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(ヘルメイア編)癒しの光

城のどこか、どこまでも続くかのように見える長い廊下に自分の足音が妙に大きく響き渡る。

なぜ、そんなに音が大きく響き渡るかと言えば人がいないからだ。

城といえば(それもここは王城だ)人がたくさんいるイメージを持つかもしれない、実際そういうものなのだが、この城の場合、ある程度の戦闘能力を持ったものしか雇われていないので他の城に比べて異様に人が少ない。

いつか、殺し屋が自分を殺しにきたのにメイドが巻き込まれたて、色々面倒だったので、それ以来ずっとこうしている。


「っ……」


関係の無いことを考えて痛みを誤魔化そうと思ったのたが……無駄な抵抗か。

諦めて、じくじくと痛みを発する片手に目を向けた。

ロングコートやガントレットに隠れてよく見えないがシルエットの形が明らかにいびつだ。僅かに露出している部分も青紫に変色している。

先の戦闘で、異形の腕に押し潰されそうになったのを片手で防いだらこうなってしまった。

結局少女には逃げられ、ドラゴンの群れと戦う羽目になり、片手で戦うことになったが元々魔法主体の戦闘スタイルだったので特に問題なく蹴散らすことが出来た。

そこまでの出来事を振り返ると、無事な方の手を一瞥して、一つ後悔していたことを呟く。


「片手より両手で防いだ方が良かっただろうか……」


城の誰かに癒してもらう必要があるな……。

誰も治癒術が使えなかったら、最悪セシルに頼むか、一種類ぐらいは回復系のものとも契約をしているだろうから。


「ブラッド~!!」


自分一人の足音しか響いていなかった廊下に慌てた様子の足音が加わった。

名が呼ばれたのでそちらを振り返る。


「セイヤ……?」


異世界からやってきた勇者が息切れをさせながら、こちらへやってきた。

今日は初めてあったがいつもより髪がはねているな。

それを眺めながら、落ち着くのを待つ。

荒い吐息の音が静かになると問いかけた。


「どうした? 焦っているようだが?」

「あぁ~、ちょっとな。ブラッドも仕事とか聞いたけど、終わったわけ?」

「半分終わったという所か……」


町の襲撃の原因を突き止めることと原因排除が目的だったのだから、一つしか出来ていないから半分というのが適切だろう。


「半分?」


事情を知らないセイヤは当然首をかしげて何か喋ろうと口を開くとなぜか口をパクパクさせた。

今度は、自分が首をかしげるとセイヤが人差し指を立てて何かを指差す。


「そっ、それ……大丈夫なのか?」

「それって、これか?」


多分そうだとは思うが、確認のため無事なほうの手で負傷したほうの手を指をさす。


「そう、それ! つか、大丈夫じゃないよな!?」

「いや、平気だ」


癒さなければいけないだろうが、耐えられない痛みでもないのでそう答えると、セイヤは顔を顰める。

そして、もう一度負傷したほうの手を見ると声を荒げた。


「って、大丈夫なわけないだろ!! 方から指先までやばい色に染まっちゃってるだろ!? 次そんな事言ったら俺怒るからな!! ……ちょっと、待ってろ」


幾つか大声で言った後、深く息を吸ってから、そう呟くと何やらブツブツと独り言を言い始めた。

さっきの言葉の感想だが、最後の一言にはもう怒ってるだろうと言いたいな……言わないが。

セイヤが独り言を終えて顔を上げた。


「じゃあ、ブラッドちょっとじっとしていろよ」


あぁと返事をすると、セイヤは満足げに頷いて、深く息を吸った。

周りの空気が変わり、魔力の流れにも変化が現れる、何をするつもりだと思うと静かな声がその場に紡がれた。


「全てを癒し育む、神の祝福、包み込め。ヘブンリー・ブレス」


目に見える範囲が全て金色の光の粒子に包まれる、窓の外も眺めると同じようなもので一面が金色の粒子に包まれていた。

負傷した手は一瞬で治癒され。他にも体が軽くなったようだ。

ヘブンリーブレス、か聞いたことがない魔法だ、そもそも、魔法なのだろうか? いくらなんでも効果範囲が広すぎる。


「仕方ないだろ、俺もこんなに派手だとは思わなかったんだよさ……」


これは、何だと質問しようとセイヤを見ると独り言を言っていた。

しばらく続きそうな雰囲気なので窓の外に視線を戻した。一部の場所では、沢山の緑に包まれていっている。

もう、草木は生えないといわれた荒れ地なのにな……。

次第に金の粒子も消えていき、あたりは元通りになった。変わったことは手が治ったのと城下に木が生えたこと。


「う~ん、さっきの魔力は間違いなく、セイヤくんだよね~」

「たぶんね、こっちのほうかな?」


どこからかそんな声が聞こえてくるとビクッとセイヤが肩を震わせた。

さっきのちょっとというのはこれの事か……。

相変わらずビクビク震えているセイヤを見てから、足音に耳を澄ませる、……確実にこちらへきているな。

隠れるところもないというわけか。


「やばやばやば……うわっ」


セイヤの肩を掴んでこちらへ引き寄せる。


「えっ、ちょっ!? なにですか!!??」

「静かにしていろ……」


耳元で低く囁くと少し体を震わせたが言うとおりに静かになった。

程なくして、足音の人物が二人現れる。


「あっ、魔王さん。お仕事終わったの?」

「まあな」


何かを探すようにセシルがきょろきょろと見回すと首をかしげた。


「魔王さん、セイヤくん見なかった?」

「いや……」

「あれ~、おかしいな? ……いないなら仕方がないか。次行こ~」


そう言って、セシルが立ち去っていったが、リオネルはじっとこちらの方を向いたまま動かない。

腕に振動を感じた、セイヤが震えているらしい。


「リオく~ん、来ないの?」


ついて来ていないのに気がついたセシルがリオネルを呼び、そちらを一瞥すると。

また、こちらに目を向けて一言。


「まぁ、今日は見逃そうか」


そう言うと、リオネルはセシルの方へと歩いていった。

二人の気配が感じられなくなるとセイヤにかけていた手を解いた。

そのまま、ストンとセイヤの体が崩れた。


「めっちゃドキドキしたぁ、心臓吐き出しそうになったし」


震えていたしな、口には出さずに心の中で付け加える。

しばらくすると緊張もほぐれたのか自力で立ち上がった。


「そういえばさ、なんでさっき気付かれなかったんだ?」

「隠蔽魔法だ……気配や姿を隠すことが出来る。気付くやつは気付くが」


実際、リオネルは気付いていたらしいしな。


「ふ~ん」


セイヤは分かったような分かっていないような、声を出した。


「これからどうするんだ?」

「あ~、ブラッドと一緒にいようかな?」

「俺とか?」

「そう、だってどこに行ってもあいつら追い抱えてくるしさ~、ブラッドと一緒にいると安全そうだし。だめか?」

「別に構わんが」

「よっしゃ!!」

ヘルメイア編が終わったら番外編挟もうと思いま~すとここで報告します。


小ネタ集的な感じにしようと思いますので何かリクがあったら、コメでもメッセにでも送ってください。

キャラ崩壊ドンとコイですので、遠慮せずにしてくださいね~


してくれると喜びますよww

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