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とある雑誌記者の突撃取材の代償 6

「あらあら山口さん、これまた随分と面白い恰好になっていますね。」


 森崎詠美は、俺が棒に固定されて肉のように焙られている状況を見て、クスクスと笑いながら近づいてきた。そして、わざとらしく首を傾げて、楽しそうに問いかけてくる。


「うぷっ……笑ってんじゃねぇーよ……」


 煙と熱気で喉がやられ、声が掠れてまともに話せない。猫耳娘に何度もぐるぐる回されて脳が揺さぶられたせいで、吐き気は収まらず、体力も底を尽きそうだ。ただ、もう耐えられない。


「もう、何もかも正直に話すから……この化け物たちにやめるよう言ってくれ……」


 懇願する俺に、森崎詠美は肩をすくめると、ジッと俺を睨んでいるアラクネに声をかけた。


「……しょうがないですね、蜘蛛ちゃん、火を消してくれる?」


 アラクネは「チッ……」と舌打ちをして、不満そうに指先から銀色の糸を出し始める。その糸が風を切る音を立てながら棒の支柱を切り落とすと、俺はそのまま火の元に叩き落とされた。


「うぐっ!? 痛た!? おい!? もうちょっと優しく……!」


 火は沈静化したものの、乱暴すぎる扱いに思わず怒鳴なったその瞬間――。


「ゴキブリが文句あんのか、あ゛ぁん!」


 顔の横をかすめて地面に突き刺さる、鋭い蜘蛛の足。その衝撃音に息が止まり、俺は冷や汗を流しながら慌てて謝った。


「い、いえ……何でもないです! ありがとうございました!」


 アラクネは「ケッ!」と吐き捨てると、不機嫌そうに足音を鳴らしながら去っていく。木にもたれた猫耳娘と、楽しげに笑う羊の少女の傍に戻ると、森崎詠美と清姫の様子を見守るように腕を組んだ。


「……それでは山口さん、話しを聞かせて頂きましょうか」


「ちょっとでも嘘を吐いたら……わかっておるな」


 縛られている俺を見下ろしながら話す森崎詠美と清姫の迫力に観念した俺はありのままを洗いざらい正直に全てを話した。


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