Mission Start: スージーズ・アサルト! 1
「ん、ん゛っ! ……うん?」
僕が咳払いでごまかしていると、10メートルほど先の奥の方から、ボロボロの剣や棍棒を手にした5匹のゴブリンがこちらに向かってきていた。
「ギャ! ギャ、ギャアーッ!!」
「「「ギャギィーー!!」」」
そのうちの1匹が僕たちの姿を見つけ、こちらを指さして叫ぶと、他のゴブリンたちも唸るような声を上げながら、一斉にこちらへ突進してきた。
こちらに向かってくるゴブリンたちは、体中のあちこちに小さな切り傷の跡があり、何度も戦ってきたことがうかがえた。さっきのゴブリンたちよりも、明らかに強そうだ。
「スーちゃん、本当は次にゴーレムの戦いを見せてもらう予定だったけど……数も多いし強そうだから、ここは僕たちも加勢したほうがいいよね?」
ゴーレムたちの戦いを見せてもらう予定だったが、突撃してくるゴブリンの数を見て、僕は聖剣を構えつつ、スージーさんに加勢すべきか尋ねた。
「あおぽん、大丈夫。のーぷろぐれむ」
でもスージーさんは、手をスッと上げて僕を止めた。
スージーさんはゆっくりとゴブリンたちに指を向けると、いつもの棒読み口調でカッコつけながら、片手をすっと上げ――パチンと指を鳴らして、3体のゴーレムに命令を下した。
「スージーズ、みっしょんすたーと」
「「「イエス、コマンダー!!」」」
スージーさんの命令を受けたゴーレムたちは、息を合わせて敬礼すると、まるで軍隊のような統率された動きで、瞬く間にゴブリンたちへ突撃を開始した。そんなゴーレムたちの後ろ姿を見ながら――
「しゃ、しゃべった!?」「びっくりッス!」
僕と千香は、ゴーレムが喋れるという事実に驚きの声を上げた。
他の皆はというと――
「呼び方、こだわってますねー。うんうん」
空ちゃんは一人で何度も頷きながら呟いた。
「いけ~、スージーズ~!」
凛はゴーレムたちに声援を送り、
「これが、前に言ってた『軍隊ごっこ』の正体ね」
最後に、雛がぼそりと呟いた。