゃいます。

実は、別名ブラッド編だと裏で命名してたりww



リク待ってま~す。

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