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(フィーリア編)フィーリア初日

「うわ~、賑やかだなぁ」

「だね、王都も割りと賑やかだったんだよ?」

「そうなんだ」


特に何にも無く、無傷でフィーリアにたどり着くことが出来た。

まぁ、こんなふざけた面子でなにかあったほうが異常なことだが。

フィーリアの中はホントに凄く活気付いていた。

見た目は、中世のヨーロッパみたいな感じだと思う。

屋台やちょっと変わった飾りを売っていたり、結構興味深い。


「……じゃあ魔王さんとセイヤくんは宿を取ってね」

「お前は、どうするんだよ?」

「僕は買い物でもしてようかな~、じゃね」


金貨らしきものを五枚ほど投げてよこすとセシルは人の波の中に消えてしまった。

自分勝手な奴だと溜息をつく。

もう少しこちらの事も考えて欲しい。


「じゃあ、宿探すか」


いつまでも、くよくよしていても仕方が無いのでブラッドに言うとあぁという返事が返ってきた。

ブラッドにしても口数少ないし考えが読み辛いもう少し表情豊かになってほしいのが本音だが、とりあえず今は宿を探す事に専念しようと思う。

とりあえず、宿屋なんかはここら辺には無いとブラッドが言うので歩き始めるとブラッドがぽつんと呟いた。


「にしても宿を取るのに金貨を出すとは、あいつはどれだけ豪華な宿を求めているんだ……」


横目でブラッドを覗く相変わらず無表情だ。

こちらでのお金の単位は良く分からないけれど金貨一枚の価値は大きいらしい。

セシルはどこからそんな大金を持ち出したのだろう?

あいつなら、国の資金を横流しして持ってきたとか良いそうだな……



ブラッドの一言を最後に会話は止まった。

特に何も喋らないと言うのが苦痛と言うわけでもないので無言でブラッドの後をついて行く。

そう言えばと今までのことを振り返ってみる。

こっちの世界に来た初日は、イキナリ化け物に襲われたり、王様と謁見したりと大変だった。

二日目は、セシルとブラッドが大戦闘を繰り広げたのでヒヤヒヤした。

そして、いつの間にかブラッドが旅のメンバーに加わっていた。

今思えば、ものすごくナチュラルに入ってきたと思う。

セシルは少し強引だったし。

と言うかブラッドはこんなとこでのんびりしてて本当に大丈夫なのだろうか?

仮にも魔王だといっていたし勝手に出るのはまずいと思う。

等、色々考えていると、肩を叩かれて現実世界へと強制退去させられた。


「おい、ついたぞ」

「あっ、これか~なんか普通だな」

「普通じゃないのが良かったか?」

「いや、そうじゃないけど」


目の前にあるのは本当に言葉通りの普通の建物だった。

ブラッドが入っていったので慌ててあとを追いかける。

扉を開けるとからんとベルの音が鳴った。

中は、酒場みたいな感じになっている。実際、部屋の端のほうで顔を赤くした中年ぐらいの人たちが酒を飲んでいた。

ブラッドはどこだと部屋を見回すとカウンターごしにおばさんと話していた。

ブラッドの隣に並ぶ。


「じゃあ、うちは前払いだから先に払っておくれ。銅貨10枚だよ」


金貨は俺が持ってるので慌てて出そうとするとブラッドが銅貨を10枚おばさんに手渡した。


「よし、ちゃんとあるね。ラッキーな事に部屋は全部空いてるから好きなのとりな」

「分かった、行くぞ」


前者はおばさんに向けたもの後者は俺に言ったものだろう。

さっさと階段を上って行くブラッドを追いかける。

なんか、俺って追いかけてばかりだな……


「なぁ、ブラッド金貨あったのに良かったのか?」

「そんな、物を出したら、店のものが釣銭に困る」


そう言うとブラッドが一つ適当に部屋を選んで、扉を開いた。

久し振りのベッドに感動しながらダイブする。

一方ブラッドは窓際の方に立って外を眺めていた。

ベッド感触をたっぷり味わうとベッドの端に腰をかけた。


「外を見て楽しいか?」

「いや、人が増えてきていると思っただけだ」

「そうなのか?」


ブラッドに並んで外を眺めると確かに少し人が増えてきているような気もする。


「なにか、あるのか?」

「知らん、他国の行事など興味も無い。セシルに聞けばいいだろう」

「そうだな、じゃあ帰ってきたら聞いてみる」


再び、ベッドにダイブするとまぶたが重くなってきた。


○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


「よし、噂の仕立て屋とはここですね」


仕立て屋の看板を見上げて間違いないと確信する。

実は、フィーリアに行くと決定したときからここに来ると決めていた。

個人的に魔王さんとセイヤくんの着せ替えあそbじゃ無くて服をプレゼントしてあげたいなと思っていたのだ。

2人とも良い見た目してるのにあの服では魅力を出しきれていない

でも、僕の用意した服で二人をモテモテにしよう大作戦だ。

しかも、アクセサリーとか作ってくれるらしい、勿論いろんな特殊効果つきの。

まぁ、そんな事しなくてもあの二人はモテそうだが。クール系に元気系……ふふ。

ひとしきり、リアクションをとると仕立て屋の中に入っていった。

別に周りの視線が痛いものだと気づき逃げようと思ったわけでは断じてないんだからね!!


「いらっしゃいませ」


奥から、一人の女性の声が聞こえてきた。

店員は彼女一人らしい。

噂では、かなりの練成術の使い手でこちらが材料を用意すると一瞬で衣服を作り上げてくれると聞いたのだが、目の前の女性はとてもそうは見えない。

まぁ、自分もとても将軍には見えないと言われる事が度々あったのでそこは気にしないことにしよう。


「えっと、服の練成とか頼める?」

「あっ、はい出来ますよ。材料とかお手元にあったらそれを使ったりも出来ますけど……」

「あっ、出しますんでちょっと待っててくださいね」


そう声をかけると独自空間の入り口出現させて手を突っ込む。

それを見た、仕立て屋さんは驚きで口をパクパクしている。

まぁ、こんな現象なんて滅多に見ないだろうから驚くのも無理は無い。

僕は荷物を持って歩くと邪魔になるのでこうやって独自空間の中に色々突っ込んでいる。

結構な高等技術なので使える人は少ないのだけれど魔王さんは使えるっぽい、ヘルメイアから来たにしては荷物が少なすぎたし。

まぁ、それはともかくとりあえず必要なものを取り出す。

ガラゴロと音をたてながら、糸やら革やら布やら挙句の果てには鉱物が大量にカウンターの上に落ちる。


「とても上質なものですね」

「分かるんだ?」

「練成の専門家ですからね」


ちなみにここにある素材の数々は自分がこつこつと溜めてきたものである。

しかも、素材一つ一つに僕の魔力がこもってる特別製。

なぜそんなものを作ったかと言うと、軍服にしてもなんにしても既製品に頼るのが嫌だったので特注でなおかつ戦闘でも役に立つようにと作った素材だ。


「それでは、どういうものをお望みですか?」

「えっと、ここをこんな感じでここはこういう風に……」


一瞬で作れるとはいえイメージだけでは辛い部分があるらしく、紙にある程度完成ずを書いてから作るらしい。

僕が完成図のイメージを言うと紙にさっと線がひかれていく。

さすがはプロだなと感心しているうちに完成図を描き終えた。

ちょっと離れていてくださいねと言われておとなしく後ろへ下がるとイメージどおりの服が出来ていた。


「ふわっ、ホントに一瞬だ。すごいスピード」

「いえ、そんなことは」


服を手にとって眺めてみても細かいところまでキチンと出来ている。

おもっていた異常の出来だ。

いくら、材料が揃っているからといってこんな一瞬で作り上げるなんてすごすぎる、応用すれば町一つ落とすのも夢じゃないかも?


「本当に凄くありませんよ、あんまり質量の大きすぎるものは加工できませんし武器とかは全く作れませんし」

「ふ~ん……とにかく有難う。えっと、料金はいくらかな?」

「あ、その……」


なぜか、目を逸らしてモジモジしだしたのでどうしたのかと思って視線を追うと余った材料へとたどり着いた。


「あぁ、なるほど、うん良いよ全部あげる。で料金はいくら?」

「これをいただけるのに料金なんて頂けません。これだけで十分です」

「そう? ならそうさせてもらおうかな……」


彼女が強く言うのでそれでも良いかなと納得する。

荷物が思ったよりも多くなったので荷物持ちに精霊を召喚するとまた彼女にびっくりした様に見られた。

精霊の召喚ぐらいは流石に見たことがあると思うのだが、高位の精霊を召喚したからだろうか?

そんな、疑問を持ちつつ精霊に荷物を持たせて店を出ようとすると彼女が控えめに尋ねてきた。


「あの、もしかして闘技大会に参加なさるんですか?」

「闘技大会?」


疑問の声を上げるとまた彼女が驚いたような顔をする。

なんだか、さっきから驚かれてばかりだ。


「ほら、今は勇者祭の時期じゃないですかだから……」

「あぁ、もうそんな時期だったんだ」


そういえば、そんな行事もあったな~と思い出した。

勇者祭、年に一度この国で行われる大きな行事の一つだ。

国を挙げて色々な催しをするのだが、フィーリアは闘技大会だったと思い出す。

たしかに、こんな装備品を新調しているのだから、そう思われてもしかないか……


「えっと、いつあるのその闘技大会」

「それなら……良かったらこれをどうぞ」


ごそごそと彼女が物を漁ると一つの紙を取り出した。

受け取ってみて見ると、闘技大会の日程内容が記載されていた。


「ありがとう、それと闘技大会はもしかしたら出るかもね」


そう、言い残して店を出る。

召喚した精霊と肩を並べて町を歩く。

精霊の名前はレイと言う自分の一番最初に契約した精霊だ。


「失礼ですがマスター彼らの居場所は分かっているのですか?」

「一匹小鳥ちゃんに追いかけてもらってるから大丈夫」

「そうですか、なら構いません」

「まぁ、そこに行く前に靴とガントレットとあとアームレットとか欲しいから、寄り道しちゃうけど」


ルンルン気分で歩いていると、レイがこちらを見て、微笑んだ。


「楽しそうですね」

「うん、楽しいよ」


自らの精霊の質問に笑顔で答えた

自分って、服ネタ好きなんですよね~

ちなみに精霊も大好きです。

精霊出すことが出来て結構れしいです。

荷物持ちで登場だけど……

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