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(旅の始まり編)江入星矢の人生最大の誤算
「あぁ、もう熱い……眠い……」
ただ今、江入星矢は、真夏のセミが大合唱している暑苦しい山を歩いています。
暑くて、きつくて、煩くて、視界が霞んで……
もう、死にそう……
では、なぜ自分がこんなところを死にそうな思いをしてまで歩いているかと言うと。
理由は簡単だ。
山でキャンプをしていて帰ろうというとき存在を忘れられ置いていかれた……酷すぎるだろう。
「倒れる、死ぬ、昇天する!!」
愚痴を零したところで状況が変わらないのは分かっているが。
こんな理不尽な状況なのに愚痴を吐かずにいられない。
頭がボーっとして意識がかすんでいく、それでもふらふらと歩き続ける。
グチャっと何か足の裏に不快な感触を感じた。
そのままバランスが崩れていくのをもう一方の足で踏ん張ろうとしたがうまくいかず。
谷へと体が傾いていく。
「えっ? ちょっ――」
景色が急速に離れていく、風が顔面に吹き付けて息苦しい……。
徐々に世界が閉じていく。
暗闇に落ちていく意識の中、光に包まれたように感じた。
他にも小説があって全然更新できてないのに新しいもの語りを投下です><