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(ヘルメイア編)グリフォンVS勇者さん

「うぅ~、やられないしこの駒……」

「初っ端でやられたりしたらゲームの意味ないでしょ。でも、このゲームずいぶんリアルだね」

「あっ、それは思ったなんかドームの中が圧縮された空間みたいでそこでこの駒とモンスター駒が戦うんだよね。面白いよ~」


本当に良く出来たゲームだと思う。

ヘルメイアで開発されたゲームなのだろうか?

まぁ、そんなことはどうでも良いかな……それより。


「さて、次は俺の番だよね」

「どんな、鬼畜攻撃するの~、楽しみだな」

「そこでニヤケルあたり怪しいよね」

「気にしちゃだめ~」

「あっそ」


しつこく突っ込むようなことでもないでさっさと身を引くと、自分の持ち札を一通り目を通す。

さっきのセシルがカードを出して起きた現象を考えると形容詞ぽいのは効果や種類を決めるものらしい。

じゃ、取り合えず試しに出そうと思ったモンスターが出るかどうか……。


「鳥に獅子のカード、それと風のカードで」


これで、俺の予想では結構強いのが出るはずなんだけど、どうなるかな?


○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


まだ寒気を感じる体を両手でさする。


「はぁはぁ……怖かった、本当に怖かった」

『主も怖がりだな、たかがゾンビ程度で暑いときゴキブリに飛び掛られた小娘のような反応をして』

「どこら辺がたかがだよ……。まぁ、それもかなりの恐怖だよな。Gは怖い」

『だろう」


なぜ、そこで誇ったような反応をするのかが良く分からない。


『おっと、主よ、どうやら次の相手が現れたらしいぞ』


確かにしかっりと気配を感じるのでなんとなしにそちらを向くと上空に大きな翼が見えた。

最初はそれもかなり小さく見えていたのだがだんだん大きくなっていく。


『主! ボーっとしていないで動け相手の攻撃をまともに受けるぞ? まぁ、死にはしないだろうが、大怪我は確実だ』


剣にそう指示され、大怪我は無理と体をばねにして思い切り飛びのく。

直後、鋭い爪が振るわれるとそれに伴って強烈な風が体を叩いた。

風が止むと鷲の姿をした頭に獅子の胴体を持った生き物がいなないた。


「う~ん、なんかこういうやつ見たことある気がする」

『グリフォンやグリフィンと呼ばれる生き物だな、一応言っておくが獣の中では割と強いほうだ』

「だろうな、引っかくだけで、あれだけの風が出るわけだし」


剣をしっかりと持ち直し、切っ先をグリフォンへと向けた。


『新鮮な肉だ、さっきと違って切り裂いたときおそらく心地よい感触がするだろう』

「どういう趣味だよ……」


呆れてため息をつくと隙が出来たと判断したのかグリフォンが仕掛けてきた。

一撃目は左斜め上から爪による攻撃、それを剣で軽く受け止めると続けて尻尾で足を払ってきた。

バランスを崩しそうになるのをどうにかこらえて後ろへと飛びのくと大きな翼が羽ばたいて刃となった風が襲い掛かってくる。

とっさに突風をイメージしてそれをかき消した。

こういう風にコンボを決めてくるあたり結構手強そうだ。

密かに感心しているとグリフォンが弾丸のように突っ込んできた。


「いった……」


咄嗟に身をかわしたが完璧には避けれなかったようで服が破けて利き手側の肩にざっくりと切り傷ができた。

それも、次の瞬間には出血が止まって傷も綺麗に直っていた、同じように服も直っている。

セシルにこの服を初めて着せられたとき破れてもすぐ直るとか言ってたもんな、性能のほうはばっちりらしい。


『主よ! なに傷を作っておるのだ。すぐに傷が治るような体でなかったら剣が持てなくなって致命傷になるかもしれないようなものだぞ!!」

「って言っても、戦いなれてるわけでもないし……」

『なら、今から慣れろ。そのための修行だ』

「んな、無茶な」

『ほら、次が来たぞ!』


今度は、真上からさっきと同じようにグリフォンが弾丸になって襲い掛かる。


「風の矢、追尾、数は百!」


追尾性能を持った風の屋がグリフォンに襲い掛かる。

ちなみになぜ風の矢にしたかというと攻撃範囲が広いし突風が起こるからバランス崩さないかなーと考えたからだ。

でも、世の中そう、うまくは行かないようで、グリフォンのあまりの素早さに矢の方がいくら追いかけても追いつかずに終いにはグリフォンの起こした突風に消された。

その余波に巻き込まれて体中が傷だらけになる。

すぐ治るからといって、痛みは感じるのだからいい加減にしてほしい。


「一発でも当たれば勝ちのようなものなのにな~」

『そこを工夫するのが戦いというものだ』

「まぁ、確かにそうなんだけど!!」


グリフォンが再び素早い動きで引き裂こうとするのをステップを踏んだり剣で受け止めて回避する。

その行動を機械的に繰り返しながら、どうすれば状況を打破できるか考える。

攻撃を繰り出してあまりの素早さに当たらないし、動きを縛ろうとしても同じ理由で効果が無いだろう。

動きが素早いやつに攻撃を当てる方法……方法。

リオ、ネル? いや何でここでリオネルが出てくるんだ?

リオネル……、でもなんか引っかかるな。戦い方とかかな?

えっと、確かあいつって、短剣とか闇とかトラップとか……。

(トラップ)か!!

確かにそれならどうにかなるかも……?

トラップか……さすがにちょっと複雑っぽいしイメージじゃ難しいかな?

そこで思考が強制的に止められた。

剣で受け止めていた爪の勢いが急に増し、剣の防御を超えて太ももを深く切り裂く。

激痛にバランスを崩すと脳天めがけて再び爪が振るわれた。

即座に防御膜を張って防ぐがすぐに破壊される。

けれど、もうその時には太ももの傷も完治していたので足に力を入れて後方へと飛びのく。


『注意力が散漫すぎる!! 主は、自殺するつもりなのか!!! まぁ、半殺しになるだけだがそれでも気をつけろ!!』

「悪い、悪い。それよりシャーロットに本渡されてだろ、あの中に罠とかそういう技載ってなかった?」

『あるにはあったが……まさか使うつもりか?』

「攻撃当たらないし、罠だったらどうかな~って思ったんだけど。だめか?」

『別に構わぬが……あの中に書かれているのは規模が大きすぎるんだが。まぁ、大丈夫か。指示通りに動いてくれ』

「了解っと」


襲い掛かってきそうなグリフォンに取り合えず大量の風の刃をうっておく。


『まず、己の魔力と外の魔力を感じ取って己の魔力の質を外とあわせろ』

「そんなのどうやってやんの?」

『気合だな』

「暴論だ……」


無茶苦茶だとは思うがグリフォンに永遠に苛められるのも困るので、取り合えず挑戦する。

感覚を研ぎ澄ませて周りの魔力に耳を澄まして、その後自分の魔力にも耳を澄ませる。

な~んとなくだが違いが分かった気がする。周りの魔力は無色透明で自分の魔力は透明のガラスに濃い青空を一滴垂らしたような色をしている。

問題は、これからだ。どうやって周りと同じ色にするか……。

視界の端に風の刃から逃れたグリフォンが襲い掛かってくるのが見えたので、再び無数の風の刃を放つ。


「同じ色……」


取り合えず感覚的に自分の魔力をフィルターにかけるように色を抜いていく。


「これで、大丈夫か?」

『おぉ、気合でやれという暴論でよく出来たな、さすがは主だ。これで、やっと本番を始められる。今度は、私の言った言葉を復唱しろ。ただし込める魔力は周りと質を合わせた魔力だ』

「分かった」


一呼吸間を置いて頭の中に澄んだ声が響く。


『目に見えぬ静かなる刃』

「目に見えぬ静かなる刃」

『近づくものを飲み込み殲滅せよ』

「近づくものを飲み込み殲滅せよ」

静かなる殲滅トラップアナイアレイション

静かなる殲滅トラップアナイアレイション


閃光に包まれると同時に罠が張られた……と思う。

て言うかどこにあるんだ、その罠。


「なぁ、罠って一体どこに……」

『あっ……』


剣がはっとしたような声を上げた。背中を嫌な汗が伝った。

声が思わず震えるのを抑えながら剣に問いかける。


「まさか、分からないとかいわないよな」

『悪い、そのまさかだ。しかも、対象を限定していないから自分が引っかかる可能性もあるな』


最低な事実と最低な補足説明をありがとう。

……下手に動けないじゃないか、しかもさっきの厨二病ぽい詠唱からしてかかると大変なことになる確率百パーセントだぞ。

そんな時に限ってグリフォンが風の刃から逃れてこちらに襲い掛かってくる。

動こうにも動くのが怖いのでこちらから攻撃を仕掛けようとすると、消えた。

グリフォンが数枚の羽を残して消えてしまった、いきなり罠を仕掛けたときと同じような閃光が現れて消えた。


『あぁ、うまい具合に罠に引っかかってくれたらしいな』


足から力が抜けてその場にへたり込む。


「た……たすかったぁ」

次は、このふざけたお遊びが終わりますよ~

精一杯星矢くんを苛めちゃいますよ~


星「ちょっ、なに不吉なこといって――」


P.S.主人公は苛めなきゃね、ある程度はww

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