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ルトの成長と翼ちゃんの宣言

キャラクターショーの出来事が起きた翌日の朝、僕はベッドから上半身を起こして体を伸ばすと、昨日のことが余程疲れていたのか体の節々が痛み、少し筋肉痛のようだ。僕は重い瞼を擦りながら机にある時計を眺めると、いつもより一時間遅く寝過ごしてしまったらしい。


「ふぁ~~。寝過ごしちゃった。……ん?え!?」


僕は欠伸をしながらベッドから立ち上がると、外からルトが鼻歌を口ずさみながら畑を耕している鍬の音が聞こえてくるが、いつもと違うルトの鍬で耕しているリズムの音の違いに疑問を感じて、窓からルトの姿を眺めるとあまりの衝撃に自室からルトのいる畑まで走った。僕は靴も履くことも忘れて外に出て、ルトの元にたどり着き息を切らせながらたどり着くと、ルトは畑を耕すのを止めて僕の方に体を向けて笑顔で挨拶をした。


「……あ、母さんおはよう。どうしたのそんなに慌てて?靴も履かずに外に出て怪我しちゃうよ」


ルトはボブゴブリンに成長して進化して姿が変わり、肌の色は以前のままでほとんど変わらず、たどたどしかった口調ははっきりとした口調に変わり、身長が僕よりも背が高くなりざっと見ても百五十センチくらいあり、胸もお椀くらいのサイズになっていた。


ルト本人はまだ自分が進化したことに気が付いていないようで、先程から息を切らしている僕を不思議そうに眺めている。


「はぁ、はぁ、ル、ルト、自分の姿見た?進化してるよ」


「進化ですか?そういえば、いつもより見える景色が違うような。……お~~~」


ルトは庭の隅に置いてあるバケツに歩いていき、入った水に映っている自分の進化した姿を見て感動していた。


「進化おめでとう、ルト。僕は嬉しいよ」


そう言って、僕はルトの髪をくしゃくしゃに撫でて褒めると、ルトは嬉しそうに照れながら喋る。


「ありがとう、母さん。これでもっと母さんの役に立てるよ。そろそろ、朝ごはんが食べたいな~私、お腹すいちゃった」


「そうだね。ちょっと待ってて、すぐに朝ごはん作るからね」


そう言ってルトと二人で仲良く手を繋ぎながら家に戻り、ルトは進化できたことが余程嬉しかったのか、僕に楽しそうに体を左右に揺らし、喋りながら楽しい朝食を過ごした。



「……え、ルトちゃんだよね!?一瞬、碧お兄ちゃんかと思った」


空ちゃんは両手に持っていた荷物を床に落として、唖然としながらルトを眺めている。


「大きくなったね、ルトちゃん。すっかり碧君の身長よりも大きくなっちゃって」


「ぐは!?」


ルトを見ながら呟いた雛からの一言で精神的ダメージを受けた僕は、片手で自分の胸を押さえながらその場に崩れ落ちる。


「いいな~、ルトちゃん。翼もすぐに大きくなって追いつくから」


「うん、待ってるよ翼ちゃん」


翼ちゃんはルトに近づき鼻息を出して両手を握り締めながら宣言している。


「お~、翼ちゃん、やる気十分っすね。でも、大丈夫っすよ、将来は雛っちのようにおっぱいも大きくなって素敵なレディになるんじゃないっすか」


「そうなの~。将来はきっと周囲を虜にするモテ女になるの~、だから安心するの~」


千香と凛が翼ちゃんを応援するが、翼ちゃんの次の一言で僕は驚く。


「千香お姉ちゃん、凛お姉ちゃん、ありがとう。でも、翼は、碧お兄ちゃんにしか興味がないから、モテなくてもいいかな」


「……あはは、ひぃ!」


僕はストレートな翼ちゃんの告白に手を頭に置いて返事に悩んでいると、雛が僕の肩に手を置いて掴んで、力を入れながら氷のような冷たい笑顔で僕に話す。


「あら、碧君、わかってると思うけど、翼を泣かせたら承知しないわよ。ほら、碧君、翼に告白の返事をしないと」


雛が僕の肩を掴む力がどんどん強くなる中で、僕は翼ちゃんに返事をする。


「もし、翼ちゃんが大きくなって大人になって、それでも僕を好きだったら付き合おうか」


「うん、わかった。お兄ちゃん大好き!」


返事を聞いて嬉しかった翼ちゃんは、僕に走りながら飛びついてくる。


「あ、翼ちゃんだけずるい、母さん私も、とう!!」


翼ちゃんの真似をして走りながら飛び込んでくるルトを僕は受け止めることは出来ず、後ろに尻餅をつきながら受け止めると、僕とルトの間に挟まれた翼ちゃんが苦しそうに喋る。


「ぐぇっ!!……ルトちゃん、ちょっと離れて苦しい」


「ごめんね、母さん、翼ちゃん。進化して体が大きくなってたことをすっかり忘れてたよ」


まだ自分が進化した体に慣れていないルトはすぐに僕たちから離れて、僕と翼ちゃんに謝る。


「ルトは進化したばかりだからね、しょうがないよ」


「そうだよルトちゃん、次は気を付けてね、苦しかった」


その光景を眺めていた空ちゃんたち四人が笑顔で眺めている中で、雛が思い出したように話を切り出す。


「それで碧君、ルトちゃんの服はいつ買いに行くの?今から行く?」


「それが、さっき佳代子おばあちゃんからの電話で、みんなを呼んで家で待っていて欲しいって、渡す物があるからって……ちょうど来たみたいだ」


僕は皆にそんな話をしていると、玄関のインターホンが鳴り、玄関を開けると入り口で夏美さんが立っていた。

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