パーティーが終わった夜
僕の清姫たちの説明が終わり、梢さんと詠美さんは納得したように頷いてくれた。
「わかったわ。もう、あの子たちのことは追及しないわ。悪さしてる様子もないし大丈夫でしょう。詠美、冒険者組合の説明の際は、あたしが立ち会うわ」
梢さんは先程までソファーでだるそうに聞いていた状態から体を起こして詠美さんに確認を取ってから告げる。
「ええ、お願いしますね。まあ、お婆様も実際に見てますし大丈夫だとは思いますけど」
詠美さんは僕の話した内容をメモに詳細に書いているようで、梢さんの話を聞きながらも視線はメモに向けながら、休むことなく手を動かしている。
「あの、僕も説明の際には同席した方がいいですか?」
僕は不安になり2人に尋ねるが、どうやら無駄な心配だったようで。
「大丈夫ですよ、碧君。私と梢がちゃんと説明しに行きますから。ね、梢」
「ああ、あたしたちに任せときな。お酒を一緒に飲める仲間が増えたんだ。ばっちり説明してやる。」
梢さんは僕に向かってニカッと八重歯が見えるくらいに笑って、安心させてくれて僕はホッと胸を撫で下ろしながら喋る。
「なら、もう遅いですし、パーティーはこれでお開きにしますか。」
そういって僕はチラッと時計を見るといつも間にか午後十一時になっていたことに驚くのだった。
※
僕はクイーンスライムの姿になり、手の部分でゴミを自分の中に取り込んでシュワシュワと音を立てて消化しながら、パーティーの片づけを済ませている一方、みんなはせっせと就寝の準備をし始める。そう、今日は皆が家に泊まるのだ。
ルトと翼ちゃんが嬉しそうに走り回っているのを眺め微笑ましく見守るながら、僕はソファーに座って大きな欠伸をしながら体を伸ばす。
部屋が余っているため、寝る場所には何も問題はないが、僕はお風呂の順番を待っている間に、ソファーで眠気と戦いながらルトと翼ちゃんの楽しそうな声をBGMにして聞きつつ、頭がゆらゆらと揺れて船を漕ぎ始めた。どうやら我慢の限界のようで、徐々に意識が曖昧になっていく。
(今日はいろいろあって疲れたからね……もう、限界。……おやすみ)
僕はソファーで深い眠りに落ちるのだった。
※
「あっ、碧お兄ちゃん寝ちゃったね」
空ちゃんが碧君が寝ていることに気付くと傍に近づいて匂いを嗅いでいた。
「ふふっ、そうですね。では、失礼して、よいしょっと」
私のスキルを通して空ちゃんが匂フェチなのはてわかっていたが、堂々とみんなの前で嗅いでいることに驚きはしたが、私は碧君を布団に運ぶために近づき、そっと碧君を抱き上げる。
碧君の体重は身長が百四十センチと小さいこともあって驚くほど軽かった。
(……あ、いい匂い。空ちゃんが碧君の匂いを堪能するのもわかるわ)
お風呂に入っていないせいか碧君の体臭が匂ってくるが、体を洗ってもいないにも関わらずバラのような甘く強い香りがしている。
「それじゃあ、碧君を布団に運んで行きますね。私もそのまま碧君と一緒の布団で寝ますね。皆さんおやすみ」
(もう、我慢しないって決めたから、ここで堂々と宣言しておかないと)
梢はグーと背を伸ばして体をほぐしながら私に挨拶をする。
「おう、あたしもストレッチしたら寝ることにするよ。おやすみ」
空ちゃんが悔しそうに頬を膨らませる。
「あ~。碧お兄ちゃん取られちゃった。次は私が一緒に寝るんだから」
「空っちはいつでもできるでしょう。ここは詠美さんに譲りましょう。詠美さんおやすみなさいっす」
千香が空ちゃんをたしなめてこちらに顔を向けて挨拶をし返す。
「おかあちゃんは、きょうはえいみおねえしゃんとねるなら、るとはつばさちゃんとねるの」
「ふぁ~。ルトちゃん、……早く行こうよ。……もう眠くて」
まだ元気なルトちゃんに対して、眠くて仕方のない翼ちゃんがルトちゃんの服の袖を軽く引っ張って布団がある部屋に二人で向かって行くと雛さんも慌てて2人について行く。
まだ起きていたい空ちゃん、千香さん、凛ちゃんに挨拶をしてから、私は二階の碧君の部屋に向かいました。碧君の匂いや温もりを堪能しながら、彼を抱きしめて一緒に眠るのでした。