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月夜の再会からの覚醒

 夜の月明かりだけが照らす静かな時間。僕は家に帰らず、家から数分の場所にある大きな池のある公園にいた。池のほとりにある、ちょうど腰掛けるに丁度良い平らな石に座り、水面に映る月を眺めながら物思いにふけっていた。


 嫌なことあるとすぐこの思い出の公園に来て微かな風を肌に感じながら何も感じずにただボーとする事か癖になってしまっている。


 目を閉じて物思いに更けて時間の感覚がなくなった頃に後ろから懐かしい声が聞こえた。


「……碧お兄ちゃん」


 僕は振り向き、彼女の姿を見る。彼女の名前は最上空(もがみそら)、最上玲次の妹で、数年ぶりの再会だ。身長が少しだけ伸びたようだ。彼女は僕より少し高く、ほっそりとした体型で小顔、肩まで伸びた栗色の髪を持っている。綺麗というよりも可愛い系クラスのアイドル的な存在になりそうだ。急いできたのか、呼吸が荒く服装が所々乱れている。


「あのクソ兄貴から聞いて此処にいるって思ったよ」


 彼女は歩み寄り正面からやさしく僕を抱きしめてくれた。


「……ごめんねお兄ちゃん、もう大丈夫だよ私が傍にいるから、一緒にあのクソ兄貴を見返してやろうよ」


「見返してやりたいけど……レベルが上がらなくなってしまったんだ」


 僕はしょげながら蚊の鳴くような声で答える。


「その事なんだけどちょっとステータスカードを見せてくれる?」


 僕は彼女にギルドカードを渡した、すると彼女目の色を変えステータスカードを操作していくとあることに気が付いた 。


「……やっぱり、このステータスカード何処でもらった?」


「それは玲次が空ちゃんから預かって来たからって」


 彼女は困り果てた顔で答えた。


「このステータスカードは盗まれたプロトタイプだよ……やっぱりクソ兄貴が盗んでた、レベル9から上がらなくなってクソ兄貴の方に経験値が流れる様に細工されてるよ」


「そんな、あいつは僕を馬鹿にするためだけに細工をしたのか」


「一度だけ開発室を見学しに来てその時は分からなかったけど、3日前に2枚だけ一般用にすり替えてあることに気が付いたんだ、厳重管理してるから今まで発覚できなかったよ」


 彼女はそう言って地団駄を踏み頭を掻きむしりしながら話を続けた。


「あのクソ兄貴が無理あり見学に来た時に疲れて眠ってしまったとばかり思っていたけど貰ったコーヒーに睡眠薬を混ぜられてたなんて一生の不覚だよ」


 彼女は深呼吸をして、冷静さを取り戻したは僕に話かける。


「このプロトタイプはね、今出ている一般化されたカードにはない仕様があるんだよ」


 彼女は手を組んで解説をする。


「一般化されたカードは、一度経験値が蓄積されたらそのままだけどプロトタイプ同士は繋げている間は蓄積された経験値を移動させることが出来るんだよでも、だからまだ馬鹿兄貴から奪われた経験値を取り戻して二度と出来ないように設定し直すよ、あとまだ繋がっている内に馬鹿兄貴のカードにおまけを施しておいてね、でもこれを知っているのは私を含めて限られた人にしか知らないはずなんだけどね、誰かに入れ知恵されたとしか思えない、でもこれでレベルの上がらない原因がわかったね、今解除してあげるよ、準備はいい?」


  僕は即座に答える。


「もちろん」


  彼女は僕のステータスカードの設定を解除した。


 すると、僕の体が薄っすらと発光し始め、目も開けられない光に包まれた。体中から力が溢れ、容姿も変化し始めた。灰色の白髪が白銀の美しい髪に変わり、体型も健康的になり、肌も爛れが消えて透き通るような白い肌になった。


彼女は感動した表情で僕を見つめ、『お兄ちゃん、綺麗』と呟く声が聞こえた。


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