吸血毒ダニ駆除&救助作戦 1
「吸血毒ダニ!?うそでしょ、なんでこんな所に!?」
僕はまたすぐに吸血毒ダニと遭遇することがないと思っていたが、今、目の前でイナゴの群れのように飛び跳ねている尋常ではない数の吸血毒ダニに驚き、すぐに空ちゃんたちを結界のスキルで守った。
「碧お兄ちゃん、この尋常じゃない数の吸血毒ダニを早く駆除していかないと、あっという間に繁殖してこの周辺に被害が出るよ!!」
「寝込んでいる獅子蕪木組の人たちが心配なの~」
『そうです、屋敷の中にいる主たちが心配です。早く助けに行きませんと』
「でも、これじゃあ助けに行けないよ~。それにすごい変な匂いもして目も開けられないし」
「う~ん、今の僕はクイーンスライム状態だから匂いも感じないし、吸血毒ダニから刺されてもすぐに消化できるから平気だけど、僕一人でこの吸血毒ダニの数を殲滅できないよ。……待てよ、スキルの『眷属作成』でスライムの眷属が作成できたよね」
僕はカバンからステータスカードを取り出し、スライムの眷属が作成できるか確認する。
灰城碧 男
レベル 26
職業 女騎士 魔物女王 聖女 見習い魔女
スキル 甲冑召喚 聖剣召喚 スラッシュ 魔物化
眷属作成(スライム作成可能) ヒール ハイヒール
浄化 結界 ファイヤーボール サンダーボール
称号 男の娘 スライム殺し 耐え忍ぶもの 魔物女王の卵 聖女
コスプレ冒険者 保母さん
職業ポイント 56pt
(……くっ、変な称号が増えたり職業ポイントが増えたりしてるけど、確認するのは後だ)
僕は最近念願の冒険者学校に入ることが出来た達成感に、すっかりステータスカードを確認することを忘れていたが、今はそれよりもスライムの眷属が作成できることが分かった僕は、すぐに行動を起こした。
「スキル『眷属作成』!!お願い、僕に力を貸して!!」
僕は手を前に出してスキル『眷属作成』を行使すると、僕の目の前に光の玉が現れ、次第に光の玉は輝きながら姿を変えていくと、スライムの眷属が僕の目の前に現れる。
目の前に現れた僕のスライムの眷属の姿は球体ではなく、初めから人型をしており、今のクイーンスライムになっている僕と似ており、違いは背丈が僕の頭一つ分小さいことだろうか。
「初めまして、母。母の思いは誕生する時に聞こえてたよ。ボク、精一杯頑張る!!名前は後でつけてくれればいいよ」
やる気を見せてゲル状の滑らかな手を握りこぶしにして僕にやる気を見せてくれるスライムの僕っ子に頼もしさを覚えるが、まず、凛に頼んでアイテムボックスのリュックから僕の服を出してもらい、僕っ子に服を着せて、空ちゃんたちと屋敷の門の入り口近くで作戦会議をする。
「僕とこの子で屋敷の吸血毒ダニを駆除しながら、セバスさんと一緒に屋敷に入っていくから空ちゃんたちはどうする?」
「碧お兄ちゃん、私と凛お姉さまとルトちゃんは周囲の民家に住人達に避難を呼びかけるよ」
「碧君、周囲のことは私たちに任せて欲しいの~」
二人が周囲の非難を呼びかけてくれることに、頭を下げて感謝するセバスさん。
『お願いいたします、空様、凛様。近所の方にも被害が及んでしまったら目も当てられません』
空ちゃんと凛が僕に話している時、スライムの僕っ子はルトの方に近づき、軽く片手を上げて元気よく挨拶をしていた。
「ボクのお姉ちゃんだよね、よろしく!!」
「うん、よろしくね。私は空お姉ちゃんたちを守るから母さんをお願いするね」
「わ~い、お姉ちゃんに任された。ボク、頑張っちゃうぞ~」
僕たちはそれぞれの役目を決めて行動を開始し、僕と元気なスライムの僕っ子の娘とセバスさんで吸血毒ダニの駆除と獅子蕪木組の人たちの救助を開始し始めた。