(ヘルメイア編)ゆれ現れる幻想
レメイルって言う、大きな大きな山がたくさんある場所ずっとずっと深いところに、私たちは、住んでいるの。
世の中には、色んな種族の人たちがいるって聞いたことがあるけど、私が知っているのはこの子達と自分だけ。
「きゃう~、きゃう~」
「元気だねぇ。良い事だよ」
でも、私たちとこの子達は違うところがたくさんある。
皆は、綺麗な色をした、鱗に包まれているのに私は包まれていない。
皆は、立派な翼を持っているのに私は持っていない。
皆は、瞳が細くて鋭いのに、私はそうじゃない。
私の肌は白くて鱗に包まれていなくて、柔らかい、背には翼はないし、瞳も丸い形をしている。それと、みんなが使えない言葉も使うことができる。
そして、何よりも体の大きさが全然違う、私はとっても小さい。
最初の方はそれが気になって、仕方がなくて、皆と違うことが悲しかったけど。
今は、そんな事は無い。全然、気にならないし、これが私の個性だとそう思ってる。
それに、みんなと一緒の事だって、あるの。
皆はとても強くて、私もとても強いの。
一緒に狩りだってできるし、皆を助けてあげることもできる。
それがとってもとっても嬉しかった。
それで、もっと強くなろうとがんばって、今では、みんなの中で一番強いの。
皆のリーダーなんだ。
「きゅるるるる、きゅるるるるる」
「うん? あぁ、そうだね。私たちと違う人がやって来たみたい」
目の前にいた、子竜がおびえた声をあげる。それを大丈夫よとなでて慰めながら、侵入者の気配に集中する。
なんだろう? この気配。 なんだか、得体の知れない感じがする。
皆のざわめき声が聞こえ始めた。何だかわからないけど、怯えているみたい。なぜかしら?
でも、皆が怯えているのだったら、落ち着かせるのが私の役目、だって、リーダーなんだから。
「私行ってくるね、それまでいい子にしていて、大丈夫だから」
怯える子竜にそう声をかけて、侵入者に会うために足を進める。
徐々に皆の騒ぎ声が大きくなっていく。
歩みを速めると侵入者の姿がすぐに確認することができた。
その侵入者の姿は、私の姿と似ていた。
肌が白くて、皆と違って小さいところが似ていた。
でも、他が全然違った。
私の赤銅色の髪に対して、侵入者の髪は真っ白で艶めかしく輝いていて、私の茶色い瞳と違って、不安を煽るような赤紫色の瞳だった。
侵入者が私に気がつくと微笑んだ。何でだろう、嫌な感じがする。
「ドラゴンと一緒に居るって言うから、どんな子かと思えば、随分と可憐な姿をしているのねぇ?」
「……あなたは何しに来たんですか?」
侵入者に皆のリーダーとして話しかける。
自分と同じ姿の人と話すのは初めてだけど、通じるはず。
「へぇ、ちゃんと言葉も喋れるのねぇ」
「何しに来たんですか?」
答えてくれない、侵入者に同じ質問を繰り返す。
このまま続くようだったら、と腕を皆と同じように強靭な力を出すことできる形へと変化させる。
「あらあら、怖いわぁ~、その腕で殴られたら私の体はぐちゃぐちゃね、きっと」
「何しに来たんですか?」
一向に答える様子が無い侵入者へ、腕を向けた。答えないのだったら殺すと言う事を行動でしめす。
侵入者を放っておくわけにはいかない。
「あららぁ~、せっかちね、急がなかったらもう少し、自分を感じていられたのに……そういうなら仕方が無いわ。私の用事はね――」
強烈な衝撃が自分を襲った。
苦しい……苦しい……傷つけられたんじゃないなのに……なんで?
耐え切れずに体が崩れ落ちていく。
「あなたよ?」
その言葉が最後に聞こえて、意識がどんどん、黒く塗りつぶされていった。
自分がどんどん、黒く塗りつぶされていった。
作「あらら~、新キャラいきなり、例の蛇女さんの毒牙にかかちゃった」
ソフィ「作者さんのせいですよね?」
作「はう!? ソフィーちゃんまでそんな突込みをしちゃうんですか!?」
ソフィ「えっ? ごめんなさいですか?」
作「なんで疑問系なの!?」
ソフィ「そういえば、私の出番が少なくありませんか?」
作「意外と目立ちたがり屋なんだね。大丈夫君は最後まで物語に絡む予定の子だから」
ソフィ「予定……」
作「いやね? そんな暗くならずに、これから始まる、ヘルメイア編の途中で出てくるからね?」
ソフィ「本当ですか!? でしたら、こんなことをしている場合では……、今すぐ、準備をしてきます!!」
作「えっ!? まさかの去っちゃう系? ……えっ、え~と、次回も見てね~☆」