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(フィーリア編)迷える勇者

「ひっ、ふっ、うわぁぁぁぁぁ」


やべぇ、マジコエェェ、死ぬ、間違いなく死ぬ。

周りが全く見えない状態で、高速ですべるこの恐ろしさ言葉に表現しきれない。

分かるか? 見えないんだぞ、全く見えないんだぞ!!

それでも滑るんだどこに着くかも分からないのに滑り続けるんだ。

この先は地獄か?

滑る感触が消えた。


「おわった?」


急にふっと浮いた感触がした。

まさかだとは思うがこれって、もしかして……もしかすると


「ギャァァァァァァァ」


落ちた。

いや分かっていたんだどうせこうなるという気がしていた。


「ガフッ……」


数秒も経たないうちに硬いものに叩きつけられた。

軽くい鈍痛を感じながらもだらだらと体を起こした。

周りが全く見えない真っ暗だ。

…………どうすれば良いんだ?

そのときチャプチャプと水の上を横切るのような音がした。

体が硬直する。


「え…………」


だんだん、こちらに近づいてくる。

まさか、その……お化けじゃないよな? いや、別に信じてるわけじゃないんだぞ?

だから、17にもなってお化け屋敷にすら入れないほどの怖がりだとか別にそういうんじゃないんだ。

チャプチャプと言う音が消えると。

次の瞬間、何かが膝の上に乗る感触が……


「ギャァァァァァァァ!!!!」


立ち上がって逃げようとすると何かにガツンとぶつかる。


「ひっ……」


違う方向に曲がって逃げようとする。


「ニャァァ」

「ギャァァァ……て、え? ニャァァ?」


逃げようとした体を止めた。

もう一度声が聞こえる。


「ニャァァ」

「あれ? 猫?」


はぁ、と深く息をついた。

頭が冷静さを取戻す。

そう言えば、自分はイメージしたものをある程度は具現化出来るんだっけ?

周りを照らす小さな光の塊をイメージしてみる。

蛍のような淡い光の球体が現われると徐々に周りが明るくなっていく。

辺りを見回すと自分が手をついていた壁の上に穴があった。どうやらそこから落ちてきたらしい。

そして反対のすぐ横には、水が流れていた。

さっきの音は猫がここを通ってきた音だったようだ。

ここまで見ると、どうやらここは用水路らしいと判断をする。


「ミニャァ」


足元から鳴き声が聞こえたので見てみると黒猫が甘えるように体を足に摩りつけていた。

可愛く見えてきて話しかけてみた。


「なぁ、お前もついてくるか?」

「ニャぁ」


ついて行くと返事をしたかは分からないが丁度良いタイミングで鳴いたのでしゃがんで抱き上げる。

抵抗もせずにおとなしく抱かれたのでついていくという事で良いのだろう。

改めて回りを見てみる、ここまで落ちてきた穴を登り返すのは無理っぽい。


「にしてもどうするかなぁ」

「出口を探すしかないんじゃないの?」


急に声がしたのでついに出たかと振り返るとそこには白い翼を持った知り合いが立って居た。


「なんだ、シャーロットか、なんか神出鬼没だな」

「天使だし」


プラチナブロンドの髪がさっき出した光の球体の光に照らされてキラキラ輝いている。

つか、返事になってないような……


「というより、貴方その年にもなってお化けが怖いの?」

「なっ……そっそんなわけないだろ!!!」


ブンブン首を振って否定する。

これは、俺だけの秘密なんだ。ここでばれるわけには……


「まっ、良いけど」


直ぐに興味をなくしたように目を逸らしたので、ほっと息をついた。


「それにしても出口はどこなんだろうな……」

「さぁ? どこにあるのかしらね」


じっとしていても仕方が無いので歩き始めるとシャーロット歩いて後をついてくる。

かつかつと二人分の足音が用水路に響いた。

角に突き当たると適当に曲がってまた歩き出す。

不意にシャーロットが話しかけてきた。


「そういえば、貴方もう二人も旅の仲間を手に入れたのね」

「え? そうだけど……なんでそんな事知ってるの?」

「天使だし」


さっきもそんな事を言っていたけど答えになっていないよな?

それとも、天使に詳しい奴が聞いたら理解できるような事なのだろうか?

俺の疑問には一切タッチせずにシャーロットが話を続けた。


「それよりも……旅のメンバーが凄いわね。どちらも世界最強と言われている人たちだし」

「あっ、やっぱりそうなんだ」


これにはあまり吃驚しない。

軽く戦って周りが荒野になるんだもんな、そりゃそうだ。

寧ろ、あれで最強じゃなかったら怖すぎる。

あれ以上強い奴がいるのかって意味でな。



「なんだか人事みたいに言ってるけど、この世界での実質最強なのは貴方よ?」

「は?」


何を言っているんだこの方は、俺が最強? なわけあるか。

あの二人に勝てるわけねぇ。

思った事をそのまま口に出す。


「そんな、わけねぇじゃねぇか、あんな二人に勝てるなんて無理無理」

「そんな事無いわ、神様から世界最強といわれるだけの力を与えられてるはずよ? うまく扱えたらこの世界全ての人類と戦っても勝てる程度には強いと思うけど」

「マジですか?」

「マジね、でも、この世界全てと戦うとしたら少し微妙かしら」


て言うか人類全て相手に出来る時点で凄すぎだおい。

この世界全てって言うのはモンスターとかそういう系を含めてって事だよな、微妙って事は可能性があるってことか。

なんか、スケールが大きすぎてついていけない


「まぁ、力を扱えたらね。貴方はまだ1/1000も扱いきれてないわ。せめて1/100は扱えるようにならないと」

「なんか、俺ってだめだめだな……」

「まぁ、そうなるかしら」


肯定する事ないじゃないかシャーロット……

すこしは、フォローとか入れようよ……

がーんと落ち込んでいると頬をにムニムニした柔らかいものが触れた。

見てみるとさっきの猫が首を傾げたようにして猫パンチを繰り出している。

しっかりしろという事なのだろうか?

ありがとうという意味を込めて頭を撫でてやるとミニャと嬉しそうに鳴く。


「猫に慰められるなんて、情けないわね」

「別に良いだろ」


子供っぽく顔を背けてみるとシャーロットに溜息をつかれた。


「まぁ、確かに良いけどね。じゃあ、私はこれで失礼するわ。人が近づいてきてるみたいだし」

「そっか、またな~」

「えぇ……あっ、それと良い忘れてたけどここって面倒なモンスターが結構いるから気をつけてね」

「は?」

「またね」


次の瞬間、シャーロットが光に包まれると数枚の純白の羽を残して消えた。


「……面倒なモンスター?」


あんまり、考えたくは無いがこの展開前にもあったような気が……

確かそのときは……


「ギュァァァァャ」


後ろを振り返ると水の中からウネウネした触手なようなものが……

そうですか、そうですよね……なんで、いつもこんなキモイのなんだよぉ――ぐすん。

腕の中の猫がギニャァと威嚇の声を出している。

猫が逃げ出さないようにしっかり抱きながら、炎の槍を撃つ。

炎の槍はいくつかの触手をなぎ払うとその形を失った。


「この調子でいけばすぐかな」


そう、思った矢先、新たに触手が水面から生えてくる。


「えっと……まさか再生したとかいう展開?」


それを肯定するかの様に触手が襲い掛かってきた。

ステップを踏んで触手を避ける、それでも、避け切れなかったものは炎の槍で払った。

今度は、灰になりながらも途中で再生して襲い掛かってくる。

それをギリギリで避けると触手が後ろの壁にぶつかって壁が崩れた。

やっぱり、あたると無事ではすまないって事みたいだ。

その後も何回か炎の槍で払うがすぐに再生して効果が無い。


「う~ん、触手って何かの体の一部だよな? それなら本体は水の中……」


でも、炎の槍では途中で霧散してしまう、霧散しないほど強力なものを撃ったら水が一気に水蒸気になるし、これだけ水が多いとその熱気で自分が蒸し焼きになるだろう。

雷撃を撃ってみようか? 真水には電気が流れにくいと聞いた事があるが、そこは力技でどうにかなるだろう。

触手がうねっている辺りに高圧の電力が放電するのをイメージする。


放電デスチャージ


最近、気付いたのだがイメージした事に連結するような言葉を口に出したほうがイメージしたものに近いものが出来るらしい。

ちなみに、出しなれた炎の槍とかなら言葉に出さなくてもイメージどおりのもが撃てる。

イメージしたとおり、触手がうねっているあたりがバチバチと火花を散らして、次の瞬間、雷が落ちた時のような音を出して放電した。

襲い掛かってきていた触手もピタッと動きを止める。


「やったのかな?」


水面が細かく振動しだして徐々に激しくなっていく。


「あれ? もしかして……もしかすると?」


水面が大きく揺れて何かが飛び出した。


「やっぱりな……」


目の前に現われた本体はきもかった。

甲虫のような胴体から大量の触手が生えてうねっている。

それが、一気にこちらへと襲い掛かってきた。

冷静にそれを迎撃する攻撃をイメージする。

この前セシルが撃っていた。砲台とかが良いかも知れない。

即座に自分の目の前に砲台が現われた。

でも、なぜか異様にでかい、声に出さないとこういうところが微妙にずれる。

砲台から、攻撃が撃ち出された。


「うわ、めっちゃ派手……」


なにか光り輝くものが撃たれたかと思うと次の瞬間にはもう甲虫もどきが消えていた。


「はぁ、終わった終わった」


安心して、出口を探そうと思うとまた水面が震えだす。

しかも、さっきより激しい。


「えっ、ちょっと……」

なんか、攻撃の名前が厨二だww

それにしても星屋くんは大胆だったり臆病だったり

良く分かりませんねぇ、普通なら迎撃じゃなくて守る事が

思い浮かびそうなんだけど……


それと、読みにくい点誤字脱字があれば言っていただけると嬉しいです。

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