入学試験 最上玲次サイド2
静まり返った会場で俺様は、ここに来ることに後悔している間も次々と受験生が会場に入ってくる。
俺様と同じように逃げようとするも試験官に行く手を阻まれ、やがて無理あり椅子に座らされる。
時には最初から鎖でグルグル巻きにされた状態で、荷物を扱うようにどんどんと運び込まれる。
この会場にいる受験生の顔を見ていると見たことがある顔を見つけた。
(たしかあいつは手越か、確かダンジョンで暴力沙汰を起こして、厳重注意を受けていた)
他にもさまざまな問題行動を起こした有名な問題児たちがちらほら見える。
やがて会場には40人くらいに集まった時、筋肉質でピチピチのスーツに身を包んだ場違いと思える巨漢のオネェ口調の男が、鎖で拘束されている男を担ぎながら会場に入ってくる。
「ごめんなさいね~。ボ~イズたち、ちょっと時間が掛かっちゃって、やんちゃしたボ~イを捕まえるのに、時間が掛かっちゃって準備が遅れたわ。」
担いでいた男を地面に置いて、巨漢のオネェ口調の男が受験者全員を見渡す。
「今年も結構いるわね、まったく困ったボ~イたちね。あたしはルーチェって呼んでね。じゃないと暑いべーゼをお見舞いしちゃうから」
「ぶっ、何がルーチェだ。笑わせんじゃねーよ。気持ちわりー」
前の席に座っている受験者が笑っていると、ルーチェと名乗ったオネェ口調の男は笑った受験者の前に静かにやってくる。
「……なんだ、なんだよ、や、やめろ、うぐぅっ!?」
自称ルーチェと名乗ったオネェに笑っていた受験生を両手で顔を掴み、熱いベーゼをお見舞いされる。
笑っていた受験生は激しく抵抗してもがくが、やがて力尽きて大人しくなる。
俺様を含め、他にも笑っている奴らいたが、目の前の化け物の行動に笑いがピタリと止む。
「よろしい。静かになったわね。じゃあ冗談は抜きにしてはっきり言うわ。あなたたちはやっちゃいけないラインを越えた問題児たちよ。……勿論心当たりあるでしょう」
冷酷な笑顔を俺様たちに向けて見渡しなから告げる。
「おかしいと思わなかった?今まで好き勝手にやっているのに何も起きないなんて虫のいい話あるわけないでしょ。これからあんたたちはある場所に向かいそこで、いい子ちゃんになるまでそこで一生を過ごすの」
「う、嘘だそんな事、認められるか。」
聞いていた1人が震えながら必死に反抗する。
「あら、勿論あなたたちのご両親たちは了承したわよ。」
(……じゃあ、知っていて俺様を送り出したって言うのか)
頭を抱えながら、家族から見放された衝撃に俺様は放心する。
「今更後悔したって遅いわよ。でもちゃんといい子ちゃんになれば出ることは出来るのよ。そこで後ろに控えてあなたたちを見ている試験管の子たちのようにね。もっとも解放されても進んで戻ってくるんだけど」
そう言って、自称ルーチェと名乗るオネェはくじ引きの箱を取り出して、教壇の机に置く。
「それじゃあ、まずこれを引きなさい。中には赤色と青色の紙が入っているわ」
もはや抵抗する気力が起きないは俺様たちは、順番にくじ引きから紙を引いていく。
俺様は赤色の紙を引いてた。
この後、この引いた色の紙の意味を聞いて、ますます恐怖に駆り立てられるのだった。