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入学試験後のお疲れ会 3~梢さんと詠美さんの場合~ 

全員が揃ってパーティーが始まってまだ三十分も経ってないのに、僕がさっきまで横になっていたソファーに、梢さんと詠美さんは座り、日本酒やワインなどさまざまな種類のお酒を飲み干して、二人のソファー近くの壁際には、空の瓶がもう四本も置かれていた。


談笑しながら平気な顔をしてお酒を飲み干していく二人の姿は、本当に酒を飲んでいるのかと疑いたくなるほどだ。そんなふうに談笑しながら次々とお酒を飲んでいく二人を心配になった僕は、二人に尋ねる。


「二人とも、ものすごいハイペースで飲んでますね。よく酔いませんね」


梢さんは手に持っている日本酒のラベルを見せて僕に上機嫌に話す。


「碧君も飲んでみる?飲まないと勿体ないわよ。今あたしが持っているこの『桜花の煌き』なんでプレミアム価格がついて一本五十万円もするのよ。飲まなきゃ損よ」


「ご、五十万円!?……もしかしてそちらにある空になったお酒も」


値段を聞くのが怖いが、僕は梢さんに興味本位で恐る恐る聞きながら、壁際に置いてある空き瓶に視線を向けると、詠美さんは片手で口元を隠しながら笑顔で梢さんの代わりに答えてくれる。


「ふふっ、どれも最低でも二十万円するものばかりですよ。私の日記を勝手に読んだ挙句に、全国放送で日記の内容を晒した罰です。お婆様のコレクションからこっそり拝借してきました。」


(……これ、こっそりと拝借する数じゃないと思うんだけど。でも、佳代子おばあちゃんの自業自得だし)


僕は何とも言えない感情にうなされると、梢さんはお酒をガラスのグラスに注ぎながら僕に話す。


「それにあたしみたいな高レベルになると、身体の臓器も強化されるから、この程度じゃ酔わないから大丈夫よ。かー!。本当にどれもおいしいわね」


(美味しいのかな。五十万円って言っていたし、ちょっと気になる)


そんなことを僕は思っていると、梢さんはソファーに座っている自分の場所から横にズレて僕の座れる空間を作り、バンバンとソファーを叩いて僕に座るように促す。


座るように促された僕は、梢さんと詠美さんの2人の間に座ると、漂ってくるお酒の匂いよりも、二人の身体から花のようないい匂いがして落ち着く。これが大人の色気というやつか。


梢さんからはバニラのような甘い香りがして、詠美さんからはラベンダーの爽やかな香りがする。


「ほら、一口だけでも飲んでみな」


梢さんはそう言って、自分の飲みかけのお酒の入ったグラスを僕に渡す。


「もう、梢。碧君はまだ学生なのよ。碧君、無理して飲まなくてもいいのよ」


詠美さんは梢さんを軽く叱りながら、僕を心配な様子で見てくるが、好奇心が勝った僕は、口をつけて少しグラスを傾けてお酒を飲むが、まだ美味しいと感じられない僕は、顔をしかめながら首を傾げる。


「やっぱりまだ碧君にはお酒の良さがわからないか。お酒の良さがわかったらまた一緒に飲もうか」


僕に優しく微笑みながら、約束をする梢さん。


「あら、ふふっ。その時は私も、是非呼んで欲しいわ。ね、碧君」


詠美さんは横にいる僕に身体を密着させて肩に頭をのせながら、僕に尋ねる。


「そうだね。飲めるようになったら一緒に飲もう」


そんな約束をして、しばらく話した後に、次は千香と凛のいる場所に向かうのだった。


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