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(パニック編)ドラゴンと落し物

しっかりとした地面に足をつき、トントンと軽く踏み鳴らしてその感触を体感する。


「よっしゃ、やっと上れた」

「と言っても、最初上ったときよりは随分速く上れたけど」

「そうですね」


確かに、さっきの上ったときは回ってあがったので結構時間が掛かったが、今回は直で上ったのですぐだ。

それでも、時間が掛かったのは変わりはないが。


「それじゃあ、早速、剣の捜索を開始しましょう」

「そうですね……はぁ~、でも見つかるかな?」

「こらこら、弱音を吐いちゃだめよ? さぁ、がんばりましょう!」


俺の肩を叩いて微笑むと早速エリーズさんが剣を探し始めた。

そもそも、俺のなくし物なんだからと思ってエリーズさんに続いて剣を探す。

端の少し窪んでいるところ、大きな岩の影、それと崖のどこかに引っ掛かっていないかと徹底的に探す。

砂埃を浴びて服が汚れたが構わず探す。





「はぁ~、何処にも見当たらない……」

「もう一つ上なのかしらね?」


レメイルに入ったときはまだ太陽が東にあったのにいつの間にか西に傾いている。

もう見つからないのかな? そう思ったとき崖の方から轟音が響いた。

強烈な風が下から吹き上げ、何か大きなものが空へと飛び立つ。


「あら、野生のドラゴンね」


エリーズさんがそう言うのを聞きながら飛び立ったドラゴンを眺める。

闘技大会の決勝戦でセシルが披露した、ドラゴンと違って光り輝いてはいなかったが。緑のうろこに覆われたそれは、確かにドラゴンだった。


「見ている分は良いけど、襲い掛かられると面倒なのよね。普通の魔物より強いから」

「へ~、……まぁ、でかいですもんね」

「そうよね」


クスッと笑うエリーズさんの声を聞きながら、ドラゴンをじっと眺める。

な~んか、ドラゴンから違和感を感じて仕方がない……なんでだ?

尻尾から順に胴体、後ろ足、翼、前足、首、頭と観察していく。

ドラゴンが西の空を向いたとき不意に光るものが見えた、そこによく、集中して目を凝らす。


「あぁぁぁぁ!!! 剣銜えてるし!!!」

「えっ、剣を銜えてる? ……あぁ、確かにそれらしいものを銜えてるわね、よく見ると歯と歯の間に挟まってるって感じもするけど」


どうしよう、どうしようと俺がパニックを起こしているとエリーズさんが確認をとるように聞いてくる。


「セイヤくんの探している剣は、あれで間違いないのよね?」

「間違いないです!!」

「そっか、少し大変かもしれないけど頑張ろうかしら、たまには運動もしないと太っちゃうし」


何を言っているのかよく分からずにエリーズさんの方を向いてみるとその両手にはいつの間にか銃が握られたいた。

ふと片方の手を上げて、銃をドラゴンへと向ける。


「バーン♪」


何かの遊びのようにそう言うと銃声が響いて次の瞬間、ドラゴンが爆発に飲み込まれた。


「……はい?」


思わずその一言が漏れた。いや、これはどう反応しろと爆発の規模が半端ないし、と言うかもうなんだ。

反則だろう、もうなんか、反則だろう。

バーンでドカーンってどうよ、何かの冗談にしか聞こえないぞ……。

遠い目でその様子を観察しているとドラゴンが爆発で出来た煙の中から現れる。


「はぁ、やっぱりこれぐらいじゃだめよねぇ、でも、あんまり激しいのをしちゃうと土砂崩れおきそうだし。取り合えず連射かしら?」


そう言うと銃の構え方を変えて、右左と順番に高速で連射していく。

雷撃が一閃したり、空間が凍てついたりと何だか激しいことになっている。

それを何発か受けて、ドラゴンの動きが鈍くなると銃を再び構えなおし引き金を引く。

今までとは少し質の違う銃声が響いて、ドラゴンが光の鎖に縛られ崖に縫い付けられる。


「セイヤくん今よ、剣を取ってきて」

「えっ? あっ、はい!」


普通の人間じゃ、とって来られないような高さに縫い付けられてるけど、普通じゃないらしい俺なら、その位置まで移動することが出来た。

早速ドラゴンの歯と歯の間に挟まっている剣の柄を掴み、ぐっと引っ張る。


「あれ? 抜けないし……」


力を込めて、全力で引っ張るが動く様子がない。

試しに押してみるがやっぱり抜けない。

左右に揺らしたり、歯をガツンガツン殴ったりしてもどうしても抜けない。

いっそ、歯でも砕いてやろうか? 少し非情な気もするけどそれが一番手っ取り早い気がするし。


「危ない!」


エリーズさんのそんな声が聞こえて、何だろうと振り返るとドラゴンの尾が目の前にあった。


「え……?」


光の呪縛が解けたのだろう、その尾が鞭のようにしなって襲い掛かる。

えっと、こういう技俺知ってるぞ……え~と、そうだアイアンテール!!

そう思ったと同時にドラゴンの尾が直撃した。

バキバキと危険な音が聞こえ体が飛ばされる、そして地面に激突した。

その衝撃でクレーターができ、砂埃が舞った。


「セイヤくん!! ……もう酷いことしちゃうじゃない、手加減できなくなっちゃうわよ」


エリーズさんの僅かに怒りを感じる声が聞こえて、再び銃声が鳴り響いた。先ほどとは比べ物にならないほどの速さで銃声が連続する。

それを聞きながら、ゆっくりと身を起こした。


「よしっ、ちゃんと剣取れた」


尾に払われ飛ばされた時の衝撃で抜けてくれたらしい、続いて体のパーツが無事かどうかを確かめていく。

腕よーし! 胴体よーし! 足よーし! 首よーし! 顔はたぶんよーし!

うん、なんか危ない音が聞こえたようだけど、取り合えず全部無事みたいだ。

立ち上がって、足を踏み鳴らしたり、肩を回す。

違和感が感じることもないし、本当に無事みたいだ。

砂に視界が塞がれていたのが徐々に晴れてきて、ドラゴンとエリーズさんの戦闘の様子が明らかになる。


「エリーズさん!?」


そこには、ドラゴンがエリーズさんに体当たりを当てようとする光景があった。

危ないと思って手を出そうとするとドラゴンがぶつかる寸前でエリーズさんが跳躍して、一度ドラゴンの背に逆立ちするように乗ると腕をばねにして飛び降りた。

華麗、その一言が相応しいだろう。

背を向ける形で着地したエリーズさんが振り返る。


「あら、セイヤくん、とても元気そうね。良かったわ」

「えぇ、まぁ」


エリーズさんに攻撃をかわされたドラゴンは再び上空へと上り威嚇するように方向をあげた。

しかし、なぜか尻尾だけが覇気が抜けたようにだらんと下がっている。

もしかすると、さっきバキバキいっていたのはドラゴンの尻尾だったのだろうか?

俺の体どれだけ丈夫なんだよ……もうなんか慣れたけど。

短く息を吐いて、エリーズさんの横に並んだ。


「う~ん、やっぱりドラゴンは硬いわね~、中々決定打が与えられないわ」

「あっ、それなら俺がやっても良いですか? ちょっと、この剣を使ってみたいんです」

「うん、良いわよ。それにしても綺麗な剣ね。使うのにもったいなさを感じそう」

「それなら、エリーズさんの銃もかっこよくて使うのがもったいなさそうだけど」

「ふふ、ありがとう。がんばって来てね」


エリーズさんの言葉に頷いてドラゴンへと一歩踏み出す。

この剣って、神様がくれた剣だって言うしどんなのかな? ものすごく気になる。

剣を使ったこともないし、握るのも今日が初めてだが適当に振り回せばどうにかなるだろう。

足に力を込めて跳躍し、剣を鞘から抜いてすれ違いざまに切り裂く。

着地と同時に剣を鞘へと戻した。

ちょっと、かっこいいかな?

……どうも最近ナルシスト気味かも。

クルリとドラゴンを振り返ると同時に今日一番の爆発音が響いた。ワンテンポ遅れて爆風が襲い掛かる。


「なっ、なに?」


両腕で顔を庇う、少しずつ爆風が収まってきてそよ風程度になると目を開いた。

かなり、凄惨なことになっている。地が抉れていろんな所にドラゴンの肉片が散らばっている。


「あらら、セイヤくん、ずいぶんと派手なことしちゃうのね」

「えっ、これ俺?」

「うん、そう貴方」


ヒョコッとエリーズさんが脇から現れてそう告げる。

そっか、これ俺か……やっぱり、基本的にモンスター虐殺してるよな~俺。

周りに散らばっていたドラゴンの肉片が一部を残して霧散していく。

とそこであることに気がついた。


「そう言えばエリーズさん?」

「なに?」

「やっぱり、このままだとこの後、この道を通る人の迷惑かな?」


エリーズさんが抉れた地面へと目を向ける。


「そうね、きっと通るの大変だと思うわ」

「そうですよね」


この道ちゃんと直さないとな……、でも、そんなことちゃんとイメージできるかな?

作「お疲れ様~、星矢くん。相変わらずの虐殺ぶりだね」

星「なんか、それ誤解されそうだからいやかも」

作「大丈夫、間違ってはいないよ」

星「いや確かにそうだけど、なんか勘違いされるでしょう!」

作「まぁ、気にするな♪」

星「気にするって……」

作「じゃあ、次回予告」

星「人の話流すのかよ。……はぁ、じゃあ、次回予告、次は、やっと俺とみんなが再会するぞ」

作「そして、そのままヘルメイアへ直行!!」

星「なのか?」

作「たぶん……」

星「何だよそれ」

作「良いの良いの!! ほら、お別れの挨拶!!」

星「なんか、強引……、ふぅ、じゃあやるか」

作&星「次回も見てね~☆」

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