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(フィーリア編)不幸な勇者

「……ついにきてしまった」


がく~んとうなだれている自分とは対照的に周りは盛り上がっている。

主に武器を調整しながら話したり今年は誰が要注意人物だとかそういう話が聞こえてくる。

なぜかと言うと当然それは今日が闘技大会だからだ。


「一試合一秒で終わらせればすぐ魔王さんとかセイヤくんと戦えるよね~」


1試合、1秒って大会的にどうよという突込みが出てきたが

気が重すぎてセシルの発言に突っ込む気力が出ない。

代わりにはブラッドが突っ込んでくれた。


「一試合一秒か……客から、ブーイングが飛びそうだな。何が起きたんだ。と」

「別に大丈夫でしょ~、ブーイングする気が起こらないぐらい圧倒的な力を見せ付ければ」

「まぁ、そうか……」


隣でいつも通りな会話をしている二人を恨めしげに眺める。

周りにはいかにも歴戦積んでますって奴らばっかりなのに何でそんなに余裕そうなんだよ……世界最強だからか。

はぁ、やっぱ帰りたい、俺はいたって平和主義なんだよ~。

手ひどい事なんて一度も……今まで倒してきた化け物はノーカウントだ。

でも、人間の方がよっぽどの怖いよ。

なんか、やーさんみたいなのいるし眼力やばいし……。

本日何度目になるかも分からない溜息をついた。


「もう、世界が終わるような顔しなくても~。セイヤくんには決勝まで勝ち残ってもらわなきゃいけないんだから」

「しらねぇよ……」


この闘技大会は、決勝前は全て予選となっている。

4ブロックに別れて一気に戦って勝ち残ったものが本戦つまり決勝に進めることになっている。

そしてなぜか俺たち3人は綺麗に3つのブロックに分かれている。

セシルが勝ち残れって言ったのはこれが理由だろう。

俺と戦いとの事らしい、それはブラッドも一緒のようで……

最悪一気に二人相手にすることも考えなければ……


「予選第一回目の試合を始めます選手の方々は試合会場にお入りください」


何人かが武器の手入れや素振りをやめて試合会場へとぞろぞろと向かう。


「あっ、僕も一回戦だったんだ~。じゃあ、行ってくるね~」

「ぐずぐず、だらだらしてこいよ~」

「もう、セイヤくんてば。まぁ、良いや忠告無視してささっと終わらせてくるね~」


セシルも人波に紛れて試合会場に向かっていってからしばらくすると、試合開始の声が聞こえ即座に試合終了の鐘が鳴り響いた。


「さっきの一秒かかってたか?」

「さあな、カウントしていない」


驚きをしめす言葉が聞こえてきた。

以外にもブーイングは無かった――よっぽどの派手な事でもやったのだろうか?

次はブラッドの出番だろう、ちらりとブラッドが視線をよこした


「多少は時間をかけても良いが?」

「そうしてくれ……頼む」

「わかった」


俺が祈るように手を合わせると了承してくれた。

なんだかんだでブラッドは優しいところがある。

まぁ、戦闘狂ぽい一面が少しあったりもするが……

呼び出しの声が聞こえてブラッドも会場へと向かった。

自分は最後のブロックなので時間が、まだ余っていると思う。

万が一ブラッドが即で終わらせたとしても、一試合まだあるから大丈夫だと思う。

確か選手の控え室があったと思うからそっちに行っておこう。

セシルと合流していないがあいつならすぐにでも見つかるはずだ、そういう確信がある。

そう思って控え室に向かおうとするとガシャッと不自然な音が聞こえた。

不審に思って立ち止まる。

すると、足場のブロックが飛んだ。


「ナニゴトデスカ!?」


尻餅をついてブロックを目で追うと

飛んだブロックが天井に当たってびしりと嫌な感じの音を立てた。

咄嗟に下がったから無事だったが、直撃していたらどうなっていた事やら。

立ち上がって少し汚れたズボンを払うと気を取り直して控え室に向かう。

すると、今度は上からたいまつが降ってきたジリッと髪が焼ける音がした。


「いや、これぐらい平気だ大丈夫だぞ」


百歩も歩かないうちに今度は武器が降ってくる。

来ると思っていたと即座に防御膜を張る。


「いや~、すまんね武器の片づけをしていて落としたようだ。いやすまんすまん」


ざけんじゃねえぞこのくそ爺死んだらどうすんだこの畜生が!!

と思ったが俺は優しいから勿論そんな事は言わない。


「あっ、いえ大丈夫です」

「おう、ありがとよ~」


おい、そこ!!

チキンやろうとか言わなかったか今?

おい俺はチキンやろうなんかじゃ……いやそうですねスミマセン。

おじさんに手を振ると再び控え室へと向かう。

なんか、控え室に向かおうとしたときから急に不幸になったような気がする。

これは、控え室に向かうなと世界が行っているのか?

そこまでしていかせたくないか……なら、意地でも控え室に行ってやる!!

理由なんて聞かないでくれ、自分でも良く分からない。

良く分からないまま、駆け出した。

開けようとしたドアが尋常じゃないスピードで開いてくる。

それを拳で思いっきり殴り飛ばす。

ごろごろと空き瓶が大量に転がってきた。

思い切り飛んで避ける。

どこかの魔法使いやら魔導師やらか知らないがそいつの魔法がコントロールを間違えてこちらへと飛んできた。

爆風を起こしてかき消す。

いつも行われているコロッセオで使われているモンスターが逃げ出したらしく襲い掛かってきた。

全部まとめて、床に貼り付ける。

そして、その後のなんやかんやを乗り越えて控え室へとたどり着いた。


「なんか知らないけど達成感が……良しっ、休むぞ!!」

「これより予選第四試合を始めます。選手の方は試合会場へと入場してください」

「えっ……」


膝から一気に崩れ落ちる。

ここまで、一生懸命来たのに……

不幸にもめげずに来たのに……


「こんなの、あんまりだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」


●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○


「やっぱり、これぐらいでは死なないか……」


とり合えず勇者を事故を装って殺すというのを試してみたがことごとく失敗に終わった。

ブロックを飛ばしたり、武器を落とすように仕向けたり、モンスターをけしかけてみたり、魔法のコントロールを奪って殺傷能力を上げたものを撃ってみたり。

結構頑張ってみたのだが効果が全く無い。

さすがは勇者といったところか?


「あの、蛇女も聖将軍をまだ殺せてないみたいだし……」


せめて、どちらか倒しておかないと色々面倒だ。

流石に、世界最強とかいわれる騎士とか聖職者とか向けられとやばい。


「さてさて、どうしたものか」


深く息をする。


「やっぱり、夜襲か?」

という事で、襲撃フラグ~。

ちなみに最後にだれか謎のひとが呟いた。

最強騎士はセシルくんのことじゃないですよ~

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