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緊張の入学式 1

数多くの冒険者を目指す新入学生が入り口の近くにある掲示板に集まっており、僕たちは人の波が収まるまで、すぐ近くのベンチに腰掛けていた。僕はもうすぐ新入生代表として挨拶をしなければならないことに緊張し、小さく体を揺らしてそわそわしていた。


(……ああ、緊張するな。決められた文章を読むだけだけど、話の途中で舌を噛んでしまったらどうしよう)


僕はそんな事を思いながら、上着のポケットにしまっている代表挨拶の紙を取り出して小さな声でぼそぼそと復唱する。


「春うららかな季節、こうして無事に入学できること……」


ぶつぶつと復唱している僕を見て、空ちゃんたち四人は苦笑いをして、僕に話しかける。


「碧お兄ちゃん、ここに来るまでにもう五回以上復唱してるよ。そんなに練習したら逆に緊張するんじゃない?」


「そうよ、碧君。ほどほどにした方がいいんじゃない?キャラクターショーの時に比べたら激しく動きながら喋るわけじゃないんだから、代表挨拶なんてすぐ終わるわよ、気楽にいきなさい」


「そうっすよ、碧っち。入学試験の時だって全国に生放送されてたじゃないっすか。もう、それ以上の緊張はないと思うっすよ」


「大丈夫だよ~、碧君はやればできる子なの~。リラ~クス、リラ~クス」


空ちゃんたちの言葉で少し落ち着いた僕は、上着のポケットに紙を入れ、胸に手を当てながら深く深呼吸をして更に落ち着く。


「ふ~。みんなありがとう、おかげで代表挨拶がんばれそうだよ」


みんなとそんなやりとりをしていると、掲示板の前の人の波が収まっており、僕たちは掲示板を見て自分たちのクラスを確認すると、無事にみんなと同じクラスになることができた。


クラスはAクラスからDクラスまでの四クラスまであり、去年よりも入学生の人数が多いようだ。


「……Aクラスか。事前書類にパーティーメンバーを記載する項目があったけど、やっぱり案内のパンフレットにあった通り、同じクラスになれるんだね」


事前に配られていた案内のパンフレットには、パーティーメンバーを記載して提出すると、クラス決めの際に同じクラスになれるように配慮する、と明記されていた。これは、学校に入ってから行われるダンジョン探索での授業が関係しており、初めは毎回違うメンバーでダンジョン探索が行われていたが、気に入らないメンバーに当たるとバラバラになって行動するケースが増えて事故が発生したため、今年から初めて採用されたのだ。


「その方がいいよ。毎回違う人と組まされて緊張するよりも、気の知れた人たちとダンジョンを探索したいし、ね、お姉さま方」


空ちゃんが頭の後ろに手を組んでまだ周囲にいる入学生を見ながら雛たちに尋ねる。


「……そうね、空ちゃん。その方がいいわ。大人しそうな子が実は団体行動を取れない奴で、いざイレギュラーが起きた際に、自分の命が危うくなる事態は避けたいもの」


「あと仲良くなってこれからも休日にダンジョン探索しようって誘われた時に、断りづらいっす」


「もう昔みたいなギスギスしたダンジョン探索は嫌なの~」


雛たちの意見を聞いて僕は納得して頷き、僕たちはクラスに向かうために移動した。

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