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緊張の入学式 2

僕たちはAクラスの教室に入ると、既に入っていたほとんどの生徒たちが僕に視線を向けており、小声でぼそぼそと話し合っていた。


「……はは、やっぱりこうなるか」


「ちょっと碧お兄ちゃん、急に立ち止まらないで、ほら、進んだ進んだ」


僕は教室の入り口で立ち止まり、自分の頬を掻きながら愚痴をこぼしたが、空ちゃんは気にした様子もなく僕の背中をグイグイと押しながら前進させる。


「碧君、視線なんて気にしたらきりがないわよ。ほら、席に座りましょう。……席は自由みたいね」


雛がクラスに注目されている視線の中を堂々と歩き、空いている前の席に座り、雛の顔を見ると口元の端が少し上がっていた。


「雛っち、嬉しそうっすね。冷静なふりを装いながら、彼氏がここまで注目を浴びて自分の事のように嬉しそうっす。……まぁ、私も嬉しいっすけど」


千香は雛の感情を分析し、顔を赤くして照れながら喋る。


「ふぁ~……、私も嬉しいの~。それで~、碧君はどの席に座るの?」


凛はまだ眠たそうに眼をとろんとさせて小さな欠伸をしながら僕に尋ねる。


「僕は前の席に座るよ。後ろの席だと前の人で黒板が見えないから、雛の隣の席に座るよ」


そう言って、僕は雛の席の隣に座ると、凛は日が当たっている雛の席の後ろの席に座り、うつ伏せになり目を閉じながら喋る。


「じゃぁ、私は此処にするのおやすみ~……すぅ~……」


「凛お姉さま、寝るの早!?じゃあ、私は碧お兄ちゃんの後ろの席~♪」


空ちゃんは声を弾ませながら僕の後ろの席に座り、鼻をひくひくとさせながら僕の匂いを嗅いでいるようだ。僕にはバレていないと思っているのか堂々と嗅いでいる。その姿を見て僕は思う。


(空ちゃん、その表情で僕が気づかないと思ってるんだもんな。教室の中で指摘するのもなんだし、そっとしておこう)


僕は空ちゃんの行動に気づかないふりをして放置する。


「じゃあ、私は碧っちの右側の席にするっす」


千香は僕の右側の席に座り、時間が来るまで僕たちは、どんな先生が来るか想像しながらみんなと話しながら時間を潰した。



始業式の始まる三十分前になると、ほとんどの生徒が席に座り、楽しそうに喋っていると前の教室の扉が開き担任になると思われる教師がぶつぶつと文句を言いながら教室に入って来た。


「あ~、梢のやつ、私を騙しやがって。何が私の好きそうなショタっ子がいるっていうから教師になることを承諾したのに全然いねーじゃねーか。おい、お前たち、始業式が始まるからさっさと教室から出て体育館に行くぞ」


担任の教師は梢さんの知り合いの様でイライラしながら僕たちに命令する。


女性は梢さんと同じくらいの身長で、腰まである黒髪の長髪であるが髪がぼさぼさと乱れてだらしなく、着ている服は上下とも長袖のジャージとズボンなのに、黒い皮のコートを羽織っていた。


そんなアンバランスな見た目にクラスの全員が唖然とする中で、僕は勇気を振り絞って、確認のために担任の先生であろう人に尋ねる。


「あの~、担任の先生ですよね。全然そうには見えないのですが」


「あん!?どう見たって先生だろうが。てめぇ何処に目をつけて………」


僕は恐る恐る先生に向かって尋ねると、先生は僕の言葉にイラつきながら僕に顔を向けると、その瞬間、先生の動きが止まった。


「あの先生、どうしました?」


僕は動きが止まってしまった先生に尋ねると、次の瞬間、瞬く間に先生の姿が一瞬で消えて、僕の目の前に現れる。


「ふひひ、可愛い私好みの合法ショタっ子だ。梢ありがとう!疑って悪かった。これ、私の~」


口元に少しよだれを垂らしながら、僕の頭を両手で鷲掴みにして無理やり唇を重ねて来た。


「うぐ!?」


力が強く振りほどくことができない僕は、体をばたつかせて抵抗するが、徐々に意識が朦朧として息ができなくなり力尽きて気絶していく中、空ちゃんたちが必死になって先生を止める声を聞きながら、僕は気絶していった。

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